「孔子」商標登録事案に関する説明(台湾)

2024年5月1日より台湾商標法改正条文が施行される

知的財産局は、登録を認めた「孔子」商標について再検討した結果、不備を認定して自ら審判を申請し、その説明を行った。以下はそのプレスリリースの訳文である。

主題内容:

商標審査の観点からみると、商標法は「人名」の登録出願の可能性を排除する規定がなく、「人名」は、商品又はサービスの出所を表す商標としての機能を有する。このため、原則的に歴史上の人物は商標として出願登録が可能である。例えば非常によく知られている「リンカーン」ブランドの自動車、「モーツアルト」チョコレート、「フランクリン」ファンド等で、指定商品またはサービスとその著名人物の業績とが無関係であれば許される。但し、登録を一律に禁止する、国の比較的厳格な基準もある。

本件の「孔子」商標は、中国大陸教育部対外漢語教学発展センターが「大陸地域人民の台湾における特許および商標登録作業要点」の規定により、法に基づいて登録出願したものであるが、報道により一般大衆の関心を引いた。同出願人は、中国大陸教育部の数多い直轄の事業単位の一つで、独立法人資格を有し、1987年に設立された。同センターは外国における漢語教育の普及を主要任務としており、世界各地に「孔子学院」を設立して漢語教育の普及に努めている。また「孔子」、「孔子學院」、「孔子講堂」の数件を知的財産局に出願し、商標登録を認められた。しかしながら単独に「孔子」の二字を商標登録出願することが適切か否かが問題となり、知的財産局商標権組の内部品質覆審査小組は、該商標登録の公告後、直ちに内部での検討を具申し、本件は単に「孔子」の二字であり、教育サービス関係の商品またはサービスを指定しており、商品またはサービスの出所の識別機能において不十分と認定し、商標法の関連規定により自ら審判を申請した。現在、登録権者に通知し、意見を具申させるところである。

歴史上の人物名を商標として登録出願できるか否かの点から見ると、各国の寛厳の状況は一様ではなく、議論の余地がある。知的財産局は、来年度に「商標識別性審査基準」の内容修正を予定しており、我が国の国情と世界各国の人物名に関する登録規定を集め、更に専門家、学者を招いて討論を行い、基準修正の参考とする。最後に特に説明しなければならないのは、商標法第30条第1項第1号の規定によれば、善意で且つ合理的な使用方法で、自己の氏名、名称又はその商品若しくはサービスの名称、形状、品質、効用、産地若しくは商品若しくはサービス自体に関するその他の説明を表示し、商標としての使用に該当しないものは、他人の商標権の効力に拘束されない。このため、「孔子」二字がたとえ商標として登録されたとしても、決して全ての他人が該文字を使用できないことを意味するのではない。一般の人が善意且つ合理的な方法で該文字を使用する場合、例えば、「孔子伝」の出版、または孔子学術座談会等の開催は、他人の商標権の効力による拘束を受けない。