「特許審査基準 第一編 方式審査及び特許権管理」の改正(台湾)

「特許審査基準 第一編 方式審査及び特許権管理」の改正(台湾) 1

台湾の特許審査基準の方式審査及び特許権管理の部分が改正され、2010年 9月7日付で発効した。以下は一が改正を発表する経済部の書簡の和訳、二は改正の要点、三が改正された部分の和訳である。なお、文章中「特許」とは発明特許、実用新案特許、意匠特許を指し、3者を区別するときは、「発明特許」、「実用新案特許」、「意匠特許」と記載している。

  1. 経済部 書簡

「特許審査基準第一編方式審査及び特許権管理」部分の規定を改正し、即日発効する。

文書送付日:2010年9月7日

文書番号 :経授智字第09920031371号

主旨:「特許審査基準第一編方式審査及び特許権管理」部分の規定を改正し、並びに即日発効する。公布令及び「特許審査基準第一編方式審査及び特許権管理」第一章総則、第二章発明特許、第五章補完、補正、訂正、第十二章特許権管理改正頁各1部、並びに改正部分に線を付した改正頁各1部を添付する。

  1. 改正の要点
  1. 特許出願日の認定
    旧規定では、「5. 特許出願日」として、出願日について一括して規定していたが、改正により、「5.1 出願日取得の要件」、「5.2 願書、明細書(図解明細書)又は図表(図面)の完全な欠落、欠漏」、「5.3 明細書の落丁又は図表(図面)の部分的欠漏」及び「外国語文書の処理原則」に細分化され、より明確、具体的に規定された。
  2. 手数料が返還される場合の項目に2項目追加
    2010年1月1日から施行された「特許規定手数料、料金準則」の改正に合わせ、特許請求の範囲を補正した場合と出願を取り下げた場合の料金の返還についての規定が追加された。
  3. 発明特許出願における国内優先権の扱い
    国内優先権となる出願は出願日から15ヶ月の時点で取り下げたと見なされるため、当該出願についてそれ以後の変更は認められなかったが、後願の審査決定前であれば、認められるようになった。
  4. 発明特許出願における明細書について
    外国語明細書で出願する場合に、同時に複数の外国語明細書が提出された場合と異なる日付で提出された場合の取扱いが、より明確に規定された。
    外国語明細書と優先権証明書に付属する明細書の関係について明示された。
    願書の記載と重複する書誌事項を明細書に記載する必要がなくなり、明細書には発明名称、発明の要約、発明の説明、特許請求の範囲のみを記載すればよくなった。
  5. 発明特許における図表(図面)について
    代表図の指定について、より明確に規定され、更に職権による処理事項が追加された。
  6. その他
    以上の他、特許権の譲渡、相続、質権設定、信託についても、一部改正された(改正部分の和訳は省略)。
  1.  改正部分の和訳 (改正のない部分の和訳は省略)

第一編 第一章

5 特許出願日

5.1 出願日取得の要件

特許の出願日は特許法上極めて重要な意味があり、特許の審査要件及び許可、拒絶に関わるものである。特許出願人は、願書、明細書(図解明細書)及び必要な図面により出願する特許の技術内容を完全に開示し、並びに特許出願の意思表示を行うことにより合法的に出願案件の出願日を取得することができる。

特許法第25条第3項では、発明特許出願は願書、明細書及び必要な図面が完備した日を出願日とすると明確に規定している。その中で、発明特許明細書に記載しなければならない項目には、特許の名称、要約、発明の説明及び特許請求の範囲が含まれなければならない。但し、特許出願の実質的な技術内容の開示に関しては、「発明の説明」及び「特許請求の範囲」を主とする。出願日認定の目的に鑑み、特許出願案件が特許要件に合致しているか否かの判断は、実質的な特許技術の内容の完全な開示に基づかなければならない。従って、発明特許の明細書が出願日取得の要件に合致しているか否かは、「発明の説明」及び「特許請求の範囲」の両方を判断の根拠としなければならない。

明細書中の特許の名称、要約又は指定された代表図等については、法に示される通りに完全に記載されていなければならないが、記載に不備がある場合は補正が可能な事項に属し出願日には影響しない。上述の発明特許出願の出願日取得に関する規定は、実用新案に準用する。

