台湾におけるグリーン商標登録出願の概況

台湾におけるグリーン商標登録出願の概況 3

世界的な異常気象と温室効果による環境汚染問題を改善するため、各国は国連の2050年ネットゼロ目標の下、炭素削減政策を打ち出している。台湾は2023年2月15日に「気候変動対策法」を改正・公布し、2024年には炭素料金が課される予定である。商標は商品や役務の出所を示すものであり、環境保護の概念に則ったグリーン商標は企業の持続的な価値を示すことができる。いわゆるグリーン商標とは、ニース国際分類で分類された商品や役務に使用される商標登録出願で少なくとも1項目はグリーン商品/役務に使用されるものでなければならない(ただし、核廃棄物が環境に与える影響については意見が分かれているため、原子力関連の商標は含まれない)。

台湾知的財産局は、政府のグリーン産業推進に呼応して、EUグリーン商標報告書に基づきグリーン商品/役務を以下の9大分野に分類し、企業がグリーン商標のレイアウトを行う際の参考資料として活用できるよう、台湾の過去10年間の商標事例を統計分析・調査した。

グリーン商標の9大分野内容
エネルギー製品(1)バイオマス燃料 (2)太陽エネルギー
(3)風力エネルギー (4)その他のエネルギー
運輸(5)一般運輸 (6)電気自動車 (7)電動バイク
(8)電動自転車 (9)ハイブリット電気自動車
(10)水素自動車 (11)電動エンジン
(12)その他の車両
省エネ
(Energy conservation)
(13)省エネ(Energy saving) (14)電力貯蔵
(15)低エネルギー照明 (16)エネルギー管理
リユース/リサイクル(17)リサイクル (18)リユースバッグ
(19)再利用可能なボトル
(20)詰替え可能なプリンターリボンカードリッジ
(21)その他の再利用可能なもの
汚染防止(22)一般汚染 (23)水質浄化 (24)空気浄化
(25)生分解可能なもの
廃棄物の管理(26)廃棄物の処置 (27)スクラップの処理
農業(28)肥料代替品 (29)殺虫剤代替品
(30)その他の農業
エコ意識(31)生態、環境 (32)持続
気候変動(33)環境関連サービス (34)カーボンモニター
(35)カーボン取引の仲介

注:上表はEUがグリーン商品/役務を9グループ、計35カテゴリーに分類したものである

台湾知的財産局の統計分析によると、2013年から2022年までの台湾商標登録出願のうち、グリーン商標(122,916件)が14.5%、非グリーン商標(725,067件)が85.5%を占める。グリーン商標登録出願の平均割合は、初期(2013年~2015年)が約12.41%、中期(2016年~2019年)が約14.72%、後期(2020年~2022年)が約15.87%であり、台湾のグリーン商標登録出願が過去10年間で増加傾向を維持していることがわかる。グリーン商標の主な出願は台湾、中国、日本、米国からのものであり、下表のとおり、省エネ、汚染防止、エネルギー製品が9大分野のグリーン商標登録出願の80%を占めている。

2013~2022年台湾グリーン商標登録出願
グリーン商標9大分野(%)出願人上位3社(件数)
1省エネ(31.48%)アップル(464)
統一企業(259)
ファーウェイ(247)
2汚染防止(27.79%)統一企業(485)
久光製薬(236)
小林製薬(222)
3エネルギー製品(20.86%)アップル(478)
統一企業(304)
アリババグループ(236)
4気候変動(4.25%)アリババグループ(218)
統一企業(122)
アマゾン(90)
5廃棄物管理(4.09%)統一企業(101)
アップル(67)
クーパン(43)
6農業(3.23%)全農肥料(204)
大益農業科技(119)
龍燈農業化工国際(54)
7運輸(3.20%)光陽工業(196)
BMW(87)
ダイムラー(56)
8エコ意識(2.84%)アリババグループ(218)
統一企業(530)
任天堂(53)
9リユース/リサイクル(2.34%)統一企業(110)
台湾セメント(31)
統正開発(31)
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台湾におけるグリーン商標登録出願の概況