台湾、知的財産局ウェブサイトの2014年12月5日付電子報に、意匠権の侵害に関する知的財産裁判所判決の要旨が掲載された。
以下は、その訳文である。
電子報掲載日:2014年12月5日
上訴人はその創作による「飲料を入れる容器」を出願し、中華民国意匠登録第D112895号を取得した。その主張によれば、被上訴人は上訴人の同意又は許諾を得ずに係争意匠と同一の製品を販売し、更にインターネットショップを通じて内外国に販売して係争意匠を侵害した。
本件に関する裁判所の見解は以下の通りである:
- 係争意匠は創作性を有する:
証明された事項を総合し係争意匠と比較対照した結果、証明された事項の組み合わせで係争意匠に創作性がないことは証明できなかった。本件被上訴人の係争製品には係争意匠で開示されている各項の特徴が含まれており、被上訴人の係争商品は、上訴人の係争意匠の請求範囲に入り、意匠権の侵害を構成する。 - 被上訴人には係争意匠侵害の過失がある:
本件の被上訴人は、販売する商品の種類が極めて多く、一つ一つ販売する商品が他人の権利を侵害しているか否か調査して確認する事はできず、故意、過失ではないと主張した。しかしながら、上訴人が販売する製品は、我が国、アメリカ、中国及び日本の何れにおいても登録出願されている。更に、外装ケース及び説明書には登録番号が表示されており、且つ当該製品は過去に何度も表彰され、業界において名声を得ている。また、上訴人の製品は国内の販売拠点が200余りと多数あり、有名な百貨店や企業も多く、国外の販売拠点は世界各国に広がっている。70以上もの国外の展覧会へ出展しており、高い知名度がある。被上訴人はインターネット上で日用品を販売する事業に従事する専門業者であって、オンラインショップを約6年経営していることを認めている。一般的な消費者と比べ、販売する商品の種類、規格、有名ブランド商品の外観等の情報は、高いレベルで理解及び把握している筈であり、商品が権利を侵害しているか否かを調査し、明確にする能力もかなりある筈である。ましてや、かつて販売した商品が他人の特許権又は商標権を侵害しているとして権利者から訴えられている。その後何れも和解しているが、被上訴人は過去に販売した商品が権利侵害を訴えられているため、再び他人の知的財産権を侵害することがないよう更に注意深く慎重にすべきである。しかし未だ教訓を活かしておらず、再び軽率に権利の出所が不明な係争製品を輸入したのは、明らかに取引上必要な注意を怠った過失であり、過失はないとの主張を信用して採用することはできない。上訴人が指摘した、被上訴人は主観的に権利侵害しており故意であるとの点については、本裁判所で参照できる関連証拠資料を提出しておらず、被上訴人が主観的に権利を侵害し故意であると断定して認定することはできない。 - 上訴人が請求できる損害賠償の額はいくらか:
本件被上訴人には法に基づいて通常作成する統一発票(公的領収書)がなく、また被上訴人が実際に販売した係争製品の数量を判断できるその他の客観的な証拠がない。即ち、上訴人は被上訴人が侵害行為によって得た利益を立証、証明するのは困難であり、上訴人が被上訴人に請求できる賠償金額については、裁判所が一切の情況を審査、酌量して認定することができる。調べたところ、被上訴人が販売する商品の種類は極めて多く、上訴人が主張する購入者の領収書の品名はそれぞれ「販売費用」及び「商品」等であって、係争商品の販売に関する領収書であることを認定できず、上訴人が主張する前記領収書で損害賠償の金額を計算するのは合理的でない。被上訴人がウェブサイトでインターネットショップを経営し、構築したショッピングサイトで販売した商品の品目数が多く、係争商品はその中の一品目に過ぎず、更に、被上訴人が販売した仕入れ原価を差し引いた後の係争商品一個あたりの利益は僅かに200元余りで、所得は多くなく、また被上訴人が販売した期間は2012年3月から8月である等の一切の情況を審査、酌量し、本裁判所は本件の被上訴人が上訴人の係争意匠権を侵害した賠償金額はNT$(新台湾ドル)5万元が適当であり、この金額を超える部分については理由がないと認める。
判決文全文:知的財産法院103年度民専上易字第1号