意匠出願は特許法第116条第3項に基づき、願書及び図解明細書が完備した日を出願日とする。図解明細書に記載する項目には意匠の物品名称、創作の説明、図面の説明及び図面等が含まれなければならない。意匠出願の審査時に「図面」から特許要件に合致しているか判断できるので、図解明細書が出願日取得の要件に合致しているか否かの認定は、図面を判断の根拠としなければならない。

図解明細書中の物品名称、創作の説明又は図面の説明については、法に示される通りに完全に記載されていなければならないが、記載に不備がある場合は補正が可能な事項に属し、出願日には影響しない。

5.2 願書、明細書(図解明細書)又は図表(図面)の完全な欠落、欠漏

出願人が特許出願する際、願書、明細書、必要な図表又は図解明細書を提出しない又は提出した明細書に発明の説明又は特許請求の範囲が全く無い、図解説明書に図面が全く無い場合は出願日を取得することはできない。特許主務官庁は出願人に補正するよう通知し、出願人の補正完了後に補正の日を出願日とする。補正しない又は補正したが不備があるときは出願を不受理としなければならない。

5.3 明細書の落丁又は図表(図面)の部分的欠漏

出願人が特許出願する際、提出した明細書中の「発明の説明」又は「特許請求の範囲」に落丁又は図表若しくは図面に部分的な欠漏があるときは、特許主務官庁は補正するよう通知し、出願人の補正が完了したとき、補正の日を出願日とする。但し出願人が補正と同時に、特許法施行規則第21条但書の規定の適用を主張する場合は、補正部分が優先権を主張する先の出願に確かに見られる場合は原出願日を出願日とするが、優先権を主張する先の出願に見られない場合は補正の日を出願日とする。

 特許主務官庁は方式審査の際、出願人が提出した明細書に落丁がないか、図表若しくは図面に部分的な欠漏がないか審査することを原則とする:

  1. 明細書は、明細書中の発明の説明及び特許請求の範囲の頁番号が不連続でないか形式上の審査を行う。
  2. 図表は、図表に欠漏があるか形式上の審査を行う。例:図面番号が連続していない、図表の数が願書の記載と一致しない、等々。
  3. 意匠の図面は、特許法施行規則第33条に規定される図面が欠けていないか形式上の審査を行う。例:出願人が出願時に六面図を提出したが立体図が欠けている、又は出願人が提出したのは立体図のみ、等々。

方式審査で前述した落丁、欠漏があると認められた場合は、出願人に補正するよう通知し、出願人が補正したときは上記原則に基づいて処理する。出願人が、補正後本章第9節の規定に基づき補正内容の全てを取り下げた場合は、原出願書類提出の日を出願日とする。但し、出願案件の出願日及び出願書類は方式審査段階で先ず確認しなければならず、それがその後の発明特許の早期公開、実体審査、又は実用新案の形式審査作業を進行可能とする基礎となる。補正部分を取り下げることは、出願日及び出願書類に変更が起こるので、原則上、方式審査段階において行わなければならない。但し実務上、多数の案件が出願日の処理を行った後、方式審査の段階を離れることを考量し、出願人の権益及び方式審査実務における必要性の均衡をとり、例外的に緩和して特許主務官庁が行った出願日の通知後1ヶ月以内に補正内容を取り下げることができるものとする。

出願人が指定された期間内に補正せず回答もないときは、出願を受理しない。出願人が上述の落丁、欠漏の状況は出願した実質的な技術内容の開示と無関係で補正の必要がないと回答した場合は、原出願書類提出の日を出願日とする。出願人が補正の必要がないと回答した又は補正後に補正内容の全てを取り下げた場合は、原出願書類の落丁又は欠漏が実質的な技術内容の開示に影響するか否かを実体審査時に審査して評価する。

5.4 外国語文書の処理原則

出願人が出願時に明細書(図解明細書)又は図表を中国語で提出できない場合は、特許法第25条第4項の規定に基づき外国語で提出して出願できる。その後特許主務官庁が指定する期間内に中国語文書を補完したときは、外国語文書を提出した日を出願日とする。指定された期間内に中国語文書を補完しないときは出願を受理しない。但し、処分前に補完したときは補完の日を出願日とする。

