経済部知的財産局は2004年7月28日、同局のホームページに特許発明の強制実施許可に関すプレスリリースを掲載した。以下に訳載するのは、このプレスリリースの全文である。なお、特許権者は、知的財産局の強制実施許可に対し不服がある場合、経済部に訴願を提起することができ、訴願が棄却された場合には、台北高等行政法院に行政訴訟を提起し、かつ最終的には最高行政法院に上訴をすることができる。
(経済部知的財産局プレスリリース・訳文)
標 題:知的財産局はフィリップ社の所有する特許発明5件に対する国碩公司の強制実施請求を許可した。
掲 載 日:2004/7/28
主題内容: 経済部知的財産局は先日、フィリップ・エレクトロニクス社の所有するCD-R光ディスクに関する特許発明5件に対する国碩科技工業股份有限公司の強制実施申請について、強制実施を許可する裁定をした。実施期間は実施許可の日から起算して当該5件の特許権のそれぞれの存続期間の満了までとする。ただし、その実施はわが国国内市場の需要に対する供給を主とするものとする。
本案申請人国碩公司は2002年7月30日、CD-R光ディスク特許発明の実施許諾に関し実施料についてフィリップ社と何度も協議をしたが合意を達成することができなかったことを理由として、「請求人が合理的な商業上の条件を提示したにもかかわらず、相当の期間内に実施許諾について合意を達成することができなかった場合に、強制実施の許可を申請することができる」旨を定めた申請当時の特許法第78条第1項の規定に基づいて、本局に強制実施の許可申請を提出した。本局は、先に手続き上の審査をしてから実体審査を行う処理原則に基づいて、両当事者が必要な書類を提出しかつ互 いに答弁を交換した後、2003年6月18日に審査を進める旨を両当事者に通知した。
本案は、特許法、公正取引法、経済分析、価格計算及び国際公約等、多くの分野に関連することであるので、本局は慎重に審査を進めるため、経済部工業局、国際貿易局、公正取引委員会、台湾区電機電子工業同業公会、財団法人資訊工業促進会及び工業技術研究院等、関係機関及び業界団体の意見を求めたほか、七人の産業・経済の学者に本案の研究を委嘱し、かつ、特別審査チームを設け、相次いで5回の審査会議を開いて、両当事者の主張を聞きかつ質疑に応じた。 本案は、わが国の光ディスク産業の発展に甚大な影響を与え、また、外国会社の特許権に関する事項であるので、知的財産局は、ウイン・ウイン交渉に到達することを期して、最初から積極的に両当事者間の意見の調整に当たり、協議の方式で合理的な解決方法を見出すことを求めたが、両当事者間で合意を達成することができなかった。 特許は、特許権者に一定期間の間、その同意を得ないで他人が特許に係る物品を製造し販売し販売の申し出をし使用し又は輸入する行為を排除する権利を与えるものである。法律により特許権者にこのような広範な権利が与えられるのは、発明及び考案・創作の奨励、保護及び利用により産業の発展を促進することを目的としている。
強制実施制度は特許法に定める特許権に対する一種の制限的規定であり、政府が法定の条件の下において特許権者の同意を得ないで政府自身又は第三者に特許権の利用を許可する措置である。これはわが国特許法第76条に明文の規定がある。この制度の主たる目的は、公益及び私益の調和を図り、社会の進歩を促進することにある。
本件決定は主として次の認定によるものである。CD-R光ディスクの生産者価格は、1997年から2003年上半期までの間に1枚5米ドルから0.19米ドルまでに下落している。フィリップ社は、市場価格の大幅な変動下において特許使用料の計算に固定金額を基本とする方式を維持している。これは明らかに不合理なことであり、米国国際貿易委員会及びわが国公正取引委員会も同様の見解である。
したがって、本件申請において考慮をしなければならないのは、いかにして当該技術の権利所有者と使用者の利益の調和を保ち、わが国産業の継続的発展を図ること、すなわち、特許制度に定める私権の保護と利用者の需要を考慮して二者の間に一つの合理的な調和を図ることである。フィリップ社の提示した特許使用料の起算方式は多方面から不合理であり調整を検討する必要があると認められているので、国碩公司がフィリップ社との実施許諾の協議において、実施料の計算方式について生産者価格を基本とすることを提案し、2001年3月から2002年4月までの間に、両当事者間で1年余の時間をかけて協議をしたが、合意を達成できなかった。これは協議当時の特許法第78条第1項の規定に適合する事情があると認めるべきである。したがって、本局は、フィリップ社がわが国で取得して5件の特許権について国碩公司に強制実施権を許可する決定をした。ただし、この強制実施の許可は完全に実施料を免除するものではなく、国碩公司は更にフィリップ社と協議をして相当の実施料を支払わなければならない。
本件決定に対しフィリップ社は不服がある場合、この決定書の送達の翌日から30日以内に、本局経由で訴願書を提出して経済部に訴願を提起することができる。
