意匠登録出願の外国語書面に「意匠の名称」を 明記しなければ出願日を取得できない(台湾)

意匠登録出願の外国語書面に「意匠の名称」を 明記しなければ出願日を取得できない(台湾) 2

台湾の意匠登録出願は外国語書面による出願が認められているが、意匠明細書には必ず意匠の名称を記載しなければならない。また、出願書類が完備した日が出願日と認定される。

外国語書面による出願で、出願時に当該外国語書面に意匠の名称が記載されていなかったため、補正日が出願日と認定され、優先権が主張できなかったケースがある。このため、知的財産局はウェブサイトの布告欄で出願人及び代理人に注意を促した。

以下は記事の和訳である。引用条項のアンダーラインは、訳者が付した。

公表日:2013年11月13日 

特許法第125条第1項及び第2項の規定に基づき、願書、明細書及び図面は意匠を登録出願するための必須書類であり、且つ全ての書類が完備した日を出願日とできる。意匠明細書の記載方式は、同法施行規則第50条の規定に基づいて、以下を明記しなければならない:

  1. 意匠の名称;
  2. 物品の用途;
  3. 意匠の説明。

但し、上記第2号又は第3号が意匠の名称又は図面に表示され、明確な場合は、記載しなくてよい。このため、意匠明細書には少なくとも意匠に係る物品の名称を記載しなければならない。この記載方式は、外国語書面で出願する場合においても同様に適用され、外国語書面による特許出願実施弁法第4条第3項で「意匠を外国語書面で出願する場合は、図面を添付し、また意匠の名称を明記しなければならない。」と規定している。

2013年1月1日に改正特許法及びその施行規則が施行された後、少数の代理人は、上述の法規改変の細部項目に留意せず、意匠の名称が明記されていない外国語書面で出願したため、補正の日付が出願日となり、優先権が主張できない事態が発生している。その中には、訴願決定で棄却された事例もある(参考資料の通り)。

知的財産局は出願人及び代理人に再度注意を促すため、出願人が外国語書面で意匠登録出願する場合に特に注意すべき事項を下記に列挙する:

  1. 外国語書面には「意匠の名称」を明記しなければならず、明記していない場合は、補正の日を出願日とする。
  2. 願書、外国語書面、優先権証明書類は異なる書類であり、それぞれに用途がある。外国語書面に意匠の名称が明記されていない場合、願書又は優先権証明書類に記載された意匠の名称で代替することはできない。
  3. 外国語書面に意匠の名称が明記されておらず、且つ外国語明細書が全く提出されていない場合は、外国語明細書に部分的な欠落があるという状況ではない。優先権証明書に意匠の名称が記載されており、最初に出願した日が出願日であると主張することはできない。
  4. 意匠登録出願の出願日が補正の日とされた場合に、その国際優先権主張が国際優先権を主張できる期間を過ぎている場合は、優先権主張は受理しない。

訳注:
上記文章中で上げられている参考資料は「経済部102年7月23日経訴字第10206104170号訴願決定書」で、内容をまとめると以下の通り。引用条項にはアンダーラインを付した。

経済部 訴願決定書
経訴字第10206104170号
決定日:2013年7月23日

主文:訴願棄却

事実:

  1. 訴願人は2013年1月28日に意匠登録出願した。出願時の提出書類は、
    • 願書
    • 外国語図面
    • 優先権証明書等で、
      外国語の明細書は提出していない。
  2. 訴願人は、2012年8月20日に出願した韓国出願に基づき、優先権を主張した(優先権主張期限は2013年2月20日)。
  3. 知的財産局は補正指令を出し、外国語書面には意匠の名称が記載されていないため、外国語書面による特許出願実施弁法第4条第3項及び特許審査基準第一編 方式審査及び特許権管理に基づき補正の日を出願日とする旨説明した。
  4. 訴願人は、2013年3月19日に意匠の名称を記載した外国語図面、中国語明細書及び図面を提出した。
  5. 知的財産局は2013年3月19日を出願日と認定し、優先権主張期限を過ぎているとして、優先権主張は認めなかった。
  6. 訴願人は不服として、訴願を提起した。

理由:

