日本 台湾優先権書類の電子的交換 2013年12月運用開始

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2013年11月5日、台北において日本の対台湾窓口機関である交易財団法人交流協会と台湾の対日窓口機関である亜東関係協会の両会長が日本と台湾間の優先権書類の電子的交換に関する覚書に調印しました。

11月18日、日本特許庁と台湾知的財産局は、両国間の優先権書類の電子的交換を2013年12月2日から開始することを発表しました。これにより、出願人は書面による優先権証明書を提出する必要がなくなります。

優先権書類の電子的交換には、優先権の基礎となる出願を行った官庁(日本特許庁又は台湾知的財産局)にアクセスコードを請求する必要があります。日本特許庁への手続については、特許庁のウェブサイトに「台湾智慧財産局との優先権書類データの電子的交換について」のタイトルで詳細情報が掲載されております。
 
日本・台湾間の優先権書類の電子的交換が開始されるに伴い、台湾の経済部は2013年11月18日付で「台日優先権証明書類電子的交換作業要点」及び同要点を2013年12月2日から施行することを公布しました。内容は以下の通りです(文章中、知的財産局は台湾知的財産局を、特許庁は日本特許庁を指します)。なお、出願日が本システムの開始前であっても、優先権書類の電子的交換は適用されます。

「台日優先権証明書類電子的交換作業要点」(要約)

  1. 優先権証明書類の電子的交換が適用されるのは、特許及び実用新案で、意匠には適用されない。
  1. 優先権主張の基礎となる出願を提出した官庁を第一局とし、第一局への出願を優先権の基礎出願として受理する官庁を第二局とする。アクセスコードは第一局が発給する。アクセスコードは、出願人が最初に提出した特許出願又は実用新案出願の電子文書を入手し、出願番号、出願日、特許分類等を確認できる出願コードである。
  1. 知的財産局を第一局とする場合の作業の流れ
    1. 知的財産局に最初に特許出願又は実用新案出願し、その後特許庁に優先権を主張して出願することを希望する出願人は、知的財産局から当該基礎出願のアクセスコードを取得することができる。
    2. 知的財産局にアクセスコードを申請する出願人は、優先権証明書類申請書中に明記することができる。電子出願の方式で手続する場合も同様である。
    3. 出願人はアクセスコードの申請について、手数料を納付する必要はない。
    4. 台湾出願に基づき優先権を主張して特許庁に出願する出願人は、アクセスコードを優先権証明書類に代えることができる。
    5. 特許庁は、出願人が知的財産局の発給したアクセスコードを提出した後、作業手続に基づいて処理する。
    6. 知的財産局は、特許庁から送信された優先権主張明細を受領後、出願番号及びアクセスコードが対応しているかチェックし、誤りがなければ優先権証明書類の暗号化された電子ファイルを作成し、郵送又はインターネット送信等の交換方式で特許庁に送る。
  1. 知的財産局を第二局とする場合の作業の流れ
    1. 日本出願の優先権を主張する出願人が、最先の優先日から16ヶ月以内に、特許庁が発給した当該出願のアクセスコードを知的財産局に提出した場合は、法定期間内に優先権証明書類を提出したとみなす。
    2. 知的財産局は、出願人が提出した特許庁発給のアクセスコードを受領後、当該基礎出願の出願日、出願番号、特許分類及びアクセスコード等を優先権主張明細に記録し、インターネット送信の交換方式で特許庁に送る。
    3. 特許庁は、知的財産局から送信された優先権主張明細を受領後、作業手続に基づいて処理する。
  1. 知的財産局は、本作業要点の規定に基づく正確な優先権証明書類の電子ファイルが取得できないときは、以下の方式で救済する。
    1. インターネットの送信システムの故障又は郵送上のミス等、出願人に責任を帰すことのできない要因が発生した場合は、知的財産局又は特許庁は故障の回復、追送等の方式で救済する。救済後、出願人は法定期間内に優先権証明書類を提出したとみなす。
    2. 出願人が提出したアクセスコード若しくは基礎出願番号に誤りがある等の出願人に責任を帰すことができる要因が発生した場合は、出願人に2ヶ月以内に正確なアクセスコード若しくは基礎出願番号に補正するよう又は書面の優先権証明書類を補充するよう通知しなければならない。期限までに補正しない又は補充しない場合は、優先権証明書類を提出していないとみなす。
  1. 特許又は実用新案の出願日が本作業要点施行日以前の場合も、本作業要点に基づいて処理する。
    また、知的財産局は、11月18日付で「台日優先権証明文書電子的交換作業 Q&A」を発表しました。注意が必要と思われる点を抜粋し、要約して下記の通り、お知らせ致します。
    「台日優先権証明文書電子的交換作業 Q&A」(抜粋・要約)
    1. 意匠出願の優先権となる基礎出願が特許出願又は実用新案出願の場合、優先権書類の電子的交換は適用されるか。
      答:適用されない。
    2. 日本特許庁に提出したPCT出願を、台湾出願の優先権となる基礎出願とする場合、優先権書類の電子的交換は適用されるか。
      答:適用されない。日本国内に出願した特許/実用新案を優先権の基礎出願とする場合のみ電子的交換が適用され、基礎出願が日本特許庁に提出されたPCT出願の場合、及び台湾出願に基づき、日本でPCT出願する場合の何れも電子的交換の範囲に入らない。
    3. 「台日優先権証明書類電子的交換作業要点」施行日前の特許出願/実用新案出願は当該作業要点に基づき処理されるか。
      答:本作業要点の施行日前の出願は、本作業要点施行後
      • 知的財産局を第一局とする場合、アクセスコードを請求できる;
      • 知的財産局を第二局とする場合、日本特許庁が発給したアクセスコードを紙面の優先権証明書に代えることができる。
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日本 台湾優先権書類の電子的交換 2013年12月運用開始