台湾・知的財産案件審理法(訳文)

台湾・知的財産案件審理法(訳文) 1

2007年01月09日立法院通過
2007年03月30日総統令公布

第1章 総則

第1条(適用範囲)
知的財産案件の審理は、この法律の規定によるものとし、この法律に規定がない事項については、それぞれ民事、刑事又は行政訴訟の手続きに適用される法律によるものとする。

第2条(営業秘密の定義)
この法律で、営業秘密とは、営業秘密法第2条に定める営業秘密をいう。
※営業秘密法第2条〔営業秘密の定義〕

この法律で「営業秘密」とは、方法、技術、製造工程、処方、プログラム、設計又はその他生産、販売又は経営に用いることができる情報であって、以下の要件に合致するものをいう。

  1. 当該情報に関係する一般の者に知られていないもの。
  2. その秘密性により実際的な又は潜在的な経済価値を有するもの。
  3. 保有者がすでに合理的な秘密保持の措置をとっているもの。

第3条(音声・映像の伝送システムを用いる審理)
当事者、代表者、代理人、弁護人、補佐人、証人、鑑定人又はその他の訴訟関係人の所在場所と裁判所との間に音声及び映像の相互伝送の科学技術設備があり、直接に審理をすることができる場合、裁判所は、申請により又は職権で当該設備を用いて審理をすることができる。

②前項の場合、裁判所は、当事者に意見を求めなければならない。

③第1項の場合、その期日通知書又は喚問状に記載する出廷場所は、当該設備の所在場所とする。

④第1項により行われる手続きの記録及びその他の文書で、訊問を受けた者の署名を要するものについては、訊問を行った裁判所から訊問を受けた者の所在場所に伝送し、訊問を受けた者が内容を確認しかつ署名をした後、これをファクシミリ又はその他の科学技術設備を用いて当該裁判所に返送する。

⑤第1項の審理及び前項の文書の伝送作業の規則は、司法院がこれを定める。

第4条(技術審査官の職務)
裁判所は、必要がある場合、技術審査官に下記職務の執行を命じることができる。

  1. 訴訟関係を明確にするため、事実上及び法律上の事項について、専門知識に基づき当事者に対し説明又は質問をすること。
  2. 証人又は鑑定人に対し直接に質問をすること。
  3. 当該案件について裁判官に意見の陳述をすること。
  4. 証拠保全の場合に証拠の調査に協力をすること。

第5条(技術審査官の回避)
技術審査官の回避については、その参与する審判の手続きにより、それぞれ民事訴訟法、刑事訴訟法又は行政訴訟法の裁判官の回避に関する規定を準用する。

第2章 民事訴訟

第6条(除外規定)
民事訴訟法第2編第3章、第4章の規定は、これを知的財産の民事訴訟に適用しない。
※民事訴訟法第2編〔第1審手続き〕:第3章〔簡易訴訟手続き〕;第4章〔小額訴訟手続き〕

第7条(知的財産裁判所の管轄事件)
知的財産裁判所組織法第3条第1号及び第4号に定める民事事件は、知的財産裁判所が管轄する。
※知的財産裁判所組織法第3条〔知的財産裁判所の管轄案件〕

知的財産裁判所の管轄案件は、以下のとおりとする。

  1. 特許法、商標法、著作権法、光ディスク管理条例、営業秘密法、集積回路回路配置保護法、植物品種及び種苗法又は公正取引法により保護される知的財産権益に関する第1審及び第2審民事訴訟事件。
  2. 〔省略〕
  3. 〔省略〕
  4. その他法律の規定により又は司法院の指定により知的財産裁判所が管轄する案件。

第8条(審理の方法)
裁判所がすでに知悉している特殊専門知識については、当事者に弁論の機会を与えた後にはじめて裁判の根拠として採用することができる。

②審判長又は受命裁判官は、事件の法律関係について、当事者に争点を明確に説示しなければならず、また、その法律上の見解を適時に表明し、かつその心証を適度に開示することができる。

第9条(営業秘密に関する事項の非公開)
当事者の提出する攻撃又は防御の方法が当事者又は第3者の営業秘密に関連する場合において、当事者の申請により、裁判所が適切と認めるときは、審判を公開しないことができる。両当事者が審判を公開しないことに合意したときも、また同じとする。

