商標紛争案件審問作業要点(台湾)

2024年5月1日より台湾商標法改正条文が施行される

経済部知的財産局は2005年2月21日、「商標紛争案件審問作業要点」を発布し、即日施行した。(「中央法規標準法」の規定により、この作業要点が実際に効力を生じたのは2005年2月23日である)。この作業要点は、商標登録に対する異議、無効審判及び廃止〔取消〕請求の審査に適用される。従来、これらの案件については、原則として書面審査のみで決定が行われていたが、今後はこの作業要点を適用して、当事者の申請により又は知的財産局が必要と認めた場合に職権で審問が行われる。

審問では、証拠調べ、両当事者の口頭弁論、交互尋問が行われる。また、審問には、当事者、利害関係人、証人、鑑定人が出席するほか、一般民衆も傍聴を申請することができる。

審問担当官は、当事者に和解の意志があるか否か、質問をすることができ、両当事者とも和解の意志があるときは、審問を中止することができる。

また、異議申立人又は審判・取消請求人は、その主張する条項・事由又は商品若しくはサービスの一部を放棄することができ、商標権者も、その登録商標の指定商品若しくはサービスを減縮し、又は商標権を放棄し、又は商標権を分割することができる。

審問で証拠調べ及び口頭弁論を経て行われた知的財産局の決定に対し、不服があるときは、経済部に訴願をしないで、直ちに行政訴訟を提起することができる。

以下に訳載するのは、この作業要点の全文である。

商標紛争案件審問作業要点(訳文)

