台湾・中国における商標無効審判と争議手続の比較

2024年5月1日より台湾商標法改正条文が施行される

台湾の知的財産局ウェブサイトの、本年4月5日付電子報に、台湾と中国における商標登録の取消請求制度を比較する記事が掲載された。

以下はその訳文である。

電子報掲載日:2013年04月05日

商標登録後、台湾、中国においては何れも利害関係人に当該登録の取消請求のシステムを提供している。台湾では無効審判の方式で進められ、中国では商標争議手続に基づいて行う。双方とも商標法に関連規定があり、手続き上は大体同じである。以下に比較して説明する:

  1. 依拠する法律条文
    台湾では、商標無効審判手続に関する規定は商標法第57条から第62条に分けて、無効審判請求の法定事由、請求人の資格及び添付する使用証拠、無効審判の除斥期間及び例外、審判官の指定、無効審判成立の法律効果、一事不再理等が規定されている。
    中国の商標争議手続は、商標法第41条及び商標法実施条例第35条において登録商標争議の裁定について規定されており、登録商標の争議理由、請求人の資格、争議除斥期間及び例外、一事不再理等の規定も含まれている。
  1. 請求人の資格
    登録された商標権の安定性を維持するため、両国の商標法は何れも請求人の資格について利害関係人と限定している。利害関係人には、出願又は登録の先行権利者、先使用者、著名商標の権利者、著作権又は特許権の先行権利者等が含まれる。
  1. 職権に基づく登録取消
    両国何れも、主管官庁が職権に基づき商標登録の無効審判又は取消を請求できると明確に規定している。
  1. 除斥期間
    台湾の無効審判請求の除斥期間は商標登録公告日から5年以内、中国の争議手続の除斥期間は登録日から5年以内である。除斥期間の例外規定について、台湾では、登録された商標が悪意に基づく他人の著名な商標の冒認登録である又はぶどう酒/蒸留酒の地理的表示である場合は、無効審判請求期間は5年の除斥期間の制限を受けない。中国の商標法では、悪意に基づき他人の著名商標を冒認登録した事実に対してのみ、除斥期間の制限を受けない。
  1. 審理方式
    無効審判又は争議手続では、何れも3人以上の合議審理を採用しており、多数決で意見を決定する。
  1. 救済手続
    台湾では、無効審判の審決に不服の場合は、審決書受領の翌日から30日以内に経済部訴願審議委員会に訴願を提起できる。訴願決定に不服の場合は、知的財産裁判所に行政訴訟を提起できる。中国では、争議の裁定に不服の場合は、通知書送達の日から30日以内に北京中級人民裁判所に行政訴訟を提起できる。
  1. 法律効果
    無効審判成立又は争議成立の法律効果は同じで、何れも商標の登録が取り消される。
  1. 一事不再理
    台湾商標法第61条には、無効審判案件の審決後、何人も同一事実、同一証拠及び同一理由に基づき無効審判を請求できないことが明確に規定されている。中国商標法実施条例第35条の規定では、商標の審判請求を取り下げた請求人は、同じ事実及び理由で再度審判を請求することはできない、及び商標評審委員会が商標の審判請求に対して既に裁定又は決定を行っている場合、何人も同じ事実及び理由で再度審判を請求することはできないと規定している。

この他、台湾では、中国商標法の争議手続では規定されていない、2項目の審判手続があるので、以下に説明する。

  1. 審判の根拠となる商標が合法に使用されている証拠の提示
    商標の登録が商標法第30条第1項第10号の規定に違反しているとして、商標主務官庁に無効審判を請求するとき、無効審判の根拠となる商標が、既に登録後満3年を超えている場合は、審判請求前3年間に指定商品若しくは役務に使用した証拠、又は正当な事由があって未使用である証拠を添付しなければならないことが、商標法第57条第2項及び第3項に明確に規定されている。また、提出する使用証拠は、商標の真実の使用を証明し、且つ一般的な商取引習慣に合致していなければならない。
  1. 況に基づく決定
    台湾商標法第60条では、無効審判事件で審判が成立した場合は、登録を取り消さなければならないと明確に規定している。但し、登録できない事由が既に存在しない場合は、公益と当事者の利益のバランスを考慮して、不成立の審決を行うことができる。

以上をまとめると、台湾の無効審判手続と中国の争議手続に大きな違いはないが、台湾の関連規定の方が相対的に厳格である。

台湾・中国における商標無効審判と争議手続の比較 1
台湾・中国における商標無効審判と争議手続の比較