台湾で特許、商標出願をする際の日本会社名の中国語表記について

台湾で特許、商標出願をする際の日本会社名の中国語表記について 1
  1. かつて日本の法律には「会社法」がなく、2005年に「会社法」が成立し、2006年5月に施行されるまでは、商法の第2編「会社」にて規定されていました。
    現行「会社法」によると、会社には以下の4種類があります。
    1. 株式会社(中国語「股份有限公司」;英語「Co., Ltd.」又は「Inc.」)
    2. 合同会社(中国語「合同公司」;英語「LLC」)
    3. 合資会社(中国語「合資公司」;英語「limited partnership company」)
    4. 合名会社(中国語「無限公司」;英語「general partnership company」)

また、同年に日本の「有限会社法」は廃止されたが、それまでにこの法律により設立された会社は存続しています。

  1. 中国公司法に基づく会社には、以下の2種類があります。
    1. 有限責任公司
    2. 股份有限公司
  1. 台湾公司法の規定に基づく会社には、以下の4種類があります
    1. 無限公司(出資者が2名以上で、無限責任を負う)
    2. 有限公司(出資者が1名以上で、出資額を限度として責任を負う)
    3. 両合公司(無限責任を負う出資者が1名以上、有限責任を負う出資者が1名以上)
    4. 股份有限公司(出資者が2名以上で、株式の引受価額を限度として責任を負う)
  1. 一般に、日本の「株式会社」は、中国や台湾の「股份有限公司」に相当します。
  1. 日本の会社が中国や台湾で特許、商標を出願する場合、日本の会社名を中国語に訳す必要があります。会社名には「特徴的命名部分」と「組織形態部分」があり、例えば「ソニー株式会社」の場合、「ソニー」は特徴的命名部分で、「株式会社」は組織形態部分にあたります。
    日本の会社が中国や台湾で特許、商標を出願する場合、日本の会社名を中国語に訳す必要があります。会社名には「特徴的命名部分」と「組織形態部分」があり、例えば「ソニー株式会社」の場合、「ソニー」は特徴的命名部分で、「株式会社」は組織形態部分にあたります。
    一般に、日本の会社名の「特徴的命名部分」の翻訳には以下のような原則があります。
    1. 特徴的命名部分が漢字、漢字に変換可能又は日本語漢字であるときは、そのまま対応する中国語漢字表記に置き換える
      【例】 資生堂 ⇒ 資生堂
      みずほ銀行 ⇒ 瑞穂銀行
      田邊製薬 ⇒ 田邊製藥
    2. 特徴的命名部分がカタカナで、先天的な意味がないときは、音訳する
      【例】ソニー ⇒ 索尼
    3. 特徴的命名部分がカタカナで、先天的な意味があるときは、意訳する
      【例】パイオニア ⇒ 先鋒
    4. 特徴的命名部分が漢字+音訳のカタカナであるときは、漢字+音訳/意訳する
      【例】京セラ ⇒ 京瓷
    5. 特徴的命名部分の一部が漢字の読み方に基づく表記、一部が英語の読み方に基づく表記であるとき、全てを意訳、一部を意訳し一部を音訳、全てを音訳する
      【例】アイリスオーヤマ ⇒ 愛麗思歐雅瑪
      KOKUSAI ELECTRIC ⇒ 國際電氣
    6. 特徴的命名部分が英語の略語またはアルファベットの組み合わせで翻訳できないときは、アルファベットをそのまま特徴的命名部分とする
      【例】TDK ⇒ TDK
      JFEスチール ⇒ JFE鋼鐵
      TOKYO T’s ⇒ 東京T’s

中国語漢字に音訳する場合、一般に、画数が少なく、縁起の良いまたはポジティブな意味をもつ漢字が好ましく、ネガティブな漢字、読み書きが難しい漢字、またはパソコンで変換できないような非常用漢字を避けます。
当然、漢字訳名は公告にも使用しやすいものが良く、会社や製品のイメージに合うものでなければなりません。

また中国や台湾に代理商がある場合、そこに中国語会社名の命名を依頼しても構いませんが、将来的な紛争を避けるために、中国語会社名の商標登録は日本の会社が行うことが好ましいとされています。

  1. 中国で商標登録出願をする場合、中国商標局は会社名に組織形態部分が必要であると規定しているので、日本の会社は組織形態を中国語に訳す必要があります。しかしその訳は代理人によって様々であり、例えば出願人が「株式会社」であるとき、次のように訳される場合があります。
    1. 株式会社
    2. 股份有限公司
    3. 有限公司
    4. 有限会社
    5. 英語の名称を中国語名称とする

以上のように「株式会社」が「有限公司」と訳されるケースがあるが、このような場合でも中国で不利益を受けることはないようである。
中国の「有限公司」には「有限責任公司」または「股份有限公司」が含まれる可能性があり、少数ではあるが「株式会社」を「有限公司」と訳している日本の会社もあります。

  1. 一般に、日本の会社が台湾で商標または特許出願する場合には中国語会社名に翻訳しなければならないが、台湾では前記第3項で述べたように、台湾公司法の規定に基づき「有限公司」と「股份有限公司」は異なる組織形態の会社であるため、将来、会社の主体が同一でないと認定される問題が起こらないように、日本の「株式会社」は必ず「股份有限公司」と訳さなければなりません。

なお、台湾において2018年10月19日に施行された「商標登録出願の審査基準」第32頁でも、日本企業「○○株式会社」は「○○股份有限公司」と訳すべきであると規定されています。

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