事業者が、競争相手が自己の著作権、商標権又は特許権を侵害しているとの警告書を自己の又は他の事業者の取引相手又は潜在的取引相手に不当に出したため引き起こされる不正競争について、台湾の公平交易委員会(日本の公正取引委員会にあたる)は、その処理原則を示している。この処理原則が改正され、2010年1月28日付で公布された。以下はその訳文である。
なお文章中、特許には、発明特許、実用新案特許、意匠特許が含まれ、特許法には、特許法、実用新案法、意匠法が含まれる。
行政院公平交易委員会 事業者の著作権、商標権又は特許権侵害
に対する警告書案件に関する処理原則
1997年5月7日委員会議通過
2010年1月19日全文改正
2010年1月28日公布
- (目的)
行政院公平交易委員会(以下、本会と略称する)は、事業者の公平な競争を確保し、取引の秩序を維持し、事業者が著作権、商標権又は特許権を濫用して、競争相手がその著作権、商標権又は特許権を侵害しているという警告書を不当に外部に送ることにより生じる不正競争の案件を効率的に処理するため、特に本処理原則を定める。 - (用語の定義及び適用対象)
本処理原則における事業者が警告書を送る行為とは、事業者が下記の方式で自己の又は他の事業者の取引相手又は潜在的取引相手に対して、他の事業者が自己の所有する著作権、商標権又は特許権を侵害しているとの通知を流布する行為を指す。- 警告書
- 通告書
- 弁護士書簡
- 公開書簡
- 告知広告
- その他、自己の又は他の事業者の取引相手又は潜在的取引相手に知らせるに足る書面
- (著作権法、商標法又は特許法に基づく権利行使の正当な行為 ― 1)
事業者が下記の権利侵害確認手続きの1つを行った後、警告書を送るときは、著作権法、商標法又は特許法に基づく権利行使の正当な行為とする。- 裁判所の一審で、著作権、商標権又は特許権が侵害されていると判決された場合。
- 著作権の審議及び調停委員会の調停で、著作権の侵害が認定された場合。
- 特許権を侵害している可能性がある対象物を専門の機関に送付して鑑定を依頼し、鑑定報告を取得し、且つ書簡送付前又は同時に、侵害の可能性がある製造業者、輸入業者又は代理店に通知し、侵害排除を請求した場合。
事業者が、第1項、第3号後段の侵害排除通知を行っていないが、事前に権利救済手続きをとっている、又は合理的に可能な注意義務を尽くしている、又は通知することが客観的に不可能である、又は通知受取人が既に争議を知っていると認定するに足る具体的な証拠がある場合は、侵害排除通知の手続きを既に行っていると見なす。
- (著作権法、商標法又は特許法に基づく権利行使の正当な行為 ― 2)
事業者が、下記の権利侵害確認手続きを行った後、且つ公平交易法 [公正取引法] 第19条、第21条、第22条、第24条の規定に違反していないときに警告書を送る場合は、著作権法、商標法又は特許法に基づく権利行使の正当な行為とする。- 書簡送付前又は同時に侵害の可能性がある製造業者、輸入業者又は代理店に通知し、侵害排除を請求する。
- 警告書簡中に著作権、商標権又は特許権の明確な内容、範囲及び侵害を受けている具体的事実(例えば、係争の権利がいつ、どこで、どの様に製造、使用、販売又は輸入されているか等)を明示し、受取人に係争権利が侵害を受けている可能性がある事実を知らせる。
事業者が前項第1号の侵害排除通知を行っていないが、事前に権利救済手続きをとっている、又は合理的に可能な注意義務を尽くしている、又は前項の通知が客観的に不可能である、又は通知受取人が既に権利侵害争議を知っていることを認めるに足る具体的証拠がある場合は、侵害排除通知の手続きを行っていると見なす。
- (法律効果)
事業者が第3点又は第4点に規定される先行手続きを行わず、いきなり警告書を送り、且つ取引に影響する欺瞞又は明らかに公平を失する行為であると認めるに足るときは、公平交易法第24条に違反する。
事業者が第4点に規定される先行手続きを行ってから警告書を送ったが、内容が不正競争の状況に関わる場合、本会は具体的な個別案件毎に検討し、公平交易法第19条第1号、第19条第3号、第21条、第22条、第24条の規定に違反していないか調べる。 - (本処理原則は、生産・販売段階を同じくする競争関係にはない事業者が侵害しているとして、事業者が不当に外部に警告書を送った場合も適用する)
事業者が、生産・販売段階を同じくする競争関係にはない事業者が、その著作権、商標権又は特許権を侵害しているとの警告書を不当に外部に送り、不正競争の状況を引き起こした場合も、本処理原則を適用する。
