税関による商標権益保護措置執行実施弁法(台湾)

2024年5月1日より台湾商標法改正条文が施行される

2012年7月1日から施行された台湾の新商標法では、税関による商標権保護措置に関し、以下が新たに追加された。

  • 職権に基づき検査、差押及び権利侵害品の情報を提供する(第75条及び第76条)
  • 商標権者が税関からサンプルを借り出し、権利侵害の認定を行うことができる(第77条)

これに伴い、財政部関税総局は税関による商標権益保護措置執行実施弁法を制定し、2012年7月9日に公布、同日施行した。以下は、同弁法の全般的解説及び条文である。

税関による商標権益保護措置執行実施弁法の全般的解説

商標法第75条から第77条に基づく、税関の商標権益保護措置の執行、権利者による差押物品の検査の申請、権利侵害貨物に関する情報提供の申請、及びサンプル貸し出しの申請を規定するため、商標法第78条第2項における権限付与に基づき本弁法を起草する。税関の執行に役立て、且つ、商標権者及び輸出入者双方の権益に配慮するよう、関連する作業、手続、添付しなければならない文書及びその他の関連事項を規定する。要点は以下の通りである。

  1. 本弁法制定の依拠。(第1条)
  2. 商標法第75条第1項に基づき税関が実施する商標権保護措置、いわゆる「職務執行」の範囲。(第2条)
  3. 商標権者が輸出入貨物を特定して商標権侵害を告発した場合の、商標権者及び輸出入者が行わなければならない事項、提出しなければならない資料、及び税関が行わなければならない作業手続等。(第3条~第7条)
  4. 商標権者が輸出入貨物を特定せず商標権を侵害する疑いがあると申し立てた場合の、税関が行わなければならない作業手続。(第8条)
  5. その他の機関から通報された又は輸出入貨物の外観に明らかに商標権侵害の疑いがあることを自ら発見した場合の、税関が行わなければならない作業手続。(第9条)
  6. 商標権者又は輸出入者が行う差押物品の検査申請に関する規定及び要される手続。(第10条)
  7. 商標権者が行う関連情報提供の申請に関する規定及び要される手続。(第11条)
  8. 商標権者が行うサンプルの貸し出し申請に関する規定及び要される手続。(第12条)
  9. 本弁法の施行日。(第13条)

税関による商標権益保護措置執行実施弁法

2012年7月9日財政部台財関字第10105520440号令公布

第1条 本弁法は商標法(以下、本法という)第78条第2項の規定に基づき定める

第2条 本法第75条第1項に述べる職務を執行するとは、下記の事実の一つがあることを指す:

  1. 商標権者が輸出入貨物を特定し、その商標権を侵害していると告発。
  2. 商標権者が輸出入貨物を特定せず、その商標権を侵害している疑いがあると申立。
  3. その他の機関が輸出入貨物に商標権侵害の疑いがあることを通報。
  4. 税関が輸出入貨物の外観に明らかに商標権侵害の疑いがあることを自ら発見。

第3条 商標権者が輸出入貨物を特定し、その商標権を侵害していると告発する場合は、財政部関税総局又は貨物の輸出入地の税関に書面で行い、且つ、下記書類を添付しなければならない。

  1. 権利侵害の事実及び権利侵害品を識別するための説明。更に権利侵害品を確認する資料、例えば、真正品、模倣品のサンプル、写真、カタログ又は図版を電子ファイルで提供する。
  2. 輸出入業者の名称、品名、輸出入通関地及び日付、航空機又は船舶の航行番号、コンテナ番号、貨物保存場所等の関連する具体的な情報。
  3. 商標登録の証明文書
    前項の申請を代理人が提出する場合は、代理であることを証明する文書を添付しなければならない。

第4条 税関は前条の告発を受け取ったとき、告発の内容が具体的であるか否か検討、評価しなければならない。受理する場合は、商標権者に通知しなければならない。不受理の場合はそれを通知し、不受理の理由を説明しなければならない。必要な場合は、商標権者に出頭して説明するよう通知することができる。

第5条 税関は前条の規定に基づき告発を受理したとき、輸出入貨物と告発内容を照合し、内容が一致した場合は、電話及びファクシミリで商標権者及び輸出入者に通知しなければならない。

商標権者及び輸出入者が前項の通知を受け取ったときは、下記の手続に基づき処理する。

  1. 空輸輸出貨物の告発案件は商標権者が4時間以内に、空輸輸入及び海運輸出入貨物の案件は商標権者が24時間以内に税関に出頭して認定し、3執務日以内に権利侵害の証拠を提出しなければならない。但し、正当な理由があり期限内に提出できない場合、期限満了前に税関に書面で理由を説明し3執務日の延長を申請することを認める。但し、1回に限る。
  2. 輸出入者は、3執務日以内に使用許諾を証明する文書又は権利侵害の事実が無いことを証明する文書を提出しなければならない。但し、正当な理由があり期限内に提出できない場合、期限満了前に税関に書面で理由を説明し3執務日の延長を申請することを認める。但し、1回に限る。

