商標紛争案件審問作業要点に関するQ&A(台湾)

2024年5月1日より台湾商標法改正条文が施行される

経済部知的財産局は2005年2月21日、「商標紛争案件審問作業要点」を発布して、商標登録に対する異議申立、無効審判及び廃止(取消)請求の審査に審問制度を導入した(前記作業要点訳文については本誌2005年3月号参照)。

この作業要点の解説のため、同局は2005年3月18日、「商標紛争案件審問作業要点Q&A」を作成して同局のホームページに掲載した。

以下に訳載するのはこの「Q&A」の全文である。

Q1 審問請求について手数料を納付する必要はあるか?
A: 現行の商標手数料徴収準則には、審問申請手数料に関する規定がないので、手数料を納付する必要はない。

Q2 審問申請ができる期間については、どのような制限があるか?当該紛争案件について処分が行われた後においても、審問を申請することはできるか?
A: 作業要点1.2に規定されているとおり、審問の目的は、商標紛争案件の当事者及び利害関係人に、紛争の事由、証拠及び法律上の見解等について、口頭弁論を行う機会を与え、並びに担当審査官が審問において調査した全部の事実、証拠及び口頭弁論の結果を参酌して、論理及び経験則に基づいて事実の真相を判断し、内心の確信を形成し、かつ、これを根拠として決定を行うのに役立たせることにある。したがって、審問の申請は、本局が当該商標紛争案件に対し処分を行う前にしなければならない。

Q3 審問は申請があれば必ず行われるか?
A: 申請理由が当該案件と明らかに無関係であり、又は案件の内容が明らかで審問を行う必要がないと本局が認めた場合には、審問を行わず、商標無効審判決定書、商標異議申立決定書又は商標取消請求処分書に審判を行わない理由を記載する。

Q4 審判案件の場合を除き、異議申立又は取消請求案件の場合、担当審査官は審問に出席するか?
A: 審問の目的は、商標紛争案件の当事者及び利害関係人に、紛争の事由、証拠及び法律上の見解等について、口頭弁論を行う機会を与えるほか、主として、担当審査官が審問において調査した全部の事実、証拠及び口頭弁論の結果を参酌して、論理及び経験則に基づいて事実の真相を判断し、内心の確信を形成し、かつ、これを根拠として決定を行うのに役立たせることにある(作業要点1.2参照)。したがって、商標紛争案件の担当審査官はすべて審問に出席しなければならない。

Q5 担当審査官が審問担当官を務めることはあるか?回避の要求があったときは、どのように処理されるか?
A: 上述のとおり、商標紛争案件の担当審査官は審問に出席する必要があり、また、作業要点2.4の規定により、審問は本局局長又はその指定する者が担当する。したがって、局長の指定により当該紛争案件の担当審査官が審問担当官を務めることもある。当該案件の担当審査官が審問担当官に指定された場合において、その者に回避をすべき事由があり、かつ、当事者から回避の申請があるときは、行政手続法第33条第4項の規定により、当該紛争案件の審査及び審問の手続きを中止し、案件を他の者が引き継いだ後に手続きを続行する。

Q6 審問を申請した当事者は理由を提出する必要があるが、審問に出席する他方の当事者も理由を提出する必要があるか?作業要点には新たな証拠を提出することができるとの規定があるのみ(作業要点9.7)、また、附表2にも理由を記載する欄が設けられていない。
A: 審問を申請した当事者又は他方の当事者を問わず、いずれの当事者も審問要点附表2-審問出席申請書を提出すると同時に、新たな証拠及び意見陳述書を提出することができる。ただし、他方の当事者又は紛争案件の担当審査官がその内容を理解できるようにするため、同時に正本、副本及び電子ファイルを提出しなければならない。審問の申請についていえば、審問申請の他方当事者は受動的な立場にあるので、理由を提出する必要はなく、また、意見陳述書は一定の書式がないので、附表2には理由の欄を設けなかった。

Q7 作業要点9.7及び9.12には、両当事者は審問の場で新たな証拠を提出することができる旨が定められている。新たな証拠が提出された場合、他方の当事者は、その場で答弁をし又は書面で答弁する旨を表明するほか、答弁のために改めて審問を行うことを申請できるか?
A: 当事者は、改めて審問を行う必要があると認める場合、更に審問を申請することができる。ただし、本局は職権で事情を参酌して更に審問を行う必要があるか否かを決定する。

