台湾知的財産局が商標検索システムにおいて AI図形検索を提供開始

台湾知的財産局が商標検索システムにおいて AI図形検索を提供開始 3

商標は、商品又は役務の出所を表示し識別するために使用されるマークであり、文字又は図形等で表すことができる。通常、出願人は商標登録出願を行う前に、出願する商標が他の者によって既に登録されている商標と同一又は類似であるか否かを確認する必要がある。台湾で商標を出願する場合は、知的財産局が提供する商標検索システムで調査することができ、その公式の商標データベースで、同一又は類似の商品/役務を指定する同一又は類似の商標が発見されない場合に商標登録出願を行えば、出願後に拒絶される可能性を最小限に抑えることができる。

テクノロジーの進歩とインターネットの急速な発展に伴い、人工知能(Artificial Intelligence:通称AI)技術が知的財産権を含む分野で徐々に応用されてきている。特許出願や商標出願を審査する際、審査官は先願の検索を行う必要があるが、AIは大量のデータを迅速に分析し、手作業で処理する時間を短縮することができるため、世界知的所有権機関(WIPO)、欧州連合知的財産庁(EUIPO)、シンガポール知的財産庁(IPOS)などの公的機関は、近年相次いでAI商標検索システムを構築している。国際標準に追いつくため、台湾知的財産局は3年前から商標検索におけるAI応用の研究開発に着手し、台湾の自主開発AI検索技術の重要な中間到達点として、本年3月25日に「図形による図形検索」のAI検索機能を発表した。図形商標検索に応用されるAI新機能は、台湾知的財産局でのテスト、内部審査官による試用及び評価を経て、同一及び類似度の高い先願商標に対して極めて高い検出率を達成したことが確認された。

「図形による図形検索」はその名の通り、ユーザー(商標出願人又はその他の人)がパラメータや検索要素を入力することなく、商標画像をアップロードするだけで、AIによるフィルタリングを介して第1類から第45類までの類似商標検索結果を迅速に取得するもので、これを基に商標登録出願の要否を判断することができる。また、出願人は、審査時間を短縮するために、審査時の参考用として出願時にその検索結果を添付することもできる。なお、知的財産局のAI商標検索は、既存の商標検索システム又は以下のリンクをクリックしてアクセスすることができる:

https://cloud.tipo.gov.tw/S282/S282WV1/

商標画像のフォーマットはPNG、JPG、BMP、JPEGで、ファイルサイズは5MB以内でなければならず、商標画像は242px * 242px以上の正方形サイズにトリミングすることが推奨される。AI検索の結果は図形の類似度に応じてランキングされ、最大1,000件の先願商標が提示される。この新機能は現時点ではまだベータ版の試験段階で、図形の補助検索ツールであるため、正式版が提供されるまでは既存の検索システムの「図形類似検索」で図形分類コード、商品または役務名称(または類似グループ)を設定する検索結果を基準とする。知的財産局は新機能を一般公開し、システムの最適化と有効性の向上のため、ユーザーからのフィードバックを期待している。
要約すると、AIの図形による図形検索機能を利用することにより、商標登録の効率と利便性を高めることができる。商標検索は新規商標登録出願において非常に重要であるが、商標検索の結果は一般の出願人が解読しきれないこともある。また、新規商標登録出願の商標は、他人の商標と混同するような類似商標であってはならず、識別性等の要件も満たさなければならない。ましてや、商標や商品の類似の基準は多くの主観的な認定や知的財産局の審査の実務にも影響する。そのため、出願人は商標が登録の要件を満たすか否かを判断するためになおも専業代理人の支援を必要とすることになると考えられる。

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