補完する中国語文書は、出願時の外国語文書に基づき翻訳されたものでなければならない。方式審査段階で補完した中国語文書が出願時の外国語文書に基づいて翻訳されたか否かは、形式的な審査のみを行う。形式的に中国語文書と外国語文書が一致しないときは、出願人に一致する中国語文書を提出するよう通知しなければならない。

出願人は一致する中国語文書を提出しなければならない。但し、外国語文書を翻訳する際、多数項従属の請求項を分けたため、主要な構成部材の符合説明が増加し書式又は内容の配列を調整した、又はその他の要因により中国語文書が外国語文書に一致しない場合に、出願人が実質的な内容は一致すると認める、又は出願時の外国語明細書(図解明細書)及び図表に開示される範囲を超えないと表明したときは出願を受理する。但し範囲を超えているか否かは実体審査時に法に基づき審査して評価する。

出願案件が、補完した中国語文書と外国語文書が一致していないため、特許主務官庁が指定する期間内に一致する中国語文書を補完するよう通知したとき、期限を過ぎても補完せず、また提出する中国語文書は出願時の外国語明細書(図解明細書)及び図表に開示されている範囲を超えていないとの回答もない場合は、補完した中国語文書は出願時の外国語文書に基づく翻訳ではないので、特許法第25条第4項の規定に合致すると認め難い。外国語文書提出の日を出願日とすることはできないので、中国語文書補完の日を出願日とする。

外国語文書を提出して出願した出願案件は、中国語文書補完後、当該外国語文書が取得した出願日の法的効果が発生するが、その文章は中国語文書に照らし特許を出願したい技術内容が完全に開示されていなければならず、中国語明細書又は図表(図面)に基づき、出願時に部分的欠漏があるときは特許法施行規則第21条の規定に基づいて処理しなければならない。同様に、出願時の外国語文書に部分的欠漏があるときも同条の規定を適用し、前述の5.2節又は5.3節に照らして中国語明細書又は図表(図面)の原則で処理する。即ち:

  1. 外国語文書に完全に発明の説明、特許請求の範囲又は図表(図面)が無いときは、出願日を取得できない。特許主務官庁は、出願人に補正するよう通知し、出願人の補正完了後、補正の日を出願日とする。補正しない又は補正が不完全なときは出願を受理しない。
  2. 外国語明細書に落丁又は図表(図面)に部分的欠漏があるときは、特許主務官庁が補正するよう通知し、出願人が補正を完了したとき、補正の日を出願日とする。但し出願人が補正と同時に、特許法施行規則第21条但書の規定の適用を主張するとき、補正部分が優先権を主張する先の出願に確かに見られる場合は原出願日を出願日とするが、優先権を主張する先の出願に見られない場合は補正の日を出願日とする。

特許の出願は中国語文書を提出して出願しなければならないが、特許法では外国語の明細書(図解明細書)及び必要な図表を先に提出することを認めている。但し、特許主務官庁が指定した期間内に必ず中国語文書を補完しなければならず、その後に出願案件を受理して外国語文書を提出した日を出願案件の出願日とする法的効果が発生する。このため、特許主務官庁は中国語文書に基づいて審査し、その補完、補正の何れも中国語に依らなければならず、外国語で補完、補正することはできない。

10. 規定手数料

  1. 発明特許出願で、第1回審査意見通知の送達前に出願を取り下げたとき、初審の段階では実体審査請求費用の返還を申請することができる。再審査の段階では再審査請求費用の返還を申請することができる。
  2. 2010年1月1日以後に提出された発明特許出願又は実用新案から変更された発明特許出願又は分割された発明特許出願の初審の実体審査請求費用は、第1回審査意見通知の発給前に特許請求の範囲を補完、補正したときは、補正後の請求項で計算する。これにより、原請求項が基本項数(10項)を超えている場合、第1回審査意見通知の送達前において請求項を部分的に削除した場合は、削除した請求項の数に基づいて、基本項数を超えた部分の実体審査請求費用を返還する。例:原請求項が12項で3項削除した場合、2項分の実体審査請求費用を返還する。

