フィリップス社CD-R強制実施権訴訟判決に対し知的財産局は上訴しないことを決定(台湾)

台湾特許無効審判口頭審理作業が2024年6月11日より実施される

知的財産局が、フィリップス社の特許権の実施許諾を國碩公司に付与した件で、フィリップス社が不服により提起した行政訴訟において、行政法院は2008年3月13日、フィリップス社の勝訴とし、原処分および訴願決定を取り消す判決をした。この判決に対し、知的財産局は上訴しないことを発表した。以下はそのプレスリリースの訳文である。

主題内容

知的財産局が2004年7月26日付で行った國碩公司に対するフィリップス社のCD-R特許の強制実施許諾について、台北高等行政法院は2008年3月13日付2006年度訴字第2783号判決により原処分および訴願決定を取り消した。

知的財産局は、3月21日に該件の判決書を受領した後、直ちに検討に入った。判決理由の主要なものは2つで、第1は、係争に対する処分が維持された場合は、更に第3者が前例としてこれを援用することを可能にする。また、双方が事後に成立させた和解・給付と性質を異にしており、その他、[使用許諾]取消案が進行している等から、本件原告は訴の利益を有すると認定され、第2は、許諾権利金は合理的商業条件の唯一の条件ではなく、また特許実施許諾申請人が提出した方式の性格が不明確で、許諾権利金が合理的であるかについてその他の関係証拠が採用できるかの判断が完全ではない等の事由により、原処分は専利法第76条第1項に定める要件に合致しないと認定されたのである。

判決書の内容は166頁に及ぶが、その中の一部分的の論点について知的財産局は、再度考慮する余地があると考える。例を挙げると、(一)判決で原処分係争処分が適法とされれば、更に第3者がこれを援用することを可能にし、従って原告フィリップス社に訴の利益があると認めた一節について、知的財産局は、原特許実施許諾処分は個別のケースについてのみ効力を有すると認めるもので、判決で述べられている第3者が援用し実施許諾を要求する問題はない。(二)判決が専利法第76条第1項に規定される「合理的商業条件」の重要な条件として、全ての条件を綜合しなければならないと認定し、単に権利金の計算方式が合理的であるとして、提出された商業条件が合理的であると認めることはできないとの一節については、実施許諾権利金は、実施許諾条件全体が合理的であるか否かを決定する中心要素であり、これを避けて、合理的商業条件であるか否を、その他の二次的要素に拠るべきではないと考えられる、しかも、判決では、知的財産局が主張する合理的な実施許諾権利金判断に関連する関係証拠を採用できないものとしている。

上述の争点は司法機関の個別案件についての事実認定と法律見解であり、行政機関の認定・見解と異なる状況が生じるのは、通常のことであり、知的財産局は、司法の独立した判決を尊重する。加えて、行政機関が個別案件について上訴するか否かを決定する際は、法律制度の総体に基づき、かつ特定の行政目的が達成されたか否かを併せて考量しなければならない。本件について言えば、特許実施許諾制度の主要目的は権利者と使用者間の法律関係の協調にある。本件権利者のフィリップス社と國碩公司は2007年10月31日に和解契約に署名しており、双方の特許の利用関係における係争は既に合意に達していることは明白であって、行政機関が再び介入する必要性はなく、従って、行政争訟を継続する必要がない。知的財産局は、司法尊重の観点、および上述の通り行政目的は既に達している等の理由により、本判決に対して上訴しないことを決定した。