②訴訟資料が営業秘密に関連する場合、裁判所は、申請により又は職権で、当該資料の閲覧、抄録又は撮影を許可せず、又はこれを制限する旨の裁定をすることができる。

第10条(文書・検証物の提出)
文書又は検証物の所有者が正当な理由がなく裁判所の提出命令に従わず、当該文書又は検証物を提出しなかった場合、裁判所は、裁定によりその者を3万台湾ドル以下の罰金に処することができ、また、必要があるときは、裁定により強制処分を命じることができる。

②前項の強制処分の執行については、強制執行法の物の交付請求権の執行に関する規定を準用する。

③第1項の裁定については、抗告をすることができる。罰金に処する旨の裁定については、抗告中において執行を停止しなければならない。

④裁判所は、第1項の文書又は検証物の所有者に不提出の正当理由があるか否かを判断するため、必要があると認めるときは、なおもその提出を命じることができ、かつ、非公開の方式で検証を行うことができる。

⑤前項の場合、裁判所は、当該文書又は検証物を開示してはならない。ただし、訴訟関係人の意見を聴取するためにその者に対し開示をする必要があるときは、この限りでない。

⑥前項ただし書きの場合、裁判所は、開示前に当該文書又は検証物の所有者に通知をしなければならず、所有者が通知を受けた日から14日以内に、開示を受ける者に対し秘密保持命令を発することを申請したときは、当該申請に対する裁定の確定前に、開示をしてはならない。

第11条(秘密保持命令)
当事者又は第3者がその所有する営業秘密について、下記の事情に該当することを釈明した場合、裁判所は、当該当事者又は第3者の申請により、相手方当事者、その代理人若しくは補佐人又はその他の訴訟関係人に対し秘密保持命令を発することができる。

  1. 当事者の書状の内容に当事者又は第3者の営業秘密が記載されている場合、又はすでに調査をした証拠若しくは調査をすべき証拠が当事者又は第3者の営業秘密に関連する場合。
  2. 前号の営業秘密が開示されることにより、又は訴訟の進行以外の目的への使用に供されることにより、当該当事者又は第3者の当該営業秘密に基づく事業が妨害されるおそれを防止するため、その開示又は使用を制限する必要がある場合。

②前項の規定は、相手方当事者、その代理人若しくは補佐人又はその他の訴訟関係人が、その申請前にすでに前項第1号に定める書状の閲覧又は証拠の検証以外の方法で、当該営業秘密をすでに取得し又は所有しているときは、これを適用しない。

③秘密保持命令を受けた者は、当該営業秘密を当該訴訟の遂行以外の目的のために使用し、又は秘密保持命令を受けていない者に開示してはならない。

第12条(秘密保持命令の申請)
秘密保持命令の申請については、以下の事項を記載した書状を提出しなければならない。

  1. 秘密保持命令を受けるべき者。
  2. 命令により保護を受けるべき営業秘密。
  3. 前条第1項の各号に掲げる事由に該当する事実。

第13条(秘密保持命令の発令)
秘密保持命令の申請を許可する裁定には、保護を受けるべき営業秘密、保護の理由及び開示を禁止する内容を明確に記載しなければならない。

②秘密保持命令の申請を許可するときは、その裁定を申請人及び秘密保持命令を受ける者に送達しなければならない。

③秘密保持命令は、その秘密保持命令を受ける者に送達された時から、効力を生じる。

④秘密保持命令の申請を却下する裁定については、抗告をすることができる。

第14条(秘密保持命令の取消申請)
秘密保持命令を受けた者は、その命令の申請が第11条第1項の要件を満たしていない場合、又は同条第2項の事由がある場合、又はその原因がすでに消滅している場合、訴訟が係属している裁判所に当該秘密保持命令の取消を申請することができる。ただし、案件の裁判の確定後においては、秘密保持命令を発した裁判所に申請をしなければならない。