第6条 商標権者が前条に基づき輸出入貨物に商標権侵害の事実があると認定し、且つ権利侵害の証拠を提出したときは、下記の手続に基づいて処理しなければならない。

  1. 輸出入者が前条第2項第2号に規定される期限内に使用許諾を証明する文書又は権利侵害の事実がないことを証明する文書を提出しない場合、税関は本法第95条又は第97条の規定に基づき、案件を司法機関に移送し、捜査、処理する。
  2. 輸出入者が前条第2項第2号に規定される期限内に使用許諾を証明する文書又は権利侵害の事実がないことを証明する文書を提出した場合、税関は商標権者に通知受領後3執務日以内に、本法第72条第1項の規定に基づき税関が予め貨物を差押えるよう申請できることを通知しなければならない。

商標権者が前項第2号の期限内に税関に予め貨物を差押えるよう申請せず、その他の通関規定に違反していないときは、代表性があるサンプルを選び取り、貨物の輸出入に関する通関規定に基づき処理することができる。

第7条 商標権者が第5条に基づき税関に出頭して認定を行わない、又は期限までに権利侵害の証拠を提出しない、又は輸出入貨物に商標権侵害の事実がないことが認定されたとき、その他の通関規定に違反していない場合は、税関は貨物の輸出入に関する通関規定に基づき処理しなければならない。

第8条 商標権者が輸出入貨物を特定せず、商標権侵害の疑いがあると申し立てる場合は、財政部関税総局又は貨物の輸出入地の税関に書面で行い、且つ第3条第1号及び第3号の資料を添付しなければならない。

税関の前項案件の受理、保護措置の執行は、第4条から第7条の規定を準用する。

税関が前項の保護措置を執行する期間は、税関が受理を認めた日から1年を期限とし、商標権者は、期間満了前に資料を更新して税関に延長を申請することができ、各回とも延長期間は1年とする。延長を申請しなかったときは、新たに申立の申請を行わなければならない。

第9条 税関は、その他の機関が通報した商標権侵害の疑いがある輸出入貨物、又は自ら発見した外観に明らかに商標権侵害の疑いがある輸出入貨物について、第5条から第7条の規定を準用して保護措置を執行する。

税関が前項の規定に基づいて処理するとき、商標権者の連絡先情報を取得する方法がない場合は、ファクシミリで経済部知的財産局に協力を求めることができる。

税関が前項の協力を求めた時から1執務日以内に商標権者の連絡先情報を取得できず、更にその他の通関規定をチェックし、違反していないときは、代表性があるサンプルを選び取った後、貨物の輸出入に関する通関規定に基づき処理することができる。

第10条 本法第76条第1項の規定に基づき、差押物品の検査を申請する場合は、貨物の輸出入地の税関に書面で行わなければならない。

前項の検査は、税関が指定する時間、場所及び方法に基づいて行わなければならない。

税関が前項の指定を行うときは、差押物品の機密情報の保護を損なわないよう注意しなければならない。

第11条 商標権者が本法第76条第2項の規定に基づき関連情報の提供を申請する場合は、申請書を作成し、下記文書を添付して貨物輸出入地の税関に申請しなければならない。

  1. 商標登録の証明文書
  2. 権利侵害の証拠
  3. 商標権者が税関から取得した情報は商標権侵害案件の調査及び訴訟の提起における使用に限られることを表明する誓約書

前項の申請を代理人が提出する場合は、代理であることを証明する文書を添付しなければならない。

第1項の申請に対し、税関はチエックし、承認した後、輸出入者、貨物の荷受人、荷送人の氏名又は名称、住所及び侵害疑義物品の数量を書面で提供することができる。

第12条 商標権者が本法第77条第1項の規定に基づき税関に申請するサンプルの借り出しは、現場で輸出入貨物の権利侵害の認定が困難であり、サンプルを借りて機器、装置を用いた鑑定が要される又は特別な原因があり税関が同意した場合に限る。

前項の申請は申請書を作成し、保証金を納付し、下記文書を添付して、貨物輸出入地の税関に提出しなければならない。

  1. 商標登録の証明文書
  2. 借り出し人の身分証明及び使用許諾文書
  3. 商標権者が借り出すサンプルは輸出入者の利益を侵害してはならない及び不正な用途に使用しないことを表明した誓約書

前項の申請を代理人が提出する場合は、代理であることを証明する文書を添付しなければならない。

サンプルの抽出は、税関が同じ型番規格の貨物を一式2件抜き取り、1件は税関が写真を撮り証拠を残してから申請人に貸し出し、1件は税関が封印して保存する。

第13条 本弁法は公布の日から施行する。