Q8 審問の出席資格:委任を受けた代理人自身が出席しないでその事務所の法務担当者がかわりに出席するときは、復代理人の指定を要するか?同時に出席する代理人の人数に制限はあるか?
A: 作業要点には、審問手続きの代理人について、当該商標紛争案件の代理人と同一人であるべきか、別に代理人を指定することができるか、又は復代理人を認めるか、これらの事項については規定がない。しかし、行政手続法第24条及び第25条の規定により、当事者は3人を超えない代理人を委任することができ(行政手続法第24条第1項、第2項)、その代理権は当該行政手続きの全部の手続きに及ぶ(行政手続法第24条第3項)。ただし、代理人は、最初の手続きをする時に委任状を提出しなければならず(行政手続法第24条第4項)、また、代理人が他の者を復代理人に委任する場合は、委任者の同意を要する(行政手続法第25条第3項)。

Q9 作業要点9.11及び9.13の「審問手続きの進行…」の「審問手続き」とは、聴聞が行われる全過程、又は審問の申請から聴聞の結了まで、又は審問の申請から審問後の貴局の処分決定までを指すものであるのか?
A: 「審問の手続き」とは、審問当日において審問担当官が審問の開始を宣告した時から担当官が審問の結了を宣告するまでをいい、本局は審問の結了後に審問の結果に基づいて当該案件に対する処分を決定する。

Q10 作業要点9.13の「審問手続きの進行中において、申請人は、一部の主張条項・事由を取り下げ又は放棄し又はその主張する指定商品又はサービスの範囲を『縮小』することができる」という規定は、異議申立及び無効審判に適用されるほか、取消請求にも適用されるか?現行商標法第57条の規定では、登録取消は全部又は一部の指定商品について提出することができ、たとえば、請求人が全部の商品について登録取消を請求したのに対し、商標権者が審問においてその商品の範囲を縮小した場合、その請求は、全部の商品を登録取消の対象とするために不成立の処分を受けることになるのか?また、知的財産局は審問記録に基づいて職権で商品を縮減するのか?
A: (1)作業要点1.1及び1.2の規定に示されるとおり、本作業要点は、商標紛争案件の審問を行うために行政手続法第107条第2号の規定及び第1章第10節の審問手続きに関する規定に基づいて制定されたものであり、また、商標紛争案件とは、商標登録に対する異議申立、無効審判及び取消請求をいう。したがって、作業要点9.13の「申請人は、一部の主張の条項・事由を取り下げ又は放棄し、又はその主張する指定商品又はサービスの範囲を『縮小』することができる」という規定は、取消請求案件にも適用される。
(2)取消請求人が商標法第57条の規定により全部の商品について商標権の取消を請求したのに対し、商標権者が審問手続きの進行中においてその商品の範囲を縮小することを表明し、かつ、縮小の申請をして許可されたため、取消事由がもはや存在しなくなった場合、本局は、当該請求に対し不成立の処分をする。ただし、本局が不成立の処分をする前に請求人はその取消請求を取り下げることができる。
(3)審問手続きの進行中において、その主張する条項・理由の一部を取り下げ又は放棄し、又はその主張する商品又はサービスの範囲を縮小する権限を有する当事者又は代理人がそのような意志を表明し、かつ、その旨が審問記録に明記されたときは、その意思表示が効力を生じる。ただし、商標権者が審問の手続き中において登録商標の指定商品又はサービスの縮小又は商標権の放棄又は商標権の分割に同意する旨の意思表示をしたときは、別途に手数料を納付しかつ縮小又は分割等に関する申請手続きをしなければ、本局は商品/サービスの縮小、商標権の放棄又は分割を許可しない。