2005年2月15日発布・即日施行

  1. 根拠及び目的
    • 1.1  経済部知的財産局(以下本局と称する)は、商標紛争案件の審問を行うため、行政手続法第107条第2号の規定及び第1章第10節の審問手続き等に関する規定に基づき、特に商標紛争案件審問作業要点(以下本要点と称する)を制定する。
    • 1.2 審問の目的は、商標紛争案件の当事者及び利害関係人に、紛争の事由、証拠及び法律上の見解等について、口頭弁論を行う機会を与え、並びに案件の審査担当者が、審問において調査した全部の事実、証拠及び口頭弁論の結果を参酌して、論理及び経験則に基づいて事実の真相を判断し、内心の確信を形成し、かつ、これを根拠として決定を行うのに役立たせることにある。証拠調べ並びに両当事者及び利害関係人の口頭弁論の聴取手続きを経て行われた処分に対し、不服がある者は、行政手続法第109条の規定により、訴願手続きを免除され、直ちに行政訴訟を提起することができる。
  1. 用語の定義
    • 2.1 商標紛争案件:商標異議案件、商標審判案件及び商標廃止〔取消〕案件をいう。
    • 2.2 審問当事者:商標紛争案件の係争商標の商標権者及び商標紛争案件の請求人又は異議申立人をいう。
    • 2.3 利害関係人とは、商標紛争案件当事者以外の以下の者をいう。
      • (1) 係争商標に関する訴訟の訴訟当事者。
      • (2) 係争商標の譲受人、被許諾者、質権者。
      • (3) その他係争商標の権利の存否が自己の権利又は利益に影響を及ぼす者。
    • 2.4 審問担当官:本局局長又はその指定する者。
  1. 審問の申請、職権による審問
    • 3.1 商標紛争案件の当事者は、相手方当事者と直接に口頭弁論を行い、又はすでに証言をした証人若しくは鑑定人に対し反対尋問を行う必要があると認める場合、理由を記載した申請書(添付様式1)を提出して審問を申請しなければならない。
    • 3.2 本局は、審問を行う必要があると認める場合、職権で審問を行うことができる。
  1. 審問の通知及び公告
    • 4.1 本局は、特定の案件について審問を行う旨の決定をした場合、審問期日の20日前に、下記事項を記載した書面をもって、商標紛争案件の当事者及び知られている利害関係人に通知をしなければならない。ただし、当事者及び知られている利害関係人が同意をしたときは、前記20日前の規定の制限を受けない。
      • (1) 審問の事由及び根拠。
      • (2) 当事者の氏名又は名称及びその住所又は居所、事務所又は営業所。
      • (3) 審問の期日及び場所。
      • (4) 審問の主な手続き。
      • (5) 当事者は代理人を選任することができること。
      • (6) 当事者は審問において意見を陳述し、証拠を提出し、かつ、審問責任者の同意を得た後、関係官庁が指定した者、証人、鑑定人、他の当事者及びその代理人に対し質問をすることができること。
      • (7) 合法の通知を受けた当事者が審問に出席しなかったときは、他方の当事者のみに対し審問を行うことができること。
    • 4.2 当事者がすでに証言をした証人又は鑑定人に対し反対尋問を行うことを申請した場合、本局は、審問期日の20日前に証人又は鑑定人に通知をしなければならない。証人又は鑑定人に対する審問参加の通知の期限については、当該証人又は鑑定人が同意したときは、前記20日前の規定の制限を受けない。
    • 4.3 当事者又は利害関係人は、正当な理由があるため期日の変更を申請するときは、遅くとも審問期日の10日前に、書面又はファクス送信をもって申請をしなければならず、正当な理由がある場合、本局は審問期日の変更に同意することができる。
    • 4.4 当事者又は利害関係人は、審問期日の10日前に審問出席申請書(添付様式2)を本局に返送しなければならない。当事者が指定の期日に審問に出席できないときは、その委託を受けた者が代理人として出席することができる。
    • 4.5 審問を行うときは、本局の庁舎又はウェブサイトに適当な方法で公告をすることができる。
      公告の内容は次のとおりとする。
      • (1) 審問の事由及び根拠。
      • (2) 当事者の氏名又は名称及びその住所又は居所、事務所又は営業所。
      • (3) 審問の期日及び場所。
      • (4) 当事者の選任した代理人。
  1. 関係文書及び証拠の副本の転送 審問を行う前に、審査担当者は、当事者の提出した関係文書又は証拠の副本を相手方当事者に転送しなければならない。
  2. 審問においては、商標紛争案件の下記事項に関連する証拠資料の調査及び弁論を行うことができる。
    • (1) 商標としての識別性を有する商標であるか否か。
    • (2) 商品又はサービスの説明的文字又は普通に使用される標識若しくは名称からなる商標であるか否か。    
    • (3) 商品又は包装の機能的立体形状からなる商標であるか否か。
    • (4) 商標に誤認混同を生じさせる状況があるか否か。
    • (5) 商標又は標章の知名度の程度又はその商標の識別力若しくは信用を減損させる状況があるか否か。    
    • (6) 商標法第23条第1項第14号に規定されるその他の関係。
    • (7) 社会通念において商標の使用により同一性が失われるか否か。
    • (8) 商標の使用が商取引の習慣に適合するものであるか否か。
    • (9) 商標法第78条に規定される証明標章権、団体標章権又は団体商標権の移転又は他人への使用許諾の場合において、消費者の利益又は公正な競争に反する事情があるか否か。
    • (10)その他商標紛争案件について調査を行うべき事項。
  3. 審問を行わない場合 本局は、審問申請に対し、その申請理由が当該案件と明らかに無関係であり、又は案件の内容が明らかで審問を行う必要がないと認めた場合、無効審判、異議申立又は取消請求に対する決定書又は処分書に審問を行わない理由を記載する。
  4. 審問担当官は、公正な立場を維持して、審問を行わなければならない。 審問担当官は、審問手続きを進めるにあたり、下記事項について職権を行使することができる。
    • (1) 事実又は法律問題について、当事者又はその他の出席者に対し質疑を行い、又は証拠の提出を求めること。
    • (2) 証人又は鑑定人の出席を求めること。
    • (3) 当事者又はその他の出席者の発言を許可すること。
    • (4) 手続きの停滞を避けるため当事者又はその他の出席者の発言を禁止すること。また、手続きの進行を妨げる重大な行為をした者に対し退席を命じること。
    • (5) 当事者が理由なく欠席をしたときは、直ちに審問を行い又は審問を延期し又は終結させること 。    
    • (6) 審問の参加者について、審問の場所の制限により人数を限定すること。
    • (7) その他審問の順調な進行のために必要な処置をとること。
  5. 審問の手続きの進行
    • 9.1 審問は、審問の通知に記載された指定の期日に、本局会議室又は指定の場所で行う。
