1.一般に、台湾で特許の譲渡/商標の移転を行う際には、両当事者が署名した文書、例えば元の特許権者/商標権者が特許/商標番号(特定の一部又は全部)を明記し、自己が所有していた権利を譲受人に移転することを記載した譲渡/移転契約書(Deed of Assignment)またはそれと同等の書類を提出する必要がある。台湾知的財産局の規定によれば、元の特許権者/商標権者(署名者)の署名印章は、局にて保存されたものと一致していなければならない。実務上、外国出願人の会社である場合には、権限を付与された者が署名・捺印を行うことも認められている。
- 台湾では、出願人の会社が破産または清算された場合にも、特許の譲渡/商標の移転登記を行うことができる。しかしながら、破産または清算の状況下で作成される署名書類については、(破産)管財人または清算人による署名日が、破産の清算段階に入ってから清算手続きが結了するまでの間、すなわち清算期間中である必要がある。もし清算手続き結了後に提出された署名書類であって、署名日が手続き結了後のものである場合、清算人(或いは管財人)が、手続き結了後に資産の移転に関する処理を行う権限を法令上有していたかどうかが疑義となる。したがって、台湾で特許の譲渡/商標の移転を行う必要がある場合には、両者で改めて署名書類を作成すべきである。
- 台湾では、特許の譲渡/商標の移転は両当事者の合意によって効力が発生する(フランスやイギリスと同様)が、一方で、日本では譲渡登記を経なければ効力が生じない。このように、両国では法律の効力が異なる。台湾では、特許の譲渡/商標の移転の効力は当事者間の合意時から生じる一方で、日本では登記を経て初めて効力を生じるため、台湾の特許権や商標権については、たとえば権利許諾や権利行使が絡まないような場合、出願人がその登記をしなくとも大きな影響を受けないこともある。しかしながら、注意すべきこととして、台湾専利法第62條や商標法第42條において、特許・商標権の譲渡は、知的財産局への登記を経なければ第三者に対抗することができないと明定されている。 したがって、特許や商標の侵害紛争などが生じた場面では、出願人はできるだけ早期に特許の譲渡/商標の移転の登記を行うべきである。