Q11 作業要点9.11の規定には、「両当事者とも和解の意志がある場合、審問担当官は、審問を中止する」との規定が定められており、また、中止の場合にはその理由が審問記録に記載されるが、「中止」には、どのような効力があるのか? 中止の後、審問はどのように続行されるか?「中止」とは、審問の手続きのみの、又は当該紛争案件に関するすべての手続きの一時停止を意味するのか?また、両当事者の和解の成立又は不成立を待って審問を再会する決定をするのか?和解が成立したときは審問を再開しないのか?一方の当事者が相手方に紛争案件の取り下げを要求したが、その後和解が成立しなかった場合、審問は再開されるのか?
A: 審問手続きの進行中において、両当事者に和解の意志がある場合、審問担当官は、審問を中止することができ、かつ、その事由を審問記録に記載する。この「中止」とは、審問手続きの中止をいい、これは両当事者の和解交渉のために審問を終了させるものである。審問の中止後、当事者が和解交渉のために比較的長い時間を要するときは、その場で又は別途に当該紛争案件の審理を一時停止することを申請することができる。その後、両当事者が和解について合意を達成できなかった場合、本局は申請により又は職権で審問を再開するか否かを決定することができる。和解が成立した場合には、審問を再開する必要がなくなる。「一方の当事者が他方の当事者に紛争案件の取り下げを要求したが、その後和解が成立しなかった」といのは、上述の和解不成立に該当する。

Q12 審問記録は両当事者に対し拘束力を有するのか?
A: 審問記録はその作成後に公文書としての効力を有し、その記載内容については、法律に別段の規定がある場合を除き、記載されている意思表示が効力を生じるので、意思表示をした者は当然その意志表示の拘束を受ける。

Q13 審問の終了後、処分決定までの所要時間は?
A: 審問の終了後、その他に続行すべき手続きがなければ、本局はできる限り迅速に当該案件について決定を行う。

Q14 審問への出席の通知を受けた者は出席を拒否できるか?一方の当事者が審問を申請し、両当事者に審問を行う旨の通知が合法に行われた後、審問を申請した当事者が審問に出席しなかった場合、他方の当事者のみに対し審問を行うか?
A: 作業要点4.1(7)の規定により、当事者が合法の通知を受けたにもかかわらず、審問に出席しなかったときは、他方の当事者のみに対し審問を行うことができる。したがって、いずれかの当事者が審問出席の通知を受けたにもかかわらず、参加を拒否したときは、審問の席上で説明をする機会を見過ごすことになるので、簡単に放棄するのではなく、自己の権益について慎重に考慮をするのが望ましい。

Q15 審問への出席を拒否した当事者は、審問を経て行われた行政処分に対して訴願を提起することができるか?
A: 審問を経て行われた行政処分については、行政手続法第109条の規定により、訴願の手続きが免除され、直接に行政訴訟を提起することができる。したがって、審問を経て行われた行政処分に対し不服がある当事者が、行政訴訟ではなく訴願を提起した場合は、法定の訴願救済範囲に属さない事項について訴願を提起したことになるので、訴願法第1条第1項及び第77条第8号の規定により、その訴願を受理した官庁は不受理の決定をしなければならない(法務部(90)法律字第015874号書簡による解釈の趣旨参照)。このため、紛争の解決についてはできる限り審問の手続きを利用することを提案する。指定の期日に審問に参加することができないときは、作業要点4.3及び4.4の規定により、正当な理由を述べて期日の変更を申請し、又は代理人に委託してかわりに出席をすることができる。

Q16 審問手続きの瑕疵に対してはどのような救済手段があるか?
A: 商標紛争案件に関する審問は、本局が商標紛争案件に対し実体的決定をする前の手続きである。審問の手続きに瑕疵があるとき、又は当事者若しくは利害関係人が審問手続き中になされた決定又は処置に対し不服があるときは、行政手続法第174条の規定により、当該商標紛争事件の処分(実体的決定)に対し不服の申立をする時においてのみ、合わせて申立をすることができる。この規定の目的は、当事者又は利害関係人がややもすれば行政手続き行為に対し不服の申立をして行政手続きの進行に影響を及ぼすのを回避し、かつ行政官庁及び裁判所の負担を軽減し、行政の効率を高めることにある。

Q17 民事訴訟法第196条には、「攻撃及び防御の方法については、別に規定がある場合を除き、訴訟進行の程度により口頭弁論終結前の適当な時期にこれを行わなければならない」と定められている。紛争案件について審問が行われた後、両当事者は更に書面で新たな証拠を提出することができるか?
A: 商標紛争案件の審査が遅れるのを避けるため、当事者は、関連の事実及び証拠をできるだけ早く提出しなければならず、審問の結了後に発見された新規の事実又は証拠については、当該案件の審理の終結前であれば提出することができる。