オランダのバレンチノグローブ社が商品区分第25類を指定し出願した「V」商標が異議申立を受けた。その後、当該商標はイタリア服飾メーカーの有名ブランド、バレンチノ社に譲渡された。原処分機関は異議不成立の決定を下したが、異議申立人は不服により、訴願を提起した。訴願において、経済部は原処分取消を決定した。バレンチノ社は不服により行政訴訟を提起したが棄却された。本件は、後願商標が先行登録商標より著名であるため、先行登録商標の製品が後願商標の出願人を出所とすると消費者に誤認を引き起こす逆混同の可能性を認めた判決である。以下は知的財産局の知的財産権電子報に掲載された記事の訳文である。
掲載日:2009年6月5日
著名商標は比較的広い保護範囲を享受できる。しかしながら我が国で登録されていない著名商標を出願登録する際、商標法の規定の存在を無視し、当然登録を取得できるとは表明されていない。当該著名商標の登録以前に、同一又は類似商品/サービスを指定した同一又は類似の商標が登録を取得しているときは、当該著名商標の出願人は、当然、その登録出願が関係する消費者に混同誤認を引き起こすおそれがなく、商標法第23条第1条第13号の規定に違反しないことを証明しなければならない。
商標権侵害に関する法律において、いわゆる「逆混同」(reverse confusion) の概念は、「直接混同」(direct confusion) の概念と相対し、先行する商標権者が市場においては弱い立場にあり、後願の商標権者が強い立場にある又は非常に著名である場合に、後願の商標権者に、先行する商標権者が提供する商品又はサービスが後願の商標権者を出所とすると誤った印象を与える可能性があることを意味する。後願の商標権者は決して先行する商標権者の名声を取り込むことを要するものではないが、しかし先行する商標権者の商標価値を喪失させ、当該商標の新規市場への参入力に影響する。従って、「逆混同」の状況は、消費者に混同を引き起こすだけでなく、後願の商標権者は先行する商標権者に対して侵害行為についての損害賠償責任を負うことを求められる可能性がある。アメリカ及び我が国の商標実務で示された見解では、「逆混同」を認めた類似する事例がある。
本件係争商標は出願登録時、著名商標ではあるが、先に登録された異議の根拠となる商標と類似を構成し指定商品もまた同一又は類似度が高いことは争いのない事実である。両商標の類似性が高く、商品も類似性が高い、その上で係争商標が高い知名度を有しているため、逆に異議申立根拠となっている先行登録の商標・商品が原告を出所とすると消費者に誤認される可能性がある。
注記:
第23条
次に掲げる事由の一つに該当する商標は、登録をすることができない。
13、同一又は類似の商品又はサービスを指定した他人の登録商標又は先願商標と同一又は類似であり、関係消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるもの。ただし、当該登録商標又は先願商標の所有者の同意を得て出願したものは、二者の商標及び指定商品又はサービスが均しく同一である場合を除き、この限りでない。
