台湾・経済部のニュースレターに、社名を英語で表記する場合に、他人の著名商標を英語社名の一部とすることが認められるかについての記事が掲載された。以下は掲載記事の訳文である。
掲載日:2010年5月18日
輸出入業者が、「HTC」、「Asus」、「Acer」等の著名商標を会社の英語名称として使用できるかについて、最近争いが起こっている。最も注目を集めた判例として、裁判所が「INTEL」商標の権利侵害の民事案件において、被告会社が通関手続き、業務連絡、請求書、銀行取引等の合理的な用途に英語社名のみを使用したのは、善意による使用であって、宣伝・広告には使用せず、貿易上の競争関係が発生する可能性がないので、「識別性又は業務上の信用・名誉を減損する」状況にはなく、従って当該著名商標に対する侵害は構成しないと認めた件がある。
この判決は、宏碁股份有限公司(エイサー)、華碩電脳股份有限公司(アスーステックコンピュータ)及び宏達国際電子股份有限公司(HTCコーポレーション)の科学技術分野における3大メーカーに高い関心をもたらし、同社は判決は他人が自由に著名商標を会社の英語名称として使用する状況をつくり出して市場の混乱を引き起こし、ビジネス上の信用に損害を受けるものであると、知的財産局に意見を述べた。知的財産局は、商標法は著名商標の名声への便乗、希釈化又は減損を禁じており、第62条第1項では「他人の同意を得ないで、他人の著名な登録商標であることを明らかに知っていながら、当該著名商標中の文字を自己の会社の名称、商店の名称、ドメイン名又はその他営業の主体若しくは出所を表す標識とし、当該著名商標の識別性又は信用・名誉を損じたときは、商標権の侵害と見なす」と規定し、従って他人の著名な外国語商標を会社の英語社名として登記することは、第62条第1項で禁止している「その他営業の主体を表す標識」とする行為となると表明した。
但し、「INTEL」商標の権利侵害の民事案件において、最高裁判所は商標法第62条第1項に規定される「会社名称」は会社法に基づいて登記された会社名を指し、別に選択される英語名称については会社法に規定がなく、定款で明確に定める必要がないため、登記の効力が発生しないとした。このため、裁判所の判決では、貿易局に登記する会社の英語名称「INTEL-TRANS CO., LTD.」は、第62条で規定される保護範囲には属さないと認定された。審理が差し戻された後、知的財産裁判所も同じ見解を採用した。
この種の争議の解決を期し、知的財産局は現行条文の「その他営業の主体若しくは出所を表す標識」を「その他営業の主体を表す名称」と修正する商標法の改正案を既に提出し、立法説明の中で「その他営業の主体を表す名称」には貿易局に登記される英語の会社名称も含まれると明確に示した。知的財産裁判所が5月21日に開催する法律座談会では、商標法第62条に規定される使用を禁止する会社名称等と善意による使用の区別を議題に含めており、知的財産局はこの法律座談会で、当該条項で保護される英語社名について立法の意図を説明し、著名商標を有効に保護することを期待している。
知的財産局は最後に、国内の多数のメーカーが自らブランドを創り出し国際的な知名度を築いているが、その成果を得るのは容易なことではなく、商標法の改正案で既に法を修正して他人の著名商標を自己の英語の会社名称とすることを明確に禁じているが、現段階では商標法の改正が通過前であるので、商標の創作・使用又は関連する使用(英語社名の選択を含む)の際は他人の知的財産権を尊重しなければならないと表明した。
注:
「HTC」は宏達国際電子股份有限公司(HTC Corporation)の略称
「Asus」は華碩電脳股份有限公司 (ASUSTeK Computer Inc.) の略称
「Acer」は宏碁股份有限公司(Acer Inc.)の略称

