商標の識別性 標語の事例紹介(台湾)

2024年5月1日より台湾商標法改正条文が施行される

標語を商標とした出願が、叙述的な言葉であり一般消費者は商品又は役務を識別する標識と認識できないとの理由で拒絶された。出願人は訴願及び行政訴訟を提起したが棄却されたため更に上訴したが、最高行政法院においても棄却された。
以下は電子報に掲載された最高行政法院の判決要旨の訳文である。

電子報掲載日:2011年6月5日

最高行政法院判決 (99、判、1094)
判決書日付:2010年10月22日

係争商標:因為信任所以簡單

上訴人:Alibaba Group Holding Limited
被上訴人:経済部知的財産局

主文:上訴棄却

係争商標「因為信任所以簡單」(「信頼している、だから簡単」)は、「因為(なので[原因])・・・所以(だから[結果])・・・」の句を用いた表現であって、台湾の国民であれば、子供の頃から大人になるまで学び、使う接続詞である。上記接続詞の空白部分には人、事柄、時、場所、物、抽象或いは具象の何れかを問わず言葉が入り、両者間には必ず因果関係又は緊密な関係があって、主に一つの判断を表現する語句である。上訴人の訴訟代理人が原審の裁判所における準備手続で行った陳述に基づくと、係争商標「因為信任所以簡單」の意味は「あなたが信頼するので簡単になる」であるが、被上訴人の解釈に基づくと「充分な信頼がありさえすれば全てが簡単になる」という意味である。両者の意味の差は大きいものではなく、何れも人と人との相互の信頼態度が、双方間の関係及びあらゆる仕事の進行を一層順調にすることができるとの意味を伝えるものである。係争商標は、一つの価値判断を直接伝えるもので、性質上、直接的な叙述語句であるが、「アップル」又は「統一」等の図形又は文字は表彰する意味を直接伝えるものではないので、両者の伝えるメッセージは明らかに異なる。係争商標は叙述的な文字の組み合わせに属し、それ自体に一定の意味があるので、これをもって商品又は役務を識別する標識とするには、明らかに識別性が不足している。更に、係争商標はそれ自体が完全な意味を有するので、必ずしも商品又は役務と結合とすることで初めてその意味を明らかに示すことができるというものではない。係争商標の語句が単独で存在していたとしても、単独で存在する価値があり、係争商標が伝える意味は、上訴人が指定する商品又は役務においてのみならず、人と人との間でも使用される。一般消費者が係争商標を商品又は役務の説明と認識するには至らなくても、係争商標自体が独立して意味を有するので、係争商標は高い識別性を有すると主張することはできない。この種の表現は価値判断に属するもので、これを商標とするのは、一般消費者に商品又は役務の出所を識別する根拠とさせるのが難しく、識別性を有しているとは認め難い。商標法第23条第1項第1号の規定が適用される。

(以上)

第23条 第1項 第1号
次に掲げる事由の一つに該当する商標は、登録をすることができない。
1、第5条の規定に合致しないもの。

第5条
商標は、文字、図形、記号、色彩、音響、立体的形状又はこれらの結合から構成されることができる。
②前項の商標は、その商品又はサービスの消費者が商品又はサービスを表す標識であると認識するに足り、かつ、これによって他人の商品又はサービスと識別するに足りるものでなければならない。