②秘密保持命令の申請人は、当該命令の取消を申請することができる。

③秘密保持命令の取消申請に対する裁定については、これを申請人及びその相手方に送達しなければならない。

④前項の裁定については、抗告をすることができる、

⑤秘密保持命令は、取消の裁定が確定したときに、その効力を失う。

⑥裁判所は、秘密保持命令を取り消す裁定が確定した場合において、申請人及び相手方のほかに、当該営業秘密について秘密保持命令を受けた者があるときは、それらの者に取消の旨を通知しなければならない。

第15条(秘密保持命令を発した書類に対する他の者の閲覧申請)
秘密保持命令をすでに発した訴訟について、閲覧を制限し若しくは不許可とする裁定又は秘密保持命令を受けていない者が、ファイルの中の文書の閲覧、抄録又は撮影を申請した場合、裁判所書記官は、当該秘密保持命令を申請した者に直ちに通知をしなければならない。ただし、当該秘密保持命令の取消が確定している場合は、この限りでない。

②前項の場合、裁判所書記官は、命令を申請した当事者又は第3者が通知を受けた日から14日以内において、当該ファイルの中の書類を閲覧、抄録又は撮影に提供してはならない。命令を申請した当事者又は第3者が通知を受けた日から14日以内に、閲覧申請者に対し秘密保持命令を発し又はその閲覧を制限し又は不許可とすることを申請した場合、裁判所書記官は、その申請に対する裁定の確定前に書類を提供してはならない。

③秘密保持命令を申請した者が、第1項の申請に同意したときは、第2項の規定を適用しない。

第16条(取消・廃止の原因があるとの主張・抗弁)
当事者が当該知的財産権に取消・廃止の原因があるとの主張又は抗弁をした場合、裁判所は、その主張又は抗弁に理由があるか否かを自ら判断しなければならず、民事訴訟法、行政訴訟法,商標法、特許法、植物品種及び種苗法又はその他の法律の訴訟手続きの停止に関する規定を適用することはできない。

②前項の事由により、裁判所が取消・廃止の原因があると認定した場合、知的財産権者は、当該民事訴訟において相手方に対し権利主張をすることができない。

第17条(知的財産局に対する訴訟参加の命令)
裁判所は、当事者の前条第1項による主張又は抗弁について、必要があると認める場合、裁定をもって知的財産主務官庁に訴訟参加を命じることができる。

②前項の規定による知的財産主務官庁の訴訟参加は、前条第1項の主張又は抗弁に理由があるか否かに関する事項に限られ、民事訴訟法第61条の規定を適用するものとする。

③民事訴訟法第63条第1項前段及び第64条の規定は、知的財産主務官庁が訴訟に参加する場合に、これを適用しない。

④知的財産主務官庁の訴訟参加後において、前条第1項の主張又は抗弁についてもはや当事者に争いがない場合には、裁判所は、訴訟参加を命じた裁定を取り消すことができる。
※民事訴訟法第61条〔参加人の補助行為〕;第63条第1項前段〔本訴訟裁判不当の主張〕;第64条〔訴訟の引受け〕

第18条(証拠保全)
証拠保全の申請は、提訴前においては係属すべき裁判所に、提訴後においてはすでに係属している裁判所にこれをしなければならない。

②裁判所は、証拠保全手続きの執行において、書証の鑑定、検査及び保全をすることができる。

③裁判所は、証拠保全手続きの執行において、技術審査官に現場に赴いて職務を執行することを命じることができる。

④相手方が正当な理由がなく証拠保全の執行を拒否した場合、裁判官は、強制力をもってこれを排除することができる。ただし、必要な程度を超えてはならない。また、必要があるときは、警察機関の協力を要請することができる。

⑤裁判所は、証拠保全に相手方当事者又は第3者の営業秘密を害するおそれがある場合、申請人、相手方当事者又は第3者の請求により、保全の執行時にその場に立ち会う者を制限し又は立会いを禁止し、かつ、保全の執行により入手した証拠資料を別に保管し、その閲覧を禁止し又は制限することを命じることができる。

⑥前項の営業秘密を害するおそれがある事由については、第11条から第15条までの規定を準用する。

⑦裁判所は、必要があると認める場合、訊問を受ける者の住居所又は証拠物の所在地の地方裁判所に嘱託して保全を執行することができる。嘱託された裁判所が保全手続きを執行するときは、第2項から第6項までの規定を適用する、