  1. 特許法第125条第1,2,3項では、下記の通り規定している:
    意匠登録出願については、意匠登録出願権者が願書、明細書及び図面を提出して特許主務官庁にこれを出願する。
    意匠登録出願は、願書、明細書及び図面が完備した日を出願日とする。
    明細書及び図面を出願時に中国語の翻訳文で提出せず、外国語書面で出願をした場合において、特許主務官庁の指定期間内に中国語の翻訳文を補正したときは、外国語書面で出願した日を出願日とする。
  2. 特許法施行規則第50条では、以下の通り規定している:
    意匠登録出願の場合は、明細書に以下の事項を記載しなければならない:
    1. 意匠の名称
    2. 物品の用途
    3. 意匠の説明
      但し、上記第2号又は第3号が意匠の名称又は図面に記載されている場合は、記載しなくてよい。
      従って、意匠の明細書には、少なくとも意匠の名称を記載しなければならない。
  3. 特許法第145条の規定に基づく外国語書面による特許出願実施弁法第4条第3項では、以下の通り規定している:
    意匠を外国語書面で出願する場合は、図面を添付し、また意匠の名称を明記しなければならない
  4. 特許審査基準第1-5-5頁(第一編 方式審査及び特許権管理 2.1 外国語書面)では、以下の通り規定している:
    意匠の外国語書面には、意匠の名称及び図面を記載しなければならない。必要書類のひとつが不足している場合は、補正の日を外国語書面の提出日とする。
  5. 知的財産局による処分
    1. 本件は、2013年1月28日に外国語書面で出願されたが、外国語書面には、意匠の名称が記載されていなかったため、補正日である2013年3月19日を出願日と認定した。
    2. 優先権主張期限を過ぎているとして、特許法第28条を準用する第142条(最初の意匠登録出願の日から6ヶ月以内に出願するときは、優先権を主張できる。)に基づき優先権主張を受理しなかった。
  6. 訴願人の主張
    1. 意匠の名称は2013年1月28日に提出した願書に記載されているほか、優先権証明書類にも記載されている。
    2. 特許法施行規則第55条第1項第1号及び第2項では、以下の通り規定している:
      意匠登録出願の明細書又は図面の一部に不足があり、出願人が補正した場合は、補正の日を出願日とする。但し、下記に列挙する事由がある場合は、最初の出願日を出願日とする:
      1. 補正した明細書又は図面が優先権を主張する先行出願に記載されている。
        前項の明細書又は図面を外国語書面で提出した場合も、同様である。
    3. また、前述の外国語書面による特許出願実施弁法第4条第3項の規定がある。訴願人は出願時に外国語の図面を提出し、更に願書に意匠の名称を記載しており、上述の規定に合致している。更に、図面及び意匠の名称は、優先権証明書類にも記載されている。従って、本願の外国語書面提出の日が出願日である。
    4. 本願出願時には外国語図面を提出し、更に願書には意匠の名称が記載されており、同時に提出した優先権証明書類にも図面と意匠の名称が明確に記載されている。訴願人が提出した書類に、既に明確、且つ充分に記載されており、特許法第126条第1項の規定(明細書及び図面は、当該意匠が属する技術分野の通常の知識を有する者がその内容を理解し、且つ、その内容に基づいて実現できるように、明確且つ充分な開示をしなければならない。)に合致している。原処分官庁(知的財産局)が補正の日を出願日としたのは、行政手続法第7条の比例の原則に違反している。
      ※ 行政手続法第7条
      行政行為は下記の原則に従わなければならない:
      • 採用する方法は、目的の達成に役立たなければならない。
      • 同様に目的を達成できる方法が多数ある場合は、国民の権益に対する損害が最も少ないものを選択しなければならない。
      • 採用する方法により生じる損害は、達成しようとする目的の利益と均衡を失ってはならない。
  7. 経済部の決定
    1. 出願日について
      • 訴願人が2013年1月28日の出願時に提出したのは、願書、外国語図面、優先権証明文書及び委任状等である。中国語明細書及び図面は提出していないため、外国語書面による出願の方式である。
      • 特許法施行規則第50条により、意匠の明細書には少なくとも意匠の名称を記載しなければならず、外国語書面の場合も同様である。
      • 訴願人が提出した外国語書面は3頁の外国語図面のみで、外国語明細書はなく、図面に意匠の名称は記載されていない。外国語書面による特許出願実施弁法第4条第3項に合致しない。特許法第125条第3項は適用されない。同法第2項が適用され、特許審査基準第1-5-5頁に基づき出願書類が完備した2013年3月19日が出願日である。
      • 訴願人は、本願の意匠の名称は2013年1月28日に提出した願書及び優先権証明書に記載されているので、本願は適法であると述べた。しかしながら、明細書と図面の目的は出願日を取得する当該技術内容と開示の範囲を確認するもので、願書は単に意匠を登録出願するという意思表示にすぎず、優先権証明書類は出願人が以前に外国へ出願し、受理された内容を証明するものである。従って、明細書及び図面と願書又は優先権証明書類はそれぞれが独立したもので、用途が異なる書類である。その内容を相互に転用する又は代替することはできない。
      • 特許法施行規則第55条第1項第1号及び第2項の規定の適用は、出願人が出願時に提出した明細書又は図面に「部分的な欠落」がある場合にのみ適用される。外国語明細書が全く提出されていないのは、部分的欠落の場合に該当せず、最初の出願日を出願日と主張することはできない。
      • 特許法第126条第1項は、実体審査段階で判断する事項であり、出願日認定手続きとは無関係である。
      • 出願日の認定方式は、特許法第125条及び外国語書面による特許出願実施弁法第4条第3項に明確に規定されており、何れの出願人にも適用されるもので、原処分官庁は公平公正の原則に基づき認定した。行政手続法第7条は適用されない。
    2. 優先権について
      • 本願は、補正の日である2013年3月19日が出願日であるので、6ヶ月の法定期間を過ぎている。従って、優先権を主張できない。
    3. 以上を総合し、本件の訴願には理由がなく、訴願を棄却する。
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意匠登録出願の外国語書面に「意匠の名称」を 明記しなければ出願日を取得できない(台湾)