第一編 第二章 発明特許

1. 発明特許出願

1.2.7 国内優先権の主張

(6) 優先権を主張する場合、その先出願は出願日から15ヶ月に達したときに取り下げたと見なし、公開、審査が重複することを避ける。取り下げたと見なすとは、出願全体が出願日から15ヶ月の時点で存在しないということであり、特許主務官庁が通知又は処分する必要はない。国内優先権主張の根拠とされる先出願が取り下げられたと見なされる前、特許主務官庁で係属中であったとしても、実質上後願の出願が取って代わっているため、審査手続きを続行することはしない。但し、台北高等行政法院95年訴字第1539号判決の主旨に照らし、先出願の利益保護により、先出願を優先権とすることに影響せず適法であるとの前提で、後願出願の審査決定前に行われた出願分割又は代理人変更、住所変更等の変更事項は処理することができる。

  1. 3 明細書

出願人が外国語の原本で出願日を取得する場合、明細書は単一でなければならない。出願人が出願時に複数の外国語明細書を提出したときは、出願日取得の原本とする一つの明細書を選択するよう通知する。期限を過ぎても選択しないときは出願を受理しない。前後して複数の外国語明細書を提出したときは、当該出願で最初に提出した外国語明細書を出願日取得の原本とし、後から提出した外国語明細書は単に経過記録申請として包袋に保存する。

特許出願において外国語明細書を先に提出した場合、当該外国語明細書(図解明細書)は、出願人が我が国に出願する特許の内容に関するものである。優先権証明書に添付された基礎出願の内容は、出願人が外国で出願し受理された内容に関するものである。即ち外国語明細書(図解明細書)の内容は、優先権証明書の内容を完全に又は部分的に開示することは可能であるが、2者はそれぞれ独立し且つ用途が異なる文書であり、その内容を相互に転用又は代替することはできないので、出願人はそれぞれ別に提出しなければならない。

  1. 4 必要な図表

発明特許出願では、その出願において技術内容を完全に開示する目的のために図表を添付するか否かは出願人が決定することができる。このため、出願に図表が添付されなければならないときは、当該図表は必要な図表である。発明特許出願の発明の説明において図表があると記載していながら、完全に図表がない場合は、特許主務官庁が補正するよう通知し、出願人が補正してから補正した日を出願日とする。出願人が当該出願には図表がなく補正する必要がないと認めたときは補正しないことを回答しなければならず、それにより原出願文書提出の日を出願日とする。技術内容が完全に開示されているか否かについては、実体審査の際に法に基づき審査して評価する。

代表図の目的は、資料の検索効率を向上させ、検索者が特許案件の技術内容の概要を素早く調べられることにある。特許出願人の出願した技術が最も明瞭であるとの理由で、特許出願案件の発明技術の特徴を最も代表する図表となるので、出願人が自ら指定しなければならない。

図表が付属する出願案件は、出願人が図表の中で当該発明の技術特徴を最も表している図表を代表図とし、並びに、主要な構成部材の符号の簡単な説明を記載しなければならない。指定した当該代表図に構成部材の符号がない場合は、明記する必要はない。例:フローチャート、座標図、実験結果の分析図等。

図表が付属する出願案件で、図表中に代表図に適するものが無いときは、記入漏れではないことを確認するため、代表図指定欄に「無」と記入しなければならない。

出願人が代表図を指定していない、または既に代表図を指定したが代表図の主要な構成部材の符号の簡単な説明が作成されていないときは、補正するよう通知する。期限を過ぎても補正しない場合は、特許主務官庁が職権により代表図を指定し、それに対応する主要な構成部材の符号の簡単な説明を補完するよう併せて出願人に通知する。

出願人が指定した代表図は特許主務官庁が審査し、指定したものが適切ではないと認めた場合、例えば、指定された代表図は周知技術の図面である、指定された図表が当該発明の技術特徴を代表するものでないとき、特許主務官庁が職権により補正し、出願人に通知する。

出願人が既に指定した代表図が、特許主務官庁の審査で当該出願案件の図表ではあるが代表図として適切ではないと認められたとき、特許主務官庁は指定された当該代表図及びその主要な構成部材の符号の簡単な説明を削除し、出願人に通知する。