台湾はパリ同盟条約の加盟国ではないが、2002年11日のWTO加盟後はTRIPSの規定により、特許及び商標出願について他のWTO加盟国と交互に優先権主張を認めることになっている。加盟後の初期の外国出願については、これまで若干の国で優先権主張を認めない事例が生じたが、知的財産局が台湾の外国駐在機関を通じて当該国の特許庁等と交渉を行った結果、優先権主張が認められるようになった。
以下に紹介するのは、台湾出願に基づく外国出願の優先権主張について、経済部知的財産局が2005年9月21日に発表したプレスリリースの訳文である。
同局によると、現在、台湾からの出願に基づく優先権主張の問題について交渉が継続中であるのは、ヨーロッパ同盟とインドである。
また、台湾からの出願の優先権主張を拒否した事例があるか否か不明の国もあるので、知的財産局は台湾の大手の特許商標事務所に書簡で情報の提供を要請し、かつ、一般民衆にも情報の提供を呼びかけている。
(経済部知的財産局プレスリリース)
主題内容:
特許の国際優先権制度は、発明者が同一発明について外国に出願をする場合において、出願の準備時間に余裕がなく、又はその他発明の公開若しくは実施のため、特許を受ける要件に適合しない状況が生じるのに対し、基本出願後の一定期間内に出願人が外国に出願するときに、最初の出願の日を基準日として優先権を認めることにより、外国で特許の保護を取得することができるように計らうものである。この制度は商標出願にも適用される。また、わが国では特許法第27条、第28条及び商標法第4条等にこの制度に関する規定が定められている。
国際優先権制度は、特許出願について国際間において基本出願の日を新規性及び進歩性の審査基準日とすることにより、基本出願から外国出願までの間に新規性及び進歩性が喪失する事情が生じ特許取得の障害になるのを解消するため、基本出願に基づいて出願人の優先権を認めることを目的とする。したがって、国際優先権制度は、高度又は新規の科学技術の導入及び発展に貢献するものとして、国際間における特許保護の規範となっている。
WTO(世界貿易機関)の加盟国はすべてパリ同盟条約及び貿易の側面に関する知的財産権協定(WTO/TRIPS)の優先権制度に関する規定を順守しなければならないので、WTO加盟国の間ではすべて相互に優先権主張が認められる。わが国は2002年1月1日のWTO加盟後、TRIPSの規定を順守してWTO加盟国からわが国への特許及び商標出願に対し優先権を主張する権利を認めている。したがって、他の加盟国も相対的に前述TRIPSの規定に従い、わが国からの出願に対し優先権主張を認めるべきである。しかし、産業界関係者の報告によると、わが国から他の加盟国への特許又は商標出願の優先権主張が拒絶され、権利の確保に多大な影響を及ぼす事例がしばしば生じている。わが国出願人の権益の確保を図るため、経済部知的財産局はこれまで外国駐在機関を通じて積極的に交渉を進め、良好な結果を得ている。特許実務の運用上においては、現在のところ、ヨーロッパ特許庁が優先権主張の規定を定めたヨーロッパ特許条約第87条の改正案がまだ法定加盟国数の批准を得ていないため、わが国からの出願の優先権主張を認めていないほか、わが国からの出願の優先権主張を認めていないのはインドのみであるので、経済部知的財産局はインド駐在機関と協調して積極的に問題の解決を図っている。なお、前にしばしば出願人から報告があった国、たとえば、イタリア、アイルランド、シンガポール、南アフリカ及びマレーシアにおいて、わが国からの出願の優先権主張が認められなかった事例については、経済部知的財産局が外国駐在機関を通じて積極的に説明又は交渉をした結果、わが国からの出願の優先権主張を認めることについてこれらの国から同意を得ることができたのである。
なお、経済部知的財産局は、WTO加盟により確保された国民の実質的利益を積極的に保護するため、前記以外のWTO加盟国がTRIPSの規定に従ってわが国からの出願の優先権主張を受理しているか否か、更に理解を深めるために情報の収集に努めており、国内大手の20特許商標事務所に対し、わが国からの出願の優先権主張を認めない事例があるときは、外国駐在機関を通じて事実を確認し処理をするため、そのような事例の具体的情報・資料を提供するよう要請した。また、一般民衆も優先権主張を拒絶された事例があるときは、国民の権利を保護するため直ちに必要な措置をとるため、関連の情報・資料を本局法務室宛に送付いただきたい。