    • 9.2 審問は、公開でかつ口頭で行う。
      公開で行われることにより当事者の利益に重大な損失が生じるおそれがある場合、審問担当官は、審問の全部又は一部を非公開とする旨の決定をすることができる。
    • 9.3 審問については、その開始前に、審問に出席する者の身分証明書を照合し、かつ、審問に出席する資格を確認しなければならない。審問に出席する者は、自ら身分証明書を確認のために提示しなければならない。審問担当官は、身分証明書を提示することができず、かつ、適時にこれを補正することができなかった者に対し、審問への出席(又は列席)を許可してはならず、また、当該状況を審問記録に記載しなけばならない。
    • 9.4 審判案件については、法の規定により3名以上の審判委員が、合議の方式で評決を行い、審問を行うときは、審判委員すべてが出席しなければならない。
    • 9.5 審問の進行については、審問担当官が開始の宣告をした後、最初に当事者に審問出席者の紹介を求め、かつ、両当事者に出席者の資格に対し異議があるか否かを確かめる。両当事者に異議がないときは、審問の進行要点を説明し、発言及び両者間の質疑応答の順序並びにその他の注意事項を告知し、両当事者の権利及び義務を宣告する。また、審査担当者の回避を求めるか、証人に証言及び証拠物の提示を求めるか、又は鑑定事項について鑑定人に説明を求めるか、当事者に尋ねる。
    • 9.6 審問担当官は、案件の内容及び争点を簡潔に説明し、かつ、各当事者が提出した証拠を点検する。
    • 9.7 当事者又は利害関係人が審問の席上で提出した新規の証拠に対し、相手方当事者は、その場で答弁をし、又は書面で答弁をする旨を表明することができる。
    • 9.8 両当事者が証拠及び事実を確認したときは、これに続いて口頭弁論を行わなければならず、まず請求人又は異議申立人が事実・証拠、争点及び適用の法令について意見を陳述し、続いて商標権者が答弁を行う。両当事者の交互尋問については反復して行うことができ、かつ、疑義を有する事項について質問を行うことができる。
    • 9.9 当事者は、案件の内容の説明及び手続き上の問題について、審問担当官に質問をすることができ、審問担当官は簡潔に要点を説明しなければならない。また、当事者は、案件の実質上の問題について審問担当官に意見の表示又は判断を求めることができない。
    • 9.10 当該案件の立証を要する事実又は調査を要する証拠が多項ある場合、審問担当官は、1項ごとに交互尋問及び弁論を行うことを当事者に命じることができる。
    • 9.11 審問の進行中において、審問担当官は、当事者に和解の意思があるか否か、質問をすることができる。両当事者とも和解の意思がある場合、審問担当官は、審問を中止し、本要点第9点に定める審問手続きの中止に関する規定に従って処理をすることができる。
    • 9.12 審問担当官は、当事者がすでに十分に口頭弁論を行い、かつ、両当事者が最終意見陳述を行った後、弁論の終了を宣告し、かつ、審問を終結させる。口頭弁論が十分に行われなかった場合には、審問の終結前に引き続き審問を行う期日及び場所を決定しなければならない。
    • 9.13 審問手続きの進行中において、申請人は、一部の主張の条項・事由を取り下げ又は放棄し、又はその主張する指定商品又はサービスの範囲を縮小することができる。また、商標権者もその登録商標の指定商品又はサービスの範囲を減縮し、又は商標権を放棄し、又は商標権の分割を申請することができる。ただし、減縮、放棄又は分割等の関連の申請手続きをしなければならない。
    • 9.14 審問担当官は、行政手続法第109条の規定により、審問に基づいて行われる処分に対し、不服がある場合、その行政救済手続きは、法の規定により直接に行政訴訟を提起すべきものであることを、当事者に教示しなければならない。
  1. 審問中止の手続き
    • 10.1 審問中止の理由
      当事者に和解の意思がある場合、又は審問の開始後に新たな証拠資料が提出され、審問中にその証明事項の真否を確認することができず、かつ、その証拠が当該商標紛争案件に重大な影響を及ぼすものである場合、審問担当官は、申請により又は職権で審問を中止することができる。
    • 10.2 審問担当官は、審問中止の決定をした場合、中止の事由を審問記録に明記しなければならない。
  1. 審問の秩序
    • (1) 審問室内は、喫煙、飲食を禁じ、また、移動式電話は電源を切り又は音声を発しない状態にしなければならない。
    • (2) 発言者の意見陳述に対しては、拍手をし又は騒音をあげてはならない。
    • (3) 他人の発言中においては、妨害又は質疑をしてはならない。
    • (4) 発言のときは、当該案件の関連事項について意見を陳述し、人身攻撃をしてはならない。
    • (5) 審問中においては、録音、録画又は写真撮影をすることができない。
  2. 審問の記録
    • 12.1 審問については、記録担当者が審問記録を作成してこれをファイルに保存する。前項の記録には、下記事項を明確に記載し、かつ、審問担当官が署名をする。
      • (1) 案件の名称。
      • (2) 出席当事者、利害関係人、証人、鑑定人及びその他の代理人の氏名。
      • (3) 審問の期日及び場所。
      • (4) 当事者、利害関係人、証人、鑑定人又はその代理人が行った陳述又は質問の要旨及びその提出した書類及び証拠。
      • (5) 当事者が、審問において、異議を表明した事由及び審問担当官の当該異議に対する処理。
      • (6) 質問事項及び質問を受けた者の回答の要旨。
    • 12.2 審問の記録については、補助として録音又は録画を行うことができる。
    • 12.3 審問の席上で作成が完了した審問の記録には、当事者、利害関係人、証人及び鑑定人が署名又は押印をし、その記載に対し異議がある者は、即時に異議を表明することができる。審問担当官は、その異議を理由があると認めるときは、訂正又は補充をしなければならない。また、理由がないと認めるときは、これを明確に記載しなければならない。
    • 12.4 当事者、利害関係人、証人又は鑑定人が署名又は押印を拒否したときは、その事由を明確に記載しなければならない。
    • 12.5 審問の記録の作成が席上で完成できないときは、審問の終結前又は審問後に、期日、場所を指定して、当事者、利害関係人、証人及び鑑定人の閲覧及び署名又は押印に供する旨の通知をしなければならない。署名又は押印を拒否し又は指定期日及び場所で閲覧をしなかった者については、その事由を明確に記録しなければならない。
  1. 一般民衆の審問出席
    • 13.1 一般民衆が審問に出席しようとするときは、審問期日の10日前に、本局に審問出席申請書(様式3)を提出しなければならない。
    • 1.3.2審問の場所の制限により、審問の出席の申請については、申請書が先に本局に到着したものを優先的に処理する。
  1. 審問の言語
    審問は国語で行うものとし、外国語で意見陳述をする者は、自ら通訳者を用意しなければならない。