EU商標制度改正について

EU商標制度改正について 1

2015年12月15日、欧州議会は、共同体商標規則・商標ハーモ指令・欧州共同体商標意匠庁(OHIM)手数料規則を改正する改革一括法案を採択しました。多岐に亘るEU商標制度の改正は、2016年3月23日から施行されています。

今回の改正では、下記の通り名称の変更がありました。

変更前変更後
欧州共同体商標意匠庁(OHIM)
Office for Harmonisation in the
Internal Market
欧州連合知的財産庁(EUIPO)
European Union Intellectual Property
Office
共同体商標(CTM)
Community trade mark
欧州連合商標(EUTM)
European Union trade mark

商標権者に影響が大きいと思われるのは、指定商品/役務の範囲に関する改正です。従来、指定商品/役務をクラスヘディングとした場合、当該区分のリストに含まれる商品/役務がカバーできると見なされていました。しかしクラスへディングを指定した商標「IP Translator」が当該区分に含まれる役務「translation services」(クラスへディング役務ではない)を根拠に識別性がないと拒絶された「IP Translator」事件の判決を受けて、OHIMは2012年6月21日以降の出願について、指定商品/役務を明確化するプラクチスに変更しました。

上記プラクチスの変更において、変更以前に出願された登録商標については、従来通りクラスへディングの指定で、当該区分のリストに含まれる商品/役務はカバーされると見なされていました。しかし2016年3月24日から施行された今回の改正規則では、2012年6月21日以前に出願された登録の指定商品/役務も保護される範囲は指定商品/役務として記載された商品/役務だけです。従って、クラスへディングのみを指定した登録については指定商品/役務の見直しが必要です。下記の通りお知らせ致します。

2012年6月21日以前の出願の商標登録権者は、経過措置として指定商品/役務を明確に記載する宣誓書をEUIPOに提出することが認められます。但し宣誓書を提出できるのは、出願時に当該区分のクラスヘディングの全商品/役務を指定している登録に限られます。

  • 記載する商品/役務は出願当時に採用されていた「ニース分類」の版に基づき、その版でリストアップされている商品/役務に限定されます。
      第6版 :1992年 ― 1996年
      第7版 :1997年 ― 2001年
      第8版 :2002年 ― 2006年
      第9版 :2007年 ― 2012年
      第10版:2012年1月1日 ― 2012年12月31日
  • 宣誓書の提出期限は2016年9月24日で、期限の延期は認められません。
  • 宣誓書を提出しなかった場合、クラスへディング商品/役務だけを指定した登録で保護できるのは、クラスへディング商品/役務自体だけです。
    例:2010年に出願した登録商標 ― 第9版が適用
      指定商品は第25類のヘディング商品の「被服・履物・帽子」のみ
  • 改正規則では、ニース分類第9版第25類のリストにある「靴の中敷き」は「被服・履物・帽子」で保護できません。
    • 「靴の中敷き」を保護したい場合は、この商品を記載した宣誓書を提出する必要があります。
    • 第10版にある商品で、第9版にない商品は指定できません。
    • 宣誓書を出さない場合、登録で明確に保護される商品は「被服・履物・帽子」だけです。
  • EUIPOは、クラスへディングでカバーできない商品/役務例のリストを公表しています。上記「靴の中敷き」(inner soles)はこのリストに入っています。

また、EUTMの出願手数料と更新手数料が以下の通り変更されました。

改正前(単位:€)改正後(単位:€)
出願手数料 ( 電子出願 )900(3区分まで)850(1区分)
区分手数料 2区分目--50
区分手数料 3区分目--150
 4区分目以降1区分につき150150
更新手数料 ( 電子出願 )1350(3区分まで)850(1区分)
区分手数料 2区分目--50
区分手数料 3区分目--150
 4区分目以降1区分につき400150
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