知的財産局ウェブサイトの、本年6月5日付電子報の法律に関する頁に、意匠権侵害の判断に関する判例の要約が掲載された。
以下はその訳文である。
電子報掲載日:2012年6月5日
原告は、「音楽プレーヤー」を特許主務官庁に意匠登録出願(以下、係争登録という)した。特許主務官庁は登録査定とし、登録証書を発給した。原告は起訴前に、被告の製品が係争登録を侵害していると通知しており、被告の受取が記録に残されている。しかしながら、被告は、原告が発送した警告書受領後も継続して係争製品を輸入した。これとは別に、被告は原告の係争登録の意匠並びに製品構造を実用新案登録出願した。被告は単に製品の外観を盗用しただけでなく、使用説明書まで盗用したとして、原告は被告が故意に係争登録を侵害した行為について、賠償するよう申し立てた。
被告の抗弁によると、原告の警告書受領後、直ちに「自ら比較対照」、「行政院公平交易委員会へ告発」、「係争登録の無効審判請求」及び「登録侵害鑑定報告の提出」等のプロセスを進め、係争製品は係争登録を侵害するおそれがないことを確信した後、引き続き係争製品を販売したので、主観的な悪意はない。被告は、その購入した「係争製品」を特許主務官庁に実用新案登録出願したのであり、「係争登録の製品」を出願したのではない。この他、係争登録は意匠であり、被告は係争製品を実用新案として登録出願したのであって、両者が求める登録性の意味は完全に異なり、被告が主観的に故意で係争登録を侵害したことは全くないことを十分証明している。
裁判所は、本件審理後、以下の通り認めた。登録意匠に関する侵害判断は、「登録出願された意匠 [以下、登録出願意匠という] の範囲の解釈」、及び「解釈後の登録出願意匠の範囲と権利侵害を訴えられた物品 [以下、被訴権利侵害物品という] の比較対照」のプロセスを含まなければならず、「登録出願意匠の範囲の解釈」は、出願時に、出願前の先行技芸と比較対照し、客観的に視覚を通して、新規性、創作性を与える新規な特徴を追求したものに限られ、機能的な意匠は排除しなければならない。「解釈後の登録出願意匠の範囲と被訴権利侵害物品の比較対照」については、当該意匠が属する技芸分野について通常の知識を有する者を基準として、被訴権利侵害物品の技芸内容を解釈、分析し、更に一般的な消費者を基準として、解釈、分析後の被訴権利侵害物品と解釈後の登録出願意匠物品とを視覚的に意匠全体が同一又は類似であるか否か判断しなければならない。被訴権利侵害物品と登録出願意匠物品が視覚的に意匠全体が同一又は類似であるときは、更に当該意匠が属する技芸分野において通常の知識を有する者を基準として、被訴権利侵害物品が登録出願意匠の新規的特徴を含むか否かを判断する。そして被訴権利侵害物品と登録出願意匠物品が視覚的に意匠全体が同一又は類似であり、且つ新規的特徴を包含しているのであれば、そこで始めて登録出願意匠の範囲に入り、侵害を構成する。係争登録の全体的な視覚上の意匠と係争製品は、ほぼ同一という程度に類似しており、従って係争製品は係争登録の新規的特徴を包含すると認定できる。係争製品は係争登録の登録出願範囲にあり、侵害を構成すると十分に認められる。
裁判所は、原告が要求した賠償及び被告は製造、販売の申し出、販売、使用又は上述の目的で係争登録を侵害する物品の輸入はできないとの申立は理由があり、認めなければならないとの判決を下した。

