改正商標法 2014年5月1日施行(中国)

改正商標法 2014年5月1日施行(中国) 1

中国では、商標法の改正作業が進められておりましたが、改正案は2013年8月30日に第12期全国人民代表大会常務委員会第4回会議を通過し、同日付の中華人民共和国主席令により、2014年5月1日から施行されることが公布されました。

以下は、中華人民共和国国家工商行政管理総局商標局のウェブサイトに発表された、改正法の内容についての記事をまとめたものです。

改正商標法の三大注目点

中華人民共和国商標法は1982年に制定され、1993年及び2001年の2回改正された。2003年、国家工商総局は国務院から第3回商標法改正の具体的準備作業を委託され、2009年11月18日に《商標法(改正審議稿)》を国務院に提出した。2012年10月31日《中華人民共和国商標法改正案(草案)》が国務院常務会議討論を通過し、2013年8月30日に第12期全国人民代表大会常務委員会第4回会議を通過した。

現行商標法は施行から30年を経過し、2012年末までの中国の商標出願件数及び登録件数の累計はそれぞれ1136万件と765.6万件で、有効な商標登録は既に640万件に達しており、何れも世界第一位である。しかしながら、中国の社会主義市場の経済が発展するにつれて、現行の商標法の内容では実際のニーズに応じるのが既に難しくなっている。その主なものとして、商標登録手続きが比較的煩雑である、商標の権利確定までに長くかかり過ぎる、悪意に基づく商標登録が比較的多く見られる、商標権侵害行為を有効に抑制できていない等である。

今回の商標法改正には3つの重点がある。

  1. 商標登録出願人の便宜を図る。
    • 登録出願できる商標に音声を追加する。
    • 「一商標多区分」出願方式を認める。
    • 商標登録の電子出願を認める。
    • 商標審査において商標局と出願人とが意見を交わす手続きを追加する。
    • 商標審査及び審理業務の法定期限を追加する。
    • 商標異議申立手続きを再構築する。先行権利を理由として提出する異議申立の主体を、「何人も」から「先行権利者又は利害関係人」に改正する。商標局が審理し、異議申立理由不成立と認めた場合は、商標の登録を直接付与する。
  1. 公正な競争による市場秩序を維持し、保護する。
    • 商標局、商標評審委員会及び裁判所は、具体的な事件の審理過程においてのみ馳名商標を認定できると規定する。更に、馳名商標であることを広告、宣伝、展示及びその他の商業活動で使用できないことを明確にする。
    • 他人の馳名商標、登録商標を企業名称中に商号として使用することは公衆を誤解させ、不正競争行為に属すると規定する。
    • 業務取引等の関係で、他人が既に先使用していることを明らかに知っている商標を冒認登録することを明確に禁止する。
    • 商標登録権者が過去3年における実際使用を証明できないときは、権利侵害人は賠償責任を負わないと規定する。
    • 商標代理組織の法的責任に、委任者の企業秘密保持が要求されること、冒認登録の状況にある商標の登録出願の代理をしてはならないこと、代理業務を行う出願以外の商標を登録してはならないことを追加する。
  1. 商標専用権の保護を強化する。
    • 故意に権利侵害に便宜を図る情況を提供し、他人が商標専用権を侵害する行為を幇助することは、商標権者の権利を侵害する行為に属することを明確にする。
    • 商標権侵害行為の罰金額を引き上げる。商標権侵害行為について、法律で定める厳重に処罰する情状を追加する。
    • 5年以内に2回以上の商標権侵害行為又はその他の深刻な状況がある場合は、厳重に処罰しなければならない。
    • 悪意に基づく商標専用権の侵害で、情況が深刻な場合は、懲罰的な賠償を判決できる。
    • 裁判所が賠償金額を決定するとき、権利者が立証に力を尽くしたが、権利侵害行為に関係する帳簿、資料を主に権利侵害者が保持している場合は、権利侵害者に権利侵害行為に関係する帳簿、資料を提出するよう命ずることができる。
    • 裁判所が事情を考慮して判断を下す法定賠償額の上限を50万元から300万元に引き上げる。
改正商標法 2014年5月1日施行(中国) 2
改正商標法 2014年5月1日施行(中国)