ネットワーク用語の商標登録可能性に関する知的財産局の説明(台湾)

ネットワーク用語の商標登録可能性に関する知的財産局の説明(台湾) 1

登録出願前に既にネットワーク上で普通に使用されている文字、記号、図形は、その創作者が何人であるかを問わず、またその創作性の程度に関わらず、もはや識別性を有しないものであるので、商標登録を受けることはできない。台湾では最近、ネットワークの利用者に普通に使用されている文字、記号、図形からなる商標の登録出願が、新聞やネット記事で問題として取り上げられているので、経済部知的財産局は2006年5月2日、同局のサイトにプレスリリースを掲載して、前記の趣旨の説明をした。以下に掲載するのはこのプレスリリースの訳文である。

(知的財産局プレスリリース)

主題内容:

ネットワーク上で普通に使用される文字、図形、記号は商標として登録可能かどうか。また、商標登録を取得した者がいたとしたら、他人はその文字、図形、記号を継続して使用することができるか。これらの問題については、最近ネットワーク利用者および各界で注目されているので、知的財産局は特に商標登録および合理的使用に関する規定について下記のとおり説明する。

  1. ネットワーク上で使用される通常の用語の商標としての登録可能性について。
    商標の最も重要な構成要件は識別性を有することである。すなわち、商標として登録されるためにはその構成自体が、関連消費者に商標であると認識されることができ、かつ、自他の商品または役務の出所を識別できるものでなければならない。ネットワーク上で使用される文字、図形、記号が、ネットワーク利用者により普通に使用されるものである場合は、商品または役務の出所を識別する機能を有しないので、一般消費者はそれを商標として認識することができないものである。したがって、出願人が前記のネットワーク上で普通に使用される文字、図形、記号のみからなるものを商標として出願した場合は、商標としての識別性を具備していないので、登録を取得することはできない。例えば:「財源廣進(財源が大きく躍進する)」に祭祀用品を指定して出願した場合、または「風調雨順(気候が順調である)」に清酒や高梁酒などの商品を指定して出願をした場合は、いずれも常用されている成語または用語から構成されるものであるので、識別性を具備しない典型的な事例に該当する。上述の理由により、「好人卡(良い人カード)」(注1)、「囧rz(平伏)」(注2)等の文字、記号が既にネットワーク上で広く使用されている用語になっている場合において、当該文字、記号についての商標登録出願があったときは、その創作者が何人であるかを問わず、またその創作性の程度に関わらず、当該文字、図形、記号は登録出願前に既にネットワーク上で流通する通常の用語になっているので、例えば「多喝水(水をたくさん飲もう)」、「大家説英語(みんなで英語を話そう)」などの事例にみられるとおり、出願人が当該文字または記号を独占して使用してきたことにより、消費者が一見して直ちにそれを出願人の商標と認識できることを立証した場合を除き、その出願商標は、識別性を有しないものと認定される。
    • 注1:「好人卡(良い人カード)」を送るというのは、「あなたは良い人だから、きっと私よりも素敵な女性に出会えると思う」ということを口実に女性が男性を婉曲に拒否する意思を表示する方法。知的財産局の商標資料検索サービスによると、「好人卡」の商標は2005年1月5日に出願されたが、まだ審査中である。
    • 注2:「囧rz(平伏)」は、日本の顔文字の表記方法(○| ̄|_など)がもととなっており、敗北(参った)の意思を表現する顔文字である。この図形の登録出願については、前記の資料で検索できなかったが、新聞等の報道によると、2006年1月に出願され、審査中である。
      なお、出願人がネットワーク上で普通に使用される文字、図形または記号を、その他の図形、文字と結合して商標登録出願をした場合には、全体として識別性を具備しているので、普通に使用される図形、文字について、商標法第19条に規定される権利不要求の宣言をした場合に限り、登録を受けることができる。「権利不要求の宣言」とは、出願人は出願した商標全体についての商標権を取得することができるが、その商標の説明的部分または識別性を具備していない文字、図形、記号の部分については商標権を取得する権利を放棄し、他人に対して権利主張をすることができなくなることをいう。
  2. 他人の継続使用の可否について。
    商標法は商標権の保護に関する規範を定めたものであり、同法第61、62条および第81~83条において、それぞれ民事および刑事の権利侵害救済規定が定められている。商標権者は商標権取得後、その商標権の維持・保護を主張することができる。但し、使用者が善意でかつ合理的な使用方法で自己の氏名、名称またはその商品もしくは役務の名称、形状、品質、効用、産地またはその他の商品もしくは役務自体に関する説明を表示することは商標としての使用ではなく、商標法第30条第1項第1号の規定により、他人の商標権の効力により制限されない。それゆえ、たとえネットワーク上で使用される通常の用語について商標登録出願をし、商標権を取得したとしても、他人が合理的な使用方法でその文字、図形、記号を表示する場合は商標の使用ではなく、原則的には引き続き使用することができ、商標権の制限を受けない。