「2007年商標権侵害国際研究討論会」の開催(台湾)

「2007年商標権侵害国際研究討論会」の開催(台湾) 1

知的財産局は、商標権侵害についての国際研究討論会を本年10月2日、3日に開催することを発表した。以下はそのプレスリリースの訳文である。

主題内容:

経済部知的財産局は、10月2日および3日の2日間、台湾大学擬態科学研究センター2階の国際会議大ホールで「2007年商標権侵害国際研究討論会」を大規模に開催する。このためイギリス、ドイツ、日本、オーストラリアおよびフランスの専門家を講師並びに研究討論への参加者として招待する。

知的財産局は、本年度商標法の修正草案について検討、起草するため、各国の関連立法例を詳しく研究したが、各国の商標権侵害に関する条文の規定部分に多くの疑問があった。そのため今回の研究討論会は、将来における法律修正根拠の重要な参考とするためのもので、国外の専門家を招待し、商標権侵害の国際研究討論会への参加を依頼した。

今回の研究討論会は内容が多岐に亘るものであり、最初にイギリスのDechert LLP弁護士事務所のKate O’Rourke商標弁護士がイギリスの商標保護と実施の進展をテーマとし、商標審査の改正、イギリスの知的財産管理に関するAndrew Gowers 報告、および調停と仲裁の促進を含むイギリス商標法と実務の変遷を紹介し、比較広告または商標権者の信誉に関する商標権侵害の実例について論ずる。そして最後に、イギリスの商標保護とその実施が如何なる変化をもたらすことが可能か、またそれらの変化が商標権者にもたらすであろう影響について論ずる。ドイツ連邦最高裁判所の裁判長を退官したEike Ullmann 博士は、商標権侵害を構成する要件と商標の使用態様について講義し、「混同誤認のおそれについての法律考察」「権利侵害案件にいかなる罰則が可能か」および「インターネットのキーワード広告における商標の検討」等の主題について紹介し、個別に実例を紹介する。更に、ヨーロッパおよびドイツの商標実務における混同誤認のおそれ認定の基本原則について説明し、また、ヨーロッパおよびドイツの商標権侵害行為に焦点をあてた商標保護措置について概説し、近年来注目されているキーワード広告が商標権の侵害を構成するか否かについて、考察と見解を述べる。

日本の中村合同特許法律事務所の飯田圭弁護士・弁理士は、真正品の並行輸入における権利侵害に関するテーマで講義を行い、日本の商標法における商標権の定義と日本の裁判所判決の判例を含め、日本の司法界における特許権、商標権の権利消尽の原則、国内消尽説または国際消尽説について意見と理由を紹介する。また、日本の税関の実務上の改革、侵害品の監視・摘発のシステム、申請手続きと受理のプロセス、その他の機関の専門家の意見を紹介し、禁止されている侵害品の輸出入の確認プロセス、実施成果等の事項について詳細に紹介する。

オーストラリアのDavies Collison Cave事務所のChristine Lowe弁護士はオーストラリアにおける商標の実施面について概説する。その内容は、権利侵害に関するオーストラリア商標法の規定とその関連実例、更にネット上の商標権侵害を構成する商標の使用態様、侵害者、被侵害者双方の主張による攻防、オーストラリア裁判所の手続きプロセス、国境における管理措置等である。

フランスは模造品の取締りについて豊富な経験を有しており、知的財産局はフランス国立工業所有権機関(INPI)の権利侵害専門担当官Jean-Baptiste Barbier氏を招く。同氏は、フランスの模造品取締りについて政策を紹介し、更に同国の偽造防止委員会(NATIONAL ANTICOUNTERFEIT COMMITTEE, CNAC)成立の由来と運営方式、並びにフランスの「全国偽造防止行動計画」の詳細な内容を紹介する。

フランス国立工業所有権機関(INPI)の駐北京大使館経済部知的財産協調官、呉天南氏はフランスの商標保護について概説し、商標専任部門の組織と業務範囲、商標登録のプロセスと統計資料、商標保護を執行する行政部門、権利侵害案件に適用される民事・刑事関連規定等を紹介する。

我が国は台湾台北地方法院の林裁判官が講演を担当し、各国の専門家と我が国の商標権侵害訴訟のプロセス、当事者資格および係争に適用される法規等の実務問題について研究討論する。

今回の研究討論会は、世界各国と我が国の政府関係者、司法機関の代表、経験豊かな弁護士あるいは専門分野の学者が自国の商標権侵害に関連する法規定、制度、救済および代表的な事例を通して研究討論し、我が国の商標審査関係者、司法関係者、商標代理人および商標権侵害関係の専門家が専門知識を高め、我が国の商標保護制度を完全なものとし、我が国と国際社会の交流を強めることが期待される。

会議の関連資料は経済部知的財産局および博大股イ分有限公司の以下ウェブサイトで公開している。