登録商標使用の注意事項(台湾)(I)

登録商標使用の注意事項(台湾)(I) 1

経済部知的財産局は、登録商標の実際使用についての注意事項を2008年6月25日付で公告した。以下は「3.2.1.態様」までの訳文である。3.2.1.1.以下は次号以降に掲載する。

公告日 2008年6月25日

概要

1. 序文

2. 商標使用の定義及び態様

 2.1. 商品における商標使用

 2.2. サービスにおける商標使用

3. 登録商標使用の認定

 3.1. 主体

  3.1.1. 商標権者

  3.1.2. 被許諾者

 3.2. 客体

  3.2.1. 態様

   3.2.1.1. 同一性の具備

   3.2.1.2. 部分使用

  3.2.2. 商品又はサービス

 3.3. 期限

 3.4. 地域

  3.4.1. 輸出

  3.4.2. インターネットの使用

 3.5. 証拠

  3.5.1. 商標の標示

  3.5.2. 標示の日付及び使用者

  3.5.3. 商取引習慣との一致

4. 登録商標の登録取消となる情況

 4.1. 3年間の不使用

 4.2. 変更・付記を加えた使用

 4.3. 一般名称化

 4.4. 商品又はサービスの性質、品質又は産地について公衆に誤認、誤信を生じさせるおそれ

5. その他の注意すべき事項

 5.1. 非商標形態使用

  5.1.1. 会社名の完全表記

  5.1.2. 装飾デザイン

 5.2. 権利不要求を含む登録商標の使用

 5.3. 比較的ライフサイクルの短い製品の登録商標

登録商標使用の注意事項

1. 序文

我が国の商標登録制度は、先出願・先登録を原則としている。従って、商標の登録出願は使用の事実があることを条件としていないが、但し、商標の機能と登録の目的は単に商標権取得のみにあるのではなく、必ず実際使用しなければならず、消費者に商標と商品又はサービスを結びつけさせることにより、商標は出所の識別、品質保証及び広告等の機能を達成して、その価値を明確に示す。商標法によって先に登録出願した者に商標権を付与するとは、今まで未登録だった商標が出願人の私有権利になるということである。商標権者が単に登録を取得するだけで、専有する商標権を使用しないのであれば、他人の登録出願の機会を減らすだけでなく、商標法の商標権保護の立法目的に反し、商標は持つべき機能と価値を失ってしまう。

商標権使用に基づく商標の重要性に関しては、我が国商標法第6条で商標使用の定義を明文に規定し、並びに同法第57条では、商標権者に登録商標使用の義務を課している。商標登録後の法による使用の基準は、例えば、3年以上の不使用、商標の一部分の使用又は変更・付記を加えた使用等第57条の規定に違反する使用行為であり、全て登録取消事由となる。しかしながら、ビジネス情報の著しい発展に従い、取引形態及び広告宣伝方法は絶えず新しいものが取って代わり、商標の使用方式及び使用形態もまた、変化は日進月歩である。そこで、商標権者が登録商標を正確・合法的に使用し、商標権を有効に維持できるように注意を促し指導するため、注意事項を改訂する。証明標章、団体商標及び団体標章の使用については、本注意事項の議論の範囲ではないので、別に「証明標章、団体商標及び団体標章の審査基準」を参照されたい。

2. 商標使用の定義及び態様

商標法第6条では、「商標の使用とは、販売の目的で、商標を商品、サービス又はその関連の物件に使用すること、又は平面の画像、デジタル音響・映像、電子媒体又はその他の媒体を利用して消費者に商標であることを十分に認識させることをいう。」と規定している。条文の文意から、商標の使用は少なくとも以下の2つの要件に合致しなければならない。即ち、(1) 使用者は主観上、必ず販売の目的を有さなければならない。(2)その使用は客観上、必ず関係する消費者にそれが商標であることを充分に認識させるものでなければならない。商標権者が登録商標の使用を証明するに際し、証拠として示す事実は商取引の習慣に合致していなければならない(商標法第59条第3項の規定)。使用の方式とは、商品、サービス又はその関連する物件に商標を使用し、又は平面の画像、デジタル音響・映像、電子媒体又はその他の媒体を利用して商標を使用することであり、提示された商標の使用態様を関係者にそれが商標であると認識させることである。

2.1. 商品における商標使用

商品における商標の使用とは、商標を商品上に標示し、又は商品の包装、容器、ラベル、説明書、タグ、価格表、広告カタログ等の物件又は文書上に標示し、又は平面の画像、デジタル音響・映像、電子媒体又はその他の媒体を利用するのが主なもので、それによりその商品の販売を促すことである。従って、商標を直接、商品又はその包装、容器上に標記する典型的な商標の使用形態の他、雑誌、テレビ等の広告媒体上に商標を標示すれば、将来投入される又は既に投入された市場の商品の販売促進を促すので、商品と結合されていなくても、商標の使用に属する。例えば、薬品業者が、錠剤、薬の箱、成分説明書、ポスター、宣伝チラシ等の物件又は文書上に薬品の商標を標示し、又はインターネット、テレビ、ラジオ、新聞類、電子看板上に広告を掲載・放映し、又は市場において製品説明会を開催することは、その製造販売する薬品の売り上げを促進する。