第19条(知的財産事件第1審、単独審理、上訴・抗告)
第一審知的財産事件は、裁判官1名が単独で審判する。

②知的財産事件の第一審判決に対しては、知的財産裁判所に上訴又は抗告をすることができ、その審判は、合議をもって行う。

第20条(知的財産事件第2審、上訴・抗告)
知的財産事件の第2審判決に対しては、別段の規定がある場合を除き、第3審裁判所に上訴又は抗告をすることができる。

第21条(知的財産事件に関する支払命令)
知的財産事件に関する支払命令の申請及び処理については、民事訴訟法第6編の規定によるものとする。

②債務者が支払命令に対し合法の異議申立をした場合、支払命令を発した裁判所は、ファイル及び証拠を処理のため知的財産裁判所に移送しなければならない。
※民事訴訟法第6編〔督促手続き〕

第22条(仮差押、仮処分、仮の地位を定める仮処分の申請)
仮差押、仮処分又は仮の地位を定める仮処分の申請については、起訴前においては、管轄裁判所にこれをしなければならず、起訴後においては、訴訟がすでに係属している裁判所にこれをしなければならない。

②仮の地位を定める仮処分を申請する場合、申請人は、その争いの法律関係について、重大な損害又は急迫する危険又はその他の類似の事態の発生を防止する必要がある旨の事実を釈明しなければならない。その釈明が不十分である場合、裁判所は、申請を棄却しなければならない。

③申請の原因について十分な釈明がある場合でも、裁判所は、申請人になおも担保の提供を命じた後に仮の地位を定める仮処分をすることができる。

④裁判所は、仮の地位を定める仮処分をする前に、命令により両当事者に意見陳述の機会を与えなければならない。ただし、申請人が処分前に相手方当事者に意見陳述の通知をすることができない特殊事情があることを主張し、かつ、確実な証拠を提出し、裁判所が適当と認めたときは、この限りでない。

⑤仮の地位を定める仮処分については、申請人に送達された日から30日以内に起訴をしなかった場合、裁判所が申請により又は職権でこれを取り消すことができる。

⑥前項の処分を取り消す裁定については、これを公告しなければならず、また、その裁定は公告の時から効力を有する。

⑦仮の地位を定める仮処分の裁定が、最初から不当であるため、又は債権者の申請により、又は第5項の事由があるため、裁判所により取り消された場合、申請人は、相手方当事者がその処分により受けた損害を賠償しなければならない。

第3章 刑事訴訟

第23条(刑事事件第1審の管轄)
刑法第253条から第255条まで、第317条、第318条の罪、又は商標法、著作権法若しくは公正取引法第35条第1項に定める第20条第1項違反の罪及び第36条に定める第19条第5号違反の罪に関する案件の起訴については、管轄の地方裁判所にこれをしなければならない。検察官が簡易判決による処罰を申請する場合も、また同様とする。
※刑法第253条〔登録商標・商号の偽造・模造〕;第254条〔商標・商号を偽造・模造した商品の販売〕;第255条〔商品の原産国・品質の虚偽記載・表示〕;第317条〔商工業上の秘密の守秘義務の違反〕;第318条〔公務員による商工業上の秘密の守秘義務の違反〕
※商標法第81条〔商標権侵害の処罰〕;第82条〔侵害品の販売等の処罰〕
※著作権法第7章〔罰則〕
※公正取引法第35条第1項〔罰則1〕:第20条第1項〔商号・商標・表装の模倣〕;第36条〔罰則2〕:第19条第5号〔営業秘密の不正取得〕

第24条(営業秘密に関する審理の非公開、閲覧等の制限)
営業秘密に関連する訴訟資料について、裁判所は、申請により、審判を非公開とすることができ、また、申請により又は職権で、ファイル又は証拠の閲覧、抄録又は撮影を制限することができる。

第25条(刑事案件第1審判決に対する上訴・抗告、併合裁判)
第23条に関する地方裁判所の通常・簡略審判又は協議手続きによる第一審判決に不服のため上訴又は抗告をするときは、少年刑事案件を除き、管轄の知的財産裁判所に対しこれをしなければならない。

