台湾では、「発明特許早期審査方案」(AEP)が2009年1月1日から試行され、2010年1月1日から正式に施行された。知的財産局は2010年のAEPの状況について統計を発表した。以下はプレスリリースの訳文である。
なおAEPは、既に実体審査又は再審査開始通知が発行された発明特許出願について、既に審査が進行中であるか否かを問わず、下記の3つの事由の何れかに合致すれば、申請することができる。
事由1:対応する外国出願が外国特許庁の実体審査を経て、登録査定されたもの
事由2:対応する外国出願が、アメリカ、日本、ヨーロッパ特許庁の審査意見通知書及びサーチレポートの発給を受けているが、審査結果はでていないもの
事由3:ビジネスの実施上、必要とするもの
掲載日:2011年1月21日
知的財産局は2009年から1年間、発明特許早期審査方案(AEP)を試験的に実施した。出願人が外国の登録査定書、審査意見通知書を提出する及びビジネスを実施するために直ちに必要がある等の3項の事由がある場合は、何れもAEPの制度を利用することができる。早期審査方案の受理理由は2010年から拡大されている。統計資料から明らかな通り、本局に提出されたAEPの申請は1437件(表1)で、2009年から543件増加している。このことから特許出願人に本局のこの措置に対する理解が深まり、この制度の利用が増加していることが分かる。
2010年までの統計によると、特許早期審査を申請した出願は、知的財産局からの審査通知(含審査意見又は査定書)取得までの時間が大幅に短縮されている。平均でみると、事由1の場合は75.2日、事由2の場合は61.5日、事由3の場合は107.4日である。即ち、出願人がAEPを申請した場合、現状では平均2~4ヶ月以内に審査結果を受け取ることができる。事由3については比較的長い時間を要しているが、これは申請事由3の場合に提出される、ビジネス上の実施必要性を証する文書自体に、参考として他の国における審査資料が提供されないため、本局が完全な検索及び審査を行う必要があるからである。しかし事由3が新たに設けられてから現在まで、ビジネスの実施上必要とする申請人に特許権を迅速且つ的確に確認するルートを十分に提供している。一般の出願が、最初の審査意見を取得するまでに約40ヶ月かかるのに比較し、この方式は投資を行っている又はビジネスを実施している国内の中小企業に非常に大きな助力となっている。
2010年の発明特許早期審査方案の実施状況は以下の通り。
- 申請事由の割合(表1)は、事由1が1269件(88.3%)、事由2が27件(1.9%)、事由3が141件(9.8%)。
- 申請人の国別の割合(表2)は、台湾が7割(1001件)、外国が3割(436件)。外国申請人の上位5位は、日本(183件)、アメリカ(159件)、ドイツ(16件)、スイス(15件)、イギリス(12件)。
- 特許査定となったことを主張する外国出願の国別の割合は(表3)、アメリカ595件(44.5%)と中国458件(34.2%)が上位2位を占め、日本157件(11.7%)とヨーロッパ84件(6.3%)が第3位及び第4位で、第5位は韓国22件(1.6%)となっている。
- 初審段階で申請された早期審査案件の発明特許の技術類別分布(表4)では、光電子及び液晶類が最多(19%)で、次いで電気、計測、光及び記憶装置類(17%)、機械類(13%)、生活用品類(11%)、通信類(11%)、化学工業類(10%)、情報技術類(9%)、半導体類(6%)、生物工学及び医薬品類(4%)の順となっている。
特許早期審査方案(AEP)を他国で多く締結されている2国間の早期審査、特許審査ハイウェイと比較すると、AEPは明らかに柔軟性があり制限も比較的少なく、手続における認定時間も比較的少ない。今のところ、他国と特許審査ハイウェイを締結していないが、AEPにより審査協力に近い効果が得られている。この他、APEC-IPEG(APEC知的財産権会合)、台湾・イタリア、台湾・スペイン及び台湾・日本の政府当局者交流を含む活動においてAEPの広報に努め称賛を得ている。現在、世界的に審査の成果共有の概念が広まる中、我が国のAEPは手続が比較的簡単なだけでなく、出願人にも都合がよい。出願が特許査定となる割合を見てみると、2010年の通常の発明特許出願の特許査定率が61%であるのに対して、AEPを申請した出願は84%で両者には20%以上の差があった。これから分かる通り、AEPは出願人が自発的に提供する外国の対応出願の審査資料及び特許性に関するデータを通して、出願人が審査結果を得るまでの時間短縮に確実に有効であり、良好な成果を上げている。
我が国がAEPを施行してから今日まで、既に多くの国から評価を得ており、幾つかの国はAEPの概念の一部に基づいて類似の措置を実施している。知的財産局は、現行のAEPについて他の国の理解を一層深めるよう広報に努めるほか、他の国との実質的な審査協力を更に進めるよう努力する。
表1:2010年 早期審査申請事由
| 申請月 | 台湾 | 合計 | 外国 | 合計 | 総計 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 事由1 | 事由2 | 事由3 | 事由1 | 事由2 | 事由3 | ||||
| 1 | 41 | 2 | 20 | 63 | 16 | 0 | 0 | 16 | 79 |
| 2 | 22 | 1 | 20 | 43 | 16 | 2 | 0 | 18 | 61 |
| 3 | 88 | 1 | 13 | 102 | 39 | 0 | 0 | 39 | 141 |
| 4 | 261 | 0 | 15 | 276 | 35 | 0 | 1 | 36 | 312 |
| 5 | 173 | 0 | 10 | 183 | 22 | 0 | 0 | 22 | 205 |
| 6 | 88 | 1 | 10 | 99 | 33 | 4 | 0 | 37 | 136 |
| 7 | 30 | 3 | 6 | 39 | 37 | 0 | 1 | 38 | 77 |
| 8 | 36 | 5 | 5 | 46 | 44 | 0 | 0 | 44 | 90 |
| 9 | 33 | 0 | 13 | 46 | 27 | 3 | 0 | 30 | 76 |
| 10 | 31 | 1 | 7 | 39 | 35 | 0 | 1 | 36 | 75 |
| 11 | 20 | 0 | 6 | 26 | 61 | 2 | 0 | 63 | 89 |
| 12 | 27 | 1 | 11 | 39 | 54 | 1 | 2 | 57 | 96 |
| 合計 | 850 | 15 | 136 | 1001 | 419 | 12 | 5 | 436 | 1437* |
| ※ 32件の不適格又は重複申請を含む(25件不適格,事由1、11件;事由2、3件;事由3、11件)。 | |||||||||
表2:2010年 申請人の国別順位
| 申請人の国籍 | 事由1 | 事由2 | 事由3 | 総計 |
|---|---|---|---|---|
| 台湾 | 850 | 15 | 136 | 1001 |
| 日本 | 178 | 1 | 4 | 183 |
| アメリカ | 153 | 5 | 1 | 159 |
| ドイツ | 15 | 1 | 0 | 16 |
| スイス | 13 | 2 | 0 | 15 |
| イギリス | 12 | 0 | 0 | 12 |
| オランダ | 8 | 3 | 0 | 11 |
| 韓国 | 10 | 0 | 0 | 10 |
表3:2010年 申請の根拠である特許査定となった対応出願国の順位
| 国名 | 事由1 | 事由2 | 総計 | 百分比 |
|---|---|---|---|---|
| アメリカ | 585 | 10 | 595 | 44.50% |
| 中国 | 458 | 0 | 458 | 34.20% |
| 日本 | 156 | 1 | 157 | 11.70% |
| ヨーロッパ | 68 | 16 | 84 | 6.30% |
