台湾発明特許分割出願の効果的な活用について

台湾発明特許分割出願の効果的な活用について 2

発明特許は一発明一出願を原則とするが、2以上の発明が1つの広義の発明概念に属する場合、1 つの特許として出願することができる(専利法第33条)。1つの広義の発明概念に属するとは、2以上の発明が技術的に相互に関連し、1つ又は複数の同一又は対応する特別な技術的特徴を含むことをいう(現行の施行細則第27条)。一般に、例えば物の発明と、当該物の生産又は使用する方法及び装置といったように、利用上切り離すことができない関係にあるならば発明の単一性に合致する。しかし、時として、出願人において、発明特許出願が発明の単一性に違反するか否か、その特許出願に含まれる技術特徴が2以上の発明概念に属するか否かを判断することができない場合もある。このため、特許制度には出願の分割制度が設けられており、特許出願が実質的に2以上の発明であるときは、審査官の通知により又は出願人が自発的に分割を申請することができる。なお、分割出願(子出願)にも原出願(親出願)の出願日が認められ、優先権を主張することもできる*1(現行の専利法第34条)。

出願人が分割制度を柔軟に活用してより万全な権利保護を受けられるように、発明特許の分割出願のタイミングは親出願の審査期間(初審の実体審査請求前/後、初審審査意見通知書受領後の応答期間、初審で拒絶査定された場合は再審査請求後、再審審査意見受領後の応答期間)に制限されておらず、親出願の特許査定後3ヶ月内でも分割することができる。分割によって手続きや審査が二重に行われることがないように、分割のタイミングが親出願の審査中であるか又は特許査定後であるかを問わず、その子出願は親出願の初審又は再審査段階での手続きから審査が続行される。
ここで注意すべきは、分割される子出願の内容は、親出願の特許出願時の明細書、特許請求の範囲又は図面に開示された範囲を超えてはならず、子出願は親出願の出願日を引き継ぐために、子出願には親出願時の内容を判断基準として新規事項を追加することはできないことである。また、親出願の審査期間中に分割を申請する場合、親出願の補正(出願時の内容を超えてはならない)を提出すると

同時に子出願の手続きをすれば、その一部の内容(明細書、特許請求の範囲又は図面)を削除,修正してそれを子出願として分割することができる。しかし、親出願の特許査定後に分割を申請する場合、親出願は特許査定時の内容に基づき公告されて特許権を付与されており、分割のための変更をすることができないので、その子出願は親出願の特許請求の範囲ではなく明細書又は図面の内容からしか分割することはできず、親出願の特許査定された請求項を分割して子出願の請求項とすることはできない(専利法第34条)。また、通常、分割時の子出願の明細書は親出願の明細書を援用するので、子出願の明細書は親出願のものと完全に又は一部が同じである。これに関して、先般、知的財産局は、明細書が親出願と完全に一致しない子出願については、差異部分に下線を引いた明細書を提出しなければならず、願書にてその差異部分の説明をすることができると規定した(2023/5/1発効の施行細則第28条)。

以上のとおり、分割出願は主として発明の単一性欠如を克服するためにあるが、原出願の出願時に発明の内容(実施の形態)に開示されているにもかかわらず保護が及ばない内容を分割出願することによって特許による保護を受けることにも利用できる。また、審査意見通知書においてどの請求項が特許要件を満たし、どの請求項が特許要件を満たさないといった指摘を受けた場合に、審査官が疑義をもつ請求項を分割手続きによって子出願とすることで、親出願を早期権利化したうえで子出願の権利化の機会を狙うことができる。このほか、医薬品関連の発明特許については市販のための許可証を別途に申請する必要があり、特許公告後も許可証を受け取るまでは発明を実施することができないことから特許権存続期間の延長を申請することができるが、発明特許1件につき一度の延長しか認められない。これについて、知的財産局は、例えば1つの化合物の有効成分に異なる塩類又は水和物が含まれ、複数の許可証を取得する場合、出願人はまず1つの特許としてまとめて出願をし、その審査期間又は特許査定時に分割を検討することができるので、現在の特許権存続期間の延長基準は医薬品の許可証を要因とする延長申請に様々な選択肢を与えていて、出願人は分割出願を特許ポートフォリオの構築に活かすことができるとしている。このように、場合によっては分割出願も特許による保護を得る際の重要戦略の一つになりうる。

*1現行の特許分割申請書によると、優先権を主張しない旨を声明しなかった場合、(親出願と同じ)優先権を主張するものと見なされる。

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