②第23条の案件と刑事訴訟法第7条第1号に定める関連のあるその他の刑事案件が、地方裁判所により併合して裁判され、かつ、併合して上訴又は抗告がなされる場合も、また[前項と]同じとする。ただし、その他の刑事案件に対する罪が比較的重く、かつ、事件の内容が確かに繁雑である場合、知的財産裁判所は、裁定をもってこれを併合して審判のため管轄の高等裁判所に移送することができる。

③前項ただし書きの裁定については、別段の規定がある場合を除き、抗告をすることができる。
※刑事訴訟法第7条第1号〔関連案件の定義〕

第26条(知的財産裁判所の判決に対する上訴・抗告)
知的財産裁判所の第23条に定める案件に対する判決については、別段の規定がある場合を除き、第3審裁判所に上訴又は抗告をすることができる。

第27条(付帯民事訴訟の審理)
第23条に定める案件の付帯民事訴訟の審理において、原告の訴えが不適法と認められたとき、又は刑事訴訟において無罪、免訴又は不受理の言い渡しがあったときは、判決をもってこれを棄却しなければならない。その刑事訴訟が裁定をもって棄却されたときは、裁定をもって原告の訴えを棄却しなければならない。

②第23条に定める付帯民事訴訟の審理については、第3審裁判所が刑事訴訟法第508条から第511条までの規定により裁判をする場合を除き、自ら裁判をしなければならず、刑事訴訟法第508条から第511条第1項前段までの規定を適用しない。ただし、刑事訴訟法第489条第2項の規定により管轄の錯誤及び移送の旨を言い渡す場合は、この限りでない。

※刑事訴訟法第508条[付帯民事訴訟の上訴の棄却、原判決の取消・自判・差戻し];第509条[刑事訴訟原判決取消の場合の付帯民事訴訟に対する判決];第510条[原審判決取消の場合の差戻し];第511条〔付帯民事訴訟のみを審判する場合〕
※刑事訴訟法第489条第2項〔管轄の違いによる移送〕

第28条(付帯民事訴訟の判決に対する上訴・抗告)
地方裁判所の第23条に定める案件に関する通常又は簡略裁判手続きの付帯民事訴訟の判決に対し、上訴又は抗告を提起するときは、管轄の知的財産裁判所にこれを提起しなければならない。

第29条(刑事訴訟と付帯民事訴訟の同時審理、第2審判決に対する上訴・抗告)
第23条に定める案件について簡易手続きを行うときは、その付帯民事訴訟と刑事訴訟を同時に裁判しなかればならない。ただし、必要があるときは、刑事訴訟裁判後60日以内にこれを裁判することができる。

②簡易手続きの付帯民事訴訟第2審の判決に対し、第3審裁判所に上訴又は抗告をするときは、民事訴訟法第436条の2から第436条の5までの規定を準用する。
※民事訴訟法第436条の2〔簡易訴訟手続き第2審の法規適用錯誤に対する上訴・抗告〕;第436条の3〔第2審裁判所の許可〕;第436条の4〔上訴・抗告の理由〕;第436条の5〔上訴・抗告の却下〕

第30条(付帯民事訴訟の審理の準用規定)
第8条第1項、第11条から第15条までおよび第16条第1項の規定は、第23条に定める案件又はその付帯民事訴訟を審理するときに、これを準用する。

第4章 行政訴訟

第31条(知的財産裁判所の管轄する行政訴訟事件)
下記行政訴訟事件は、知的財産裁判所が管轄する。

  1. 特許法、商標法、著作権法、光ディスク管理条例、集積回路回路配置保護法、植物品種及び種苗法又は公正取引法の知的財産権に関する第1審行政訴訟事件及び強制執行事件。
  2. その他法律の規定により知的財産裁判所が管轄する行政訴訟事件。

