中国の国家工商行政管理総局ウェブサイトの「重要発布」の項で、インターネット上の商品取引違法行為の典型的な事例9例が掲載された。以下は、その中の第7例~第9例の和訳である。
公布日: 2013年7月8日
7. 営業許可証を取得しなければならないと法律で規定されている事業活動を許可を得ずに行う
典型的な事例
2011年4月、北京某某某信息技術有限公司は株主総会で、湖北省襄陽市に支社を設立し、また当該社が開設した共同購入サイト上に襄陽共同購入チャンネル(サブステーション)を開設し、襄陽域内でインターネットによる共同購入業務を展開することを決議した。林某を支社の責任者に任命した。当該支社は2011年4月に正式に営業を開始し、従業員30名を募集した。一人あたりの一ヶ月の給与は1400元で、主に共同購入サイト襄陽チャンネル(サブステーション)の情報技術の保守業務及び共同購入のプロモーション業務の開発に従事した。2011年6月までに27のユーザーと提携契約を締結し、共同購入サイトの販売促進活動を行った。但し、工商機関が立件調査するまで、当事者は工商営業許可証の手続を行っていなかった。
当該支社の全体的な管理及び組織構成は、完全に現代的企業制度における支店の企業組織形態に基づいた運営である。《公司登記管理条例》第48条では「企業が支社を設立する場合は、決定した日から30日以内に支社所在地の会社登記機関に登記を申請しなければならない。」と規定している。
当事者の行為は、《公司登記管理条例》の関連する規定に違反し、許可を得ないまま、営業許可証を取得しなければならないと法律で規定している事業活動を行った。
8. 関連する規定に違反し、勝手に消費者の個人情報を漏洩する又は売り渡す
典型的な事例
2011年、重慶市の周某が「永川オンライン・ショッピングセンター」という名称のインターネット取引プラットフォームを開設し、同時に当該プラットフォームに「精品百貨超市」という名称の店舗を開設した。当事者の店舗は7月10日に最初の取引が成立し、68元の価格で富光FGL-3269保温ボトルを消費者陳某に販売し、同時に当該取引はインターネット取引プラットフォームの最初の取引でもあった。当事者は、7月14日にプラットフォームのトップページの掲示板に、消費者陳某の同意を得ずに、同者の実名、住所、職業、勤務先及び携帯番号を含む個人情報のデータを公表した。当該消費者は、何度も削除するよう連絡したが、何れも無視された。7月20日、消費者陳某は、現地の工商部門に通報し、現地工商機関は直ちに当該ウェブサイトのチェックを行い、工商機関の調査結果から、消費者陳某が述べた状況は事実であることが明らかであった。工商機関は当事者に《是正命令通知書》を送付し、当該規定違反行為の停止を要求した。《是正命令通知書》送付1週間後に工商機関が当該ウェブサイトを再チェックしたが、当該ウェブサイトは是正されていないことが分かった。このため、立件調査を決定し、既に行政罰に処した。
当事者は、消費者の同意を得ずにインターネット取引プラットフォームに勝手に個人情報を公表し、消費者に対して個人情報の守秘義務を履行せず、消費者の合法的権益に損害を与えた。《インターネット商品取引及び関連サービス行為管理暫定弁法》の関連規定に違反しており、消費者の個人情報の安全を侵害する行為を構成している。
9. 約款を利用して消費者に不公平、不合理な規定を定め、消費者の権益を侵害する
典型的な事例
2007年10月、上海某某信息科技有限公司は、「返利網」(訳注:ユーザーが返利網を通じて買い物をすると、ユーザーにも一部利益が還元される)のウェブサイトを自ら立ち上げた。当該ウェブサイトは「第三者に利益還元があるショッピングガイドプラットフォーム」である。このビジネスモデルは、返利網を通して消費者が当事者と提携関係にあるオンラインショップ事業者から商品を購入すると、取引完了後、オンラインショップ事業者が一定比率の手数料を支払い、当事者はその手数料の一部を利益還元の形式で取引が完了した消費者に返還し、一部を会社の営業収入とするものである。「返利網」のショッピングガイドで利益還元サービスを受けようとする消費者は、当事者と《返利網ユーザー利用協約》を締結し、会員登録を行わなければならない。
調査したところ、ウェブサイト上の《返利網ユーザー利用協約》の第6段の内容は「責任の範囲及び責任の制限」で、以下の内容を含んでいる:
第1条 返利網は「現状」及び「獲得可能」な状態に基づいてサービスを提供する責任を負うものとする。但し、サービスについて、いかなる明示又は暗示による保障も行わず、返利網のサービスの適用性、錯誤又は手落ちがない、継続性、正確性、信頼性、あるひとつの特定用途への適用が含まれるが、それに限定されるものではない。更に返利網は、サービスに関わる技術情報の有効性、正確性、信頼性、品質、安定、完全及び即時性について、いかなる責務及び保証も負わない。
第6条 どの様な状況であるかに拘わらず、返利網は情報ネットワークが正常に設備を保守されていることにおいて、情報ネットワーク接続の不具合、コンピュータ、通信又はその他のシステムの不具合、電力の不具合、ストライキ、労働争議、暴動、蜂起、争乱、生産性又は生産手段の不足、火災、洪水、暴風雨、爆発、戦争、政府の行為、司法、行政機関の命令又は第三者の不作為により引き起こされたサービスの提供不能又はサービスの提供遅延について責任を負わない。
上述の協約第1条は、当事者が約款を利用して提供する商品又はサービスが法に基づき負わなければならない保証責任の行為を免れているのは明白である。また、第6条は当事者が約款を利用して、契約違反のために法に基づき負わなければならない契約違反責任の行為を免れている。
2012年7月に、上海工商機関が介入し調査した時点までに、当該社の返利網には約1000万のユーザー登録があった。違法な約款の利用状況が確認できないため、違法所得の算定はできない。但し、全ユーザー登録数に基づいて推定すると、侵害を受けた消費者の人数は、相当数にのぼるとすべきである。
《契約違法行為監督処理弁法》第9条(3)、(4)項では次の通り規定している。「事業者と消費者が約款により契約を締結する場合、事業者は約款において以下に列挙する自己の責任を免除してはならない:(3) 提供する商品又はサービスについて法に基づき負わなければならない保証責任;(4) 契約違反により法に基づき負わなければならない契約違反責任。
当事者の上述の行為は、《契約違法行為監督処理弁法》の関連規定に明らかに違反し、約款を利用し、消費者の合法的な権益を侵害する違法行為である。
