著名商標の権利範囲を、先使用商標に拡張することはできない(台湾)

著名商標の権利範囲を、先使用商標に拡張することはできない(台湾) 1

世界的に有名なスポーツ用品メーカー、ナイキ・インターナショナル・リミテッドが、「NIKI」の文字を含む商標に対して、著名性を根拠として異議申立を行った。異議は不成立となり、原告は訴願を提起したが棄却された。原告は承服せず行政訴訟を提起したが、棄却された。 以下は知的財産局の知的財産権電子報に掲載された記事の訳文である。

掲載日:2009年8月5日

著名商標の権利範囲を、先使用商標に拡張することはできない(台湾) 2

本件の係争商標は、デザインされた模様状の外国文字「BIONIKE」で、異議の根拠となる「NIKE」商標上の単純な活字体「NIKE」と比較すると、二者には同一の「NIKE」があるが、係争商標は単純な文字商標ではないとの印象を人に与え、異議の根拠となる商標のデザインコンセプトとは完全に異なる。全体として見たときの印象も、別個のものであり、両者の類似程度は比較的低い。参加人の所有する係争商標は、1960年に創作され、化粧品に使用されている商標であり、1963年にイタリアで登録を認められ現在まで更新されている。異議の根拠となる商標が創作され使用された1971年よりも早く使用が開始され、使用開始から既に45年を経過し、係争商標の使用が先であると認めるに足り、異議の根拠となる商標を悪意で襲用した可能性がないことは明らかである。且つ係争商標は結合して独立の語義を形成しているだけでなく、模様状にデザインされている。異議の根拠となる商標と比較すると、異議の根拠となる商標にも参加人が先使用する「NIKE」の文字があるが、両者のデザインコンセプトは完全に異なり、全体として見たときの印象も明らかに相違し、このため両者は全く類似を構成していない。

係争商標は、既に国際登録第836577号を取得し、オーストリア、デンマーク、フランス、スペイン、スイス、ドイツ等を含む十余ヶ国の保護を受けている。係争商標の商品は、2001年7月に我が国に輸入され販売されており、当該商標は既に関係する消費者に知られている。従って、参加人がフェイスクリーム、アイクリーム、化粧品等の商品を指定して登録出願した係争商標は、客観上、一般消費者に当該商標の商品の出所又は生産主体の誤認混同を起こさせるおそれはない。また、共通する要素の点から考察すると、係争商標は、不当な方法で又は不正に著名商標の識別性を利用し、異なる商品又はサービスに使用して著名商標の又は標章の識別性又は信用を減損するおそれがあるとは言い難い。

原告の主張:異議の根拠となる商標は著名商標であり、保護は決して同一又は類似商品/サービスに限られるものではなく、単に関係する消費者に誤認混同のおそれがありさえすれば、商標法第23条第1項第12号が適用されるというものである。但し、本号の著名商標保護の目的は、著名商標のビジネス上の信用を不当に利用する、又は便乗し労せずして利益を得ることを禁ずるものであって、後からの商標使用者のビジネス上の成功により、先使用者が継続して原使用範囲内で原商標を使用することの禁止を容認するものでは絶対にない。これは、商標法第30条第1項第3号の規定を見れば明らかである。また、係争商標と異議の根拠となる商標は全く類似せず、商標の誤認混同又は減損のおそれもないということを措いて、原告が「NIKE」商標は既に著名商標となっているため、保護の範囲は一般の登録商標より広いと主張しても、当該権利は依然として参加人が先使用する「BIONIKE」商標にまで拡張することはできない。原告の上述の主張は採用できない。

注記

商標法第23条第1項第12号
次に掲げる事由の一つに該当する商標は、登録をすることができない。

  1. 他人の著名な商標又は標章と同一又は類似であり、関係公衆に誤認混同を生じさせるおそれがあるもの、又は著名な商標又は標章の識別性又は信用・名誉を損ずるおそれがあるもの。ただし、当該商標又は標章の所有者の同意を得て登録出願をしたものは、この限りでない。

商標法第30条第1項第3号
次に掲げる事情に当たる場合は、他人の商標権の効力に拘束されない。

  1. 他人の商標の登録出願日前に善意で同一又は類似の商標を同一又は類似の

商品又はサービスに使用した場合。ただし、原使用商品又はサービスに限られ、また、商標権者は、適当な区別の標示を付加することを要求することができる。