【訴訟番号】2002年訴字第4569号
【判 決】2004年01月07日
【裁判事由】実用新案特許異議
判決書摘録
主文
訴願決定及び原処分を取り消す。
被告は、原告が2001年12月3日に趙恵珍の「水管連接具位置決め構造」実用新案特許出願に対して提起した異議事件について、本判決の法律上の見解に基づき改めて処分をしなければならない。
原告のその他の訴えは、棄却する。
訴訟費用については、被告が3分の2を負担し、残余を原告が負担する。
事実概要:
参加人(出願人)は2000年4月17日、「水管連接具位置決め構造」に関する考案について、被告(経済部知的財産局)に実用新案特許を出願した。被告は出願第89206179号としてこれを審査し、実用新案特許を許可する決定をした。原告は出願の公告期間内において、本件出願は特許法第98条第2項の規定に違反するとして、異議申立をした。被告は2002年6月14日(91)智専3(3)05018字第09189001405号実用新案特許異議決定書をもって、異議不成立の処分をした。原告は不服のため訴願を提起したが、棄却されたので行政訴訟を提起した。
理由
- 本件係争の実用新案特許出願第89206179号は、「水管連接具位置決め構造」に関する考案であって、次の構成を含むものである。「一つの螺旋管-両端の外管壁の周りに外ねじが設けられている;二つの内接管-一端に環状凹溝が設けられ、止水リングを組み込むことができ、かつ内接管の管体に環状の突縁が設けられ、さらに別の内接管の一端に複数のばね片が環状に設けられ、かつ端面中央に一つの内接管が設けられ、該二つの内接管を螺旋管の両端の管内に挿入して組み込み、二つの内接管の止水リングが全て螺旋管の内管壁に緊密に接合するようにさせ、かつ二つの内接管の環状突縁がすべて螺旋管の二つの端面の定位置に固定されている;二つのソケット管-管内の一端に内ねじが設けられ、別の一端が次第に縮小する管口をなしており、ソケット管の外周に環状のねじ山が設けられ、位置固定用の一つのリングを組み込むことができ、さらに該二つのソケット管を螺旋官の両端の外ねじに対してねじ込み、内接管の内管及びばね片をソケット管の管口内部に位置づけるもの」。原告の提出した異議申立証拠のうち、添付2は米国NELSON社1998年印刷・発行のカタログ第37ページにおける型番1658Bの製品の図示(引例1)であり、また、添付3は原告が引例1の実物であると称して提出した製品(引例2)である。被告は、引例1の公開日が本件考案の出願日よりも早いことは認めたが、引例1には、製品の外観のみが開示されており、内部構造が開示されていないので、係争の考案との異同を論断する根拠とすることができず、したがって、引例1は証拠力を有しないと認定した。また、引例2についても、その主たる構造が係争の考案と同一ではあるが、引例1に開示されている製品と外観が同一ではなく、かつ引例1との関連性を証明するに足りる証拠がないので、その公開日を明確に証明することができず、したがって、引例2も証拠力を有しないと認定した。前記の理由に基づき、被告は、係争の考案は特許法第97条、第98条第1項第1号及び第2号の規定に違反しないと認定し、異議不成立の処分をした。原告は不服のため訴願を提起し、経済部は同じ見解をもって訴願を棄却する決定をしたが、これはもとより根拠がないものではない。
- 上述のとおり、原告が異議時に提出した引例2の実物は、当時提出されていた証拠資料のみでは、引例1のカタログ第37ページに開示されている型番1658Bの製品と同一であることを立証できないものである。しかし、原告は本件訴訟において引例1のカタログに開示されている製品の製造者である米国NELSON社から取得した型番1658Bの製品を提出した。これは本件のファイル内に保管されている当該製品の実物(製品包装に米国NELSON社の注記及び型番の表示がある)及び郵送の封筒により確認することができる。前掲の製品実物は確かに引例1に開示されている型番1658Bの製品である。この点については被告も異論はない。前記の実物は訴訟の段階においてはじめて提出されたものであるが、異議申立時に提出された引例1の証拠力を補強するものであるので、引例1と明らかに関連性があり、単なる新たな証拠とみるべきものではなく、これを考慮に入れて審議すべきである。因みに被告は本件異議の決定時においては、上述の補強証拠を審議することができずに異議不成立の処分をし、訴願決定においてもこれが維持されたのであるが、原処分及び訴願決定とも妥当とはいえない。原告が原処分及び訴願決定の取消を請求したのは理由があるので、これを許可する。ただし、係争の考案が前述の製品の実物と比較した場合に、新規性又は進歩性を有するものであるか否か、被告訴訟代理人は更に改めて分析・比較する必要があると述べている(訳注参照)。したがって、本件について異議成立の処分をすべきか否かについては、被告がさらに詳細に調査をする必要がある。原告は訴えの請求において、被告に異議成立の行政処分をすべきことを命じる判決を求めているが、この請求は充分な理由があるとは認められない。行政訴訟法第200条第4号の規定の趣旨により、被告の請求のうち、本院の判決の見解に従って改めて異議決定をすることを被告に命じる判決を求める部分については、理由があると認められるのでこれを許可し、その他の部分については、許可できないものであるので請求を棄却する。
(訳注:経済部知的財産局は、上記判決の趣旨により本件異議申立について再審査を行い、当事者が出席したインタビューの席上において前記の補強証拠として提出された製品実物を分解して内部構造を確認し、本件出願は当該製品実物に比べ進歩性を有しないものであると認定し、本件異議申立について異議成立の決定をした(知的財産局2004年10月20日(93)智専字3(3)05018字第09320937490号実用新案特許異議成立決定書)。