2.2. サービスにおける商標使用

サービスにおける商標使用とは、他人に提供するサービスの営業に関係する物件又は文書に商標を用い、又は平面の画像、デジタル音響・映像、電子媒体又はその他の媒体を利用する方式により商標を用いて、そのサービスの販売を促すことである。例えば、レストラン業者が提供する飲食サービスを識別し、営業の看板、レストラン従業員の制服、レストランの皿、メニュー、料金表、名刺等の飲食サービスに関係する物品又は文書上に商標を標示し、又はインターネット、テレビ、ラジオ、新聞類、電子看板上に広告を掲載・放映し、又はグルメ展への参加することは、その提供する飲食サービスの売り上げを促進する。また例えば、デパート又は量販店等の業者が提供する小売りサービスを識別し、営業の看板、各階の売り場案内板、販売エリアを示す看板、店員の制服、ショーウインドー、陳列棚、ショッピングカート、ショッピングバスケット、ショッピングバッグ、レジスター、領収書、商品カタログ等小売りサービスに関係する物件又は文書に商標を標示し、又はインターネット、テレビ、ラジオ、新聞類、電子看板上に広告を掲載・放映し、又は催事、割引セールを行う等は提供する小売りサービスの売り上げを促進する。しかしながら、サービスを識別する商標が商品又はその包装容器上に使用され、当該商品の販売促進のためと認められる場合は、提供するサービスについての商標の使用ではない。例えば、総合商品の小売りサービスを提供する量販店業者が通常店内において、プライベートブランド商品を陳列し販売するのは、プライベートブランド商品の販売促進であって、当該商品上の商標標示は提供するサービスについての商標の使用ではない。

役務商標の使用とは、必ず他人に実際に提供する労務、又は活動に対するものでなければならず、自己商品の販売は、必ず提供しなければならない関係するサービスとは同じではない。提供するサービスについての役務商標を単に自己の事物又は商品のみに用いるのであれば、一般不特定多数の人々に提供するサービスではなく、当該役務商標使用の事実は合法的使用と認めない。例えば、「輸出入に関する事務の代理又は代行」のサービスを指定した登録商標において、当該サービスは他人の代理として輸出入の業務に従事することを指す。自己の商品の輸出入に登録商標を使用するのであれば、当該商標が指定した「輸出入に関する事務の代理又は代行」の合法的使用と認めることはできない。

3. 登録商標使用の認定

商標権者は、登録の取得を許可された商標権の範囲に基づいて使用しなければならない(商標法第29条第1項)。即ち、登録された商標態様は登録を指定した商品又はサービスに使用しなければならない。登録商標使用の認定は、使用者の販売目的の有無、商取引の過程において、当該商標の実際の使用が関係する消費者にそれが商標であると認識させ、他人の商品又はサービスと互いに区別させるに足るか否かを判断する。

3.1. 主体

3.1.1. 商標権者

登録商標は、商標権者の自己使用を原則とする。商標権者には、会社、商店、自然人が可能である(商標法第2条)。会社と代表者とが権利主体として異なり、A商標権を代表者が所有し、会社がA商標を使用する場合は、代表者の使用と同一の使用行為ではなく、従って必ず代表者の使用許諾を得なければならず、それにより代表者にA商標の使用があると認められる(商標法第57条第1項第2号但書後段の規定)。自己資本のみの商店の場合は、その権利主体は自己資本経営の責任者となり、自己資本の商店名義で商標権の登録を取得したか、又は責任者名義で商標権の登録を取得したかを問わず、その使用証拠は、何れも権利者の登録商標の使用証拠として採用できる。

3.1.2. 被許諾者

登録商標は、商標権者の同意を得て使用することができる。例えば、使用許諾関係を通して、被許諾者が使用することである。商標権者は合法的に他人が使用することを許諾したのであるから、登録商標の合法的使用があると認定しなければならない。言い換えると、登録商標を使用許諾された他人が使用することは、被許諾者の使用を商標権者の使用とみなすことができるということである。商標権者又は商標権者の同意した者による使用でない場合は、登録商標の合法的使用とは認めない。

被許諾者による登録商標の使用は、商標法第33条第4項の規定により、使用許諾の標示をしなければならない。使用許諾標示の規定に違反した場合において、期限を定めて是正をすべき旨の通知をしたにもかかわらず、期限内に是正をしなかったときは、商標法第34条の規定により、使用許諾登録取消の事由となる。また、商標の使用許諾は、必ず知的財産局に登録しなければならず、それにより初めて第三者に対抗できる。但し、商標の使用有無についての事実認定の場合には、商標権者が他人への使用許諾を知的財産局に登録していなくても、被許諾者に商標使用の事実があったことが認められることで足り、商標権者に合法的使用があったとみなすことができる。

3.2. 客体

商標法に依り、商標権の観点から見ると、商標使用の客体は登録を取得した商標及び指定した商品、又はサービスである。従って、商標法第57条で規定されている商標の使用の有無及びその使用が取消事由となるか否かは、登録商標及びその指定した商品又はサービスに対してのものである。

3.2.1. 態様

登録商標の使用は、登録された商標の態様全体を使用することが原則である。但し、実際使用の商標と登録商標との僅かな差異は、社会の一般通念においてその同一性が失われないときは、登録商標の使用と認められる(商標法第58条第1号の規定)。いわゆる同一性とは、実際使用の商標と登録商標に外観上、僅かな差異があっても、実質的に登録商標の識別上の主要な特徴に変更がないことを指す。社会の一般通念及び消費者の認知によって、消費者に登録商標と同じ印象をもたらすのであれば、二者は同一の商標、即ち、同一性を具えていると認め、登録商標の使用と認められる。商標態様中、注意を引く主要部分を削除した場合は、登録商標の態様と顕著な差異があり、社会の一般通念及び消費者の認知によって、消費者に登録商標と同一の商標であると認識させられず、従って同一性を具えておらず、当該登録商標の使用と認めることはできない。