台湾及び各国産業における商標出願の概況(2019~2023年)

2023年台湾特許の各項申請及び審査に関する資料

商標制度は主に企業の商品またはサービスの識別及びブランドの保護を提供するためのものであり、商標登録は出願人が、提出する商品及び/またはサービスの区分に応じて出願して商標権を取得するものである。異なる区分の商品/サービスに対し、一部の国では一商標一区分の商標登録出願に限定しているが、主な知的財産権保護国の多くは一商標多区分が可能になっている。一方、商標登録出願の区分から、産業の変化、反映されるマーケットのニーズ、及び消費者の好みを理解することができる。世界知的所有権機関(WIPO)は毎年、各国の商標出願の件数及び区分数を、GDP及び一人当たりのGDP等の要素と併せて、グローバル特許、商標、意匠の出願の概略を提示しており、去年の11月に、台湾知的財産局はWIPOが公表した2023年世界知的財産指標(World Intellectual Property Indicators、略称WIPI)レポートを参照して、2019~2023年の台湾産業における商標出願のトレンド分析を提出しており、その内容については下記説明を参照。

商標出願件数および区分数
2019~2021年はコロナ禍に応じた商品の需要及びサービスから、台湾を含めたグローバルの商標出願件数は連続的な成長を見せ、その後の二年は減少の傾向にあった。グローバルの商標出願の件数及び区分数は2022年にそれぞれ15.7%、14.5%減少し、2023年にはそれぞれ1.3%、2%減少した。台湾も2022年にそれぞれ1.17%、14.5%減少し、2023年にはそれぞれ0.67%、6.28%減少した。WIPIのレポートによると、2023年の商標登録出願区分数の上位五国は順に中国、米国、ロシア、インド、ドイツとなり、出願量が増加した国はロシア(+30.1%)、メキシコ(+11.1%)、インドネシア(+10%)、ブラジル(+8.5%)、インド(+6.1%)となり、出願量が減少した国は中国(-3.4%)、ドイツ(-7.3%)、米国(-10.1%)、スイス(-10.5%)、トルコ(-17.6%)となる。

直近の五年前後からみて、台湾の商標出願の件数(2019年86,745件;2023年91,509件)及び区分数(2019年111,525類;2023年114,552類)はそれぞれ5.4%、2.7%増加している。

2023年のWIPOの上位20国の商標出願区分数(括弧内は外国人の割合)によると、順に中国7,184,831類(2.7%)、米国739,395類(35.4%)、ロシア546,455類(7.5%)、インド520,862類(9.1%)、欧州連合436,720類(34.0%)、ブラジル427,327類(9.4%)、トルコ398,763類(8.2%)、イギリス345,205類(44.2%)、日本328,559類(21.9%)、イラン327,384類(2.5%)、韓国314,284類(15.8%)、フランス263,550類(5.1%)、ドイツ229,793類(9.9%)、メキシコ205,867類(25.7%)、インドネシア152,447類(22.7%)、オーストラリア148,543類(42.7%)、カナダ142,820類(62.5%)、ベトナム116,758類(29.6%)、イタリア101,002類(9.0%)、スイス96,855類(58.6%)となる。これと対照すると、台湾の2023年の商標出願の区分数は114,552類(外国出願人の割合27.6%)で、グローバル順位で第19位となる。中国、インド、ブラジルなどの国の商標出願は九割が内国人であり、台湾及び他の国の外国出願人は少なくとも二、三割以上となっている。

商標出願区分と産業との関連性
台湾の商標登録出願は一商標多区分を採用しており、商標またはサービスが指定する区分もWIPOにおける国際ニース分類を参照している。各国(地域)の商標区分はそれぞれ異なるが、WIPOはニース分類を大体下記の十大産業分野に分けている:

ニース分類産業分野
09, 38, 42, 45技術研究
03, 05, 10, 44健康医事
14, 18, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 34衣服装飾
29, 30, 31, 32, 33, 43農業食材
35, 36商業金融
13, 15, 16, 28, 41娯楽教育
08, 11, 20, 21住宅設備
07, 12, 39輸送機械
06, 17, 19, 37, 40建築産業
01, 02, 04化学産業

基本的に、日欧米などの先進国家は技術研究がトップとなり、次に商業金融、娯楽教育または衣服装飾となる。台湾商標は内国人と外国人によって、出願が属する産業分野の分布が少々異なる。下記二つの表を参照。

2019~2023年の台湾商標の内国人による出願の産業分野分布
農業食材商業金融健康医事技術研究娯楽教育衣服装飾住宅設備建築産業輸送機械化学産業
201926.30%16.40%15.50%10.20%9.80%8.00%5.20%3.50%3.70%-
202026.00%17.00%16.60%9.90%9.90%7.60%5.00%3.50%3.20%-
202125.50%18.90%15.70%10.10%9.90%7.40%4.80%3.50%2.90%-
202224.90%18.90%15.00%10.70%10.30%7.00%4.70%4.10%3.20%-
202324.40%18.80%15.20%10.20%10.10%7.70%4.50%4.30%3.30%-
2019~2023年の台湾商標の外国人による出願の産業分野分布
技術研究健康医事農業食材衣服装飾娯楽教育商業金融輸送機械住宅設備建築産業化学産業
201919.10%17.60%12.30%11.80%10.00%9.90%5.50%6.70%4.10%2.90%
202019.30%19.10%11.20%11.10%10.10%9.20%5.70%7.00%4.20%3.10%
202120.40%18.10%11.30%11.30%9.90%9.40%5.70%6.90%4.10%2.90%
202221.50%15.90%10.50%11.00%10.60%9.90%6.10%6.60%4.70%3.30%
202319.90%17.10%12.20%11.40%9.40%9.30%6.60%6.20%4.70%3.20%
◎その他
2023年WIPOの主な国家と台湾の商標出願の登録査定率
米国欧州連合ベネルクス IP組織中国インド日本韓国台湾
45.10%96.40%90.80%65.20%62.80%n/a83.80%87.90%
2023年WIPOの主な国家と台湾の商標出願の審査期間の統計 單位:日
-初回通知までの平均期間査定までの平均期間-初回通知までの平均期間査定までの平均期間
カナダ854948ベトナム836870
ブラジル399462韓国414540
米国251444タイ185416
イタリア10180台湾182222
イスラエル103202日本177213
オーストラリア43120インド30150
ドイツ6292カタール5284

註:台湾知的財産局における商標登録出願の公告標準処理期間は八ヶ月であるが、実際の処理期間は約六~七ヶ月である。台湾の商標登録において知的財産局のファストトラック制度の条件を満たした場合、一般の出願よりも一ヶ月半以上の審査時間を短縮できる。このほか、台湾は2024年5月1日から加速審査制度を実施しており、出願人に権利の即時取得の必要がある場合は、加速審査を審査すれば、早ければ二ヶ月内に審査結果を受けることができる。

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台湾及び各国産業における商標出願の概況(2019~2023年)