専利権付与の審査決定が出され、証書費及び第1年度年金の納付を通知された後、明細書の補正を申請した出願が、期限内に費用を納付しなかったとして、専利権は存在せず補正は受理しないとの通知を受けた。権利者は、補正の申請により出願は審査の段階に戻されるべきであり、費用納付の状況は発生しないとして訴願を提起したが棄却されたため、行政訴訟を提起した。以下は知的財産局の知的財産権電子報に掲載された記事の訳文である。[註:文中の「専利」は、発明特許、実用新案特許及び意匠特許を指す。]
掲載日:2009年4月5日
原告の前の権利者(以下、出願人)の発明専利出願は、本局[知的財産局]が2006年4月24日付で専利付与の審査決定を行った。法に依り、審査決定書送達後3ヶ月以内に証書費及び第1年度年金を納付しなければならず、期限を過ぎたものは、その専利権は最初から存在しない。出願人は、2006年6月1日に本件出願を原告に譲渡することを申請した。原告は、2006年6月12日に本局に専利補正明細書を提出した。しかし、証書費及び第1年度年金が納付されずその期限を過ぎたため、本局は専利権は最初から存在せず、原告が提出した補正明細書は受理しないことを書簡で通知した。原告は不服により訴願を提起したが棄却されたため、行政訴訟を提起した。
原告は、提出した当該出願の補正は専利法第49条第2項の規定に合致しており、当該出願は審査の段階に戻すべきであるから、証書費及び第1年度年金納付の状況は決して発生せず、本局が補正を受理しないとした処分は専利法第49条第2項の規定に明らかに違反しており、専利法が与える明細書を補正する権利を原告から剥奪していると主張した。
台北高等行政法院は審理後、原告の訴えを棄却した。判決主旨の概要:
- 専利法の法文をみると、専利法第49条は専利法第2章第3節「審査及び再審査」に属し、発明専利出願の初審、再審査の手続きに関するものである。一方、同法第51条、第64条は、第2章第4節の「専利権」に属し、費用の納付、証書の発給、訂正等の事項に関するものである。換言すると、専利法第49条第2項の規定に基づいて明細書の補充、補正を申請するものは、当該出願が被告[知的財産局]による初審又は再審査が進行中であることを必須の適用前提とする。専利出願された発明が、専利権付与の審査決定を得た後は、その審査手続きは終結しており、即ち、その後に同法49条第2項に基づいて明細書又は図面の補充、補正を申請することはできず、同法第64条第1項に規定される専利明細書又は図面の訂正を申請することができるのみである。従って被告は、専利審査基準第1編第1-5-3頁に明確に定められている:「・・・専利付与決定(処分)後から証書費用を納付する前に、補充、補正又は訂正の適用はできず、たとえ申請しても本局は不受理処分とすることができる。・・・」は、前述の専利法第49条及び第64条の規定について、説明を補足するものである。
- 本件の発明専利出願に対し、被告は2006年4月24日付 (95)智専二(一)04079字第09520304300号専利付与決定書で、出願人(原告の前の権利者)に決定書送達後3ヶ月以内に証書費及び第1年度年金を納付しなければならず、それにより始めて公告が許可され、公告の日から発明専利権が付与される、期限内に費用を納付しないものは公告が許可されず専利権は最初から存在しないと通知した。当該決定書は、同年4月26日に出願人に合法に送達されており、原処分に添付された配達証明書で調べることができる。これは、原告又は出願人が遅くとも2006年7月26日までに証書費用を納付しなければならず、期限を過ぎて証書費用を納付していないものは前掲の専利法第51条第1項の規定により、その専利権は最初から存在しないということである。
- 原告は訴願において、本件係争の出願の補正を提出した2006年6月12日は、当該出願の出願日から15ヶ月を超過しておらず、審査の段階に戻すべきであり、審査段階では証書費及び第1年度年金納付の状況が発生することは決してない、被告が受理した係争案件の補正の申請から、原告に不受理を通知する文書の発行まで約3ヶ月かかり、訴願法第2条に規定される法定期間(2ヶ月)を超過したため、当該出願は専利権が最初から存在しないとの処分を受けたと主張した。しかし調べたところ、係争案件は専利付与決定後、前掲の説明の通りその審査手続きは終結しており、その後に同法第49条2項に基づき明細書又は図面の補充、補正を申請することはできない。被告は前述の審査決定書で本件出願人に証書費及び第1年度年金の納付を通知しており、当該出願に補正を認めるか否かは前提要件ではなく、二者は別事に属する。
注記:
専利法 第49条(補正指令;自発補正の時期;出願日から15カ月を経過した場合;補正の範囲;優先権主張がある場合)
- 専利主務官庁は、発明専利の審査において、職権で期間を指定して明細書又は図面の補充又は補正をすることを出願人に通知することができる。
- 出願人は、発明専利出願の日から15カ月以内において、明細書又は図面を補充又は補正することができる。15カ月以後に明細書又は図面を補充又は補正したときは、原出願の明細書及び図面をもって公開をする。
- 出願人は、発明専利出願の日から15カ月の経過後においては、次に掲げる各号に定める期日又は期間内に限り、明細書又は図面を補充又は補正することができる。
- 実体審査請求と同時。
- 出願人以外の者が実体審査請求をしたときは、出願について実体審査を進める旨の通知書の送達後3カ月以内。
- 専利主務官庁が審査について決定をする前に通知した回答の期間内。
- 再審査請求と同時、又は再審査理由書の補完ができる期間内。
- 前3項による補充又は補正については、出願時の原明細書又は図面に開示された範囲を超えることができない。
- 第2項及び第3項に定める期間については、優先権主張がある場合、その起算日は、優先日の翌日とする。
第51条(証書費、第1年度年金の納付;専利権の付与;存続期間)
専利を出願した発明について、専利を付与する旨の査定があった後、出願人は、審査決定書の送達後3カ月以内に、証書費及び第1年度の年金を納付しなければならず、その納付後にはじめて公告をする。期限内に費用を納付しなかったときは、公告をせず、その専利権は最初から存在しなかったものとする。
専利を出願した発明については、公告の日に発明専利権を付与し、かつ、証書を交付する。
発明専利権の存続期間は、出願日から起算して20年をもって終了する。
第64条(明細書及び図面の訂正;訂正の範囲;訂正の公告;訂正の効力)
発明専利権者は、次に掲げる事項についてのみ、専利明細書又は図面の訂正を申請することができる。
- 専利請求の範囲の縮減。
- 誤記事項の訂正。
- 不明瞭な記載の釈明。

