2009年3月、台湾の知的財産裁判所は、フランスの有名ブランド、エルメス社のバッグの模造品4つを販売した同社の元販売員に対し、日本円で7.5億円を超える、個人に対するものとしては過去にない高額の賠償金と新聞への謝罪広告を命じた。今回の厳しい判決が出されたのは、台湾が知的財産権保護の取り組みを強化していることを示すものと思われる。
判決文によると、元販売員は2004年にフランスでエルメスブランドに類似する牛革のバッグを2つ購入し、エルメス製と見せかけて洋装店に販売を委託した。洋装店では、26万元と22万5千元で販売した。元販売員は、更に2005年、イタリアからエルメス・バーキンの模造ワニ皮バッグ2つを仕入れ、1つ80万元で販売を委託した。委託先では、合わせて180万元で販売した。判決では、元販売員は4つのバッグを205万元(約615万円)で売り、平均単価は51.25万元(約153.75万円)であると認定している。
台湾の商標法第63条第1項には次の通り規定されている。
商標権者は、損害賠償を請求する場合、以下に掲げる各号の一つを選択してその損害額を計算することができる。
- 民法第216条の規定による。ただし、証拠を提示してその損害額を証明することができない場合、商標権者は、その登録商標の使用により通常得られる利益から侵害を受けた後の同一商標の使用により得た利益を差し引くことにより、その差額を損害額として計算することができる。
- 侵害者がその商標権侵害行為から得た利益。商標権の侵害者がその原価又は必要経費を立証できないときは、当該商品の販売による全部の収入を侵害者が得た利益とする。
- 押収された商標権侵害に係る商品の小売単価の五百倍から千五百倍までの金額。ただし、押収された商品が千五百個を超えるときは、その総額に基づいて賠償金額を定める。
判決では、上記第1項第3号中の小売単価の500倍が適用され、賠償額を2億5625万元(約7億6875万円)とした。個人に課された賠償額としては、過去にない桁外れの額となった。
なお、本件の刑事責任に関する部分については、「6ヶ月の懲役(罰金をもってこれに代えることができる)、執行猶予3年」の1審判決が維持された。
注記:1台湾元(NT$)は約3円。