②その他の行政訴訟と前項各号の訴訟を併合して起訴し又は訴えを追加するときは、知的財産裁判所に対しこれをしなければならない。

③知的財産裁判所は、第1項第1号の強制執行事務を処理するため、「執行処」を設置し又は地方裁判所「民事執行処」又は行政機関に執行の代行を嘱託することができる。

④債務者が前項の嘱託による執行代行の執行名義に異議があるときは、知的財産裁判所がこれを裁定する。

第32条(知的財産裁判所の判決に対する終審行政裁判所への上訴・抗告)
知的財産裁判所の判決に対しては、法律に別段の規定がある場合を除き、終審行政裁判所に上訴又は抗告をすることができる。

第33条(商標・特許の取消に関する行政訴訟係属中の新規な証拠の提出)
商標登録の取消・廃止又は特許権の取消に関する行政訴訟の手続き中において、当事者が口頭弁論の終結前に、同一取消・廃止理由について新規な証拠を提出した場合、知的財産裁判所は、なおもこれを参酌しなければならない。

②知的財産主務官庁は、前項の新規な証拠に対し、答弁書を提出して、当該証拠に関する相手方の主張に理由があるか否かを表明しなければならない。

第34条(民事訴訟に関する規定の準用、民事・刑事訴訟の裁判官の行政訴訟への参与)
第8条から第15条まで、第18条及び第22条の規定は、知的財産権に関する行政訴訟にこれを準用する。

②知的財産の民事訴訟又は刑事訴訟を処理する裁判官は、当該訴訟事件に関連する知的財産行政訴訟の審判に参与することができ、行政訴訟法第19条第3号の規定を適用しない。
※行政訴訟法第19条第3号[関連民刑事裁判に参与した裁判官の回避〕

第5章 附則

第35条(秘密保持命令違反の罰則、親告罪)
この法律の秘密保持命令に違反した者は、3年以下の有期刑、拘留又は新台幣10万元以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

②前項の罪は、告訴をまって論ずる。

第36条(代理人、被雇用者等が秘密保持命令に違反した場合の両罰規定)
法人の責任者、法人又は自然人の代理人、被雇用者又はその他の従業員が、業務の執行において前条第1項の罪を犯したときは、その行為者を処罰するほか、当該法人又は自然人に対しても、前条第1項の罰金を科する。

②前項の行為者に対する告訴又は告訴の取り下げについては、その効力が法人又は自然人に及ぶ。前項の法人又は自然人に対する告訴又は告訴の取り下げについては、その効力が行為者に及ぶ。

第37条(経過規定)
この法律の施行前にすでに地方裁判所及び高等裁判所に係属している知的財産民事事件については、その裁判所の管轄及び審理手続きを以下の規定のとおりとする。

  1. その進行の程度により、当該裁判所がこの法律に定める手続きによりこれを終結させるものとし、法定の手続きによりすでに進行している訴訟手続きの効力には、影響を及ぼさないものとする。
  2. 地方裁判所がすでに裁判を行い、上訴又は抗告が提起され、そのファイルがまだ上訴又は抗告裁判所に送付されていない案件については、これを知的財産第2審裁判所に送付しなければならない。

②第23条の案件及びその付帯民事訴訟で、この法律の施行前にすでに各級裁判所に係属している案件については、それ以後の訴訟手続きをそれぞれの裁判所がこの法律の規定により終結させるものとする。ただし、この法律の施行前に法定の手続きによりすでに進行している訴訟手続きの効力には、影響を及ぼさないものとする。

③この法律の施行前にすでに高等行政裁判所に係属している知的財産行政訴訟事件については、その進行の程度により、当該裁判所がこの法律に定める手続きによりこれを終結させるものとする。そのすでに進行している手続きは、その効力を失わないものとする。

第38条(施行規則、審理規則)
この法律の施行規則及び審理規則は、司法院がこれを定める。

第39条(施行期日)
この法律の施行期日は、司法院がこれを定める。

訳注:条文見出しと項番号は訳者が付けた。「※」を付けた箇所は、関連法律の準用・適用除外等に関する規定について、参照の便宜のために加えた注記である。

なお、この法律の施行日は、司法院が定めることになっているが、(「知的財産裁判所組織法」についても同じ)司法院の計画では、知的財産裁判所は本年9月に設立される予定であるので、これらの法律の施行日は、近いうちに指定されると考えられている。