現行の台湾商標法の基本的な骨格は2003年5月28日に改正され2003年11月28日から施行されたものである。その後商標法は小幅な改正が2度あったが、基本的な骨格に変更はなかった。国際的な経済情勢及び世界の潮流に対応するため、経済部知的財産局は数年に亘り、多数回の公聴会を開催し、商標法全体の大幅な改正について、検討、立案した。元の94条から111条になった新商標法は、立法院を通過し2011年6月29日に総統により公布され、更に2012年7月1日から正式に施行された。
知的財産局は、新商標法の施行に合わせ、関連する規則及び審査基準を改正し、2012年7月1日から施行した。要点は以下の通りである:
| 新商標法に合わせ大幅改正 | 新商標法に合わせ小幅改正 |
|---|---|
| 1. 商標法施行規則 2. 権利不要求声明の審査基準 3. 権利不要求声明を必要としない事項の例示(新設) 4. 非伝統商標の審査基準 5. 証明標章、団体商標及び団体標章の審査基準 | 1. 商標規定手数料、料金の基準 2. 商標識別性審査基準 3.「誤認混同のおそれ」審査基準 4. 著名商標保護審査基準 5. 小売役務審査基準 6. 登録商標使用の注意事項 7. 商標法上の利害関係人認定要点 8. 商標審査官が請求する無効審判の作業要点 9. 商標争議案件の聴聞作業要点 |
新商標法の施行後、商標登録出願等の実務事項について、比較的大きな変更があった。要点は以下の通りである:
- 登録を認める非伝統商標の保護対象を拡大する
2012年7月1日から非伝統商標は、色彩、音声、立体形状商標の他に、動き商標、ホログラム商標及び匂い商標についても登録出願して保護を取得できる。 - 異議申立期間の計算に始めの日を算入しない。
改正前の商標法の規定では、異議申立期間は登録公告の日から3ヶ月以内だったので、2012年1月1日に登録を公告された商標の異議申立期間は2012年3月31日までだった。商標法の改正により、商標の登録公告日の後3ヶ月以内と改正され、2012年1月1日に登録を公告された商標の異議申立期間は2012年4月1日までとなり、異議申立期間は1日多くなる。 - 商標登録出願に「国際展示会出展による優先権」を主張できることを新設
国際展示会へ出展した商標は、出展後6ヶ月以内に「国際展示会出展による優先権」を主張できる。但し、登録出願時に申立書を提出し、出願日の後3ヶ月以内に国際展示会の主催者が発行した出展証明書を提出しなければならない。 - 出願後に非実質的な商標態様の変更を認める
改正前の商標法では、出願後に商標態様を変更することはできないと規定していた。改正後の商標法の規定では非実質的な商標態様の変更を認める。非実質的な変更とは、以下を削除できることを指す:識別性がない又は公衆に商品の性質、品質又は産地を誤認、誤信させる文字又は記号(例えば「有機」);純粋に情報である事項(例えば、製造業者の電話番号、住所、. . . 重量、成分. . .)又は「®、登録商標」等。 - 「商標権利不要求声明制度」の改正
商標に説明的又は識別性を有さない部分が含まれる場合、改正前の商標法の規定では、当該部分について権利不要求の声明をしなければならず、その後に登録が付与された。改正後の商標法では説明的部分について権利不要求声明は不要である。但し、「識別性を有さない部分で且つ商標権の範囲に疑義を生じるおそれがある場合」出願人は当該部分について権利不要求の声明をしなければ登録できない。疑義がない部分については当該部分の権利不要求声明は不要である。
知的財産局が公布した「権利不要求声明を必要としない事項」があるが、依然として多くの疑義があるので、出願人は登録が取得できない事態にならぬよう、慎重に対応すべきである。 - 意見陳述期間の期限の統一
商標登録出願案件の拒絶査定前に、知的財産局は出願人に拒絶理由を書面で通知し、意見陳述の期限を設定しなければならない。この期限は、国内の出願人は1ヶ月、国外の出願人は2ヶ月で、理由を述べて1回延長することができる。出願人が2回目の再延長を申請する場合は、必ず理由及び証拠を添付しなければならず、理由がない場合はこれを受理しないことができる。 - 商標の紛争案件に関わり、商標権を分割又は指定商品/役務を減縮する場合は、処分前に行わなければならない
改正前の商標法では商標紛争案件(異議申立、無効審判、取消審判)に関わる分割は、処分後の訴願、訴訟中において、即ち確定しない前に出願の分割又は商品の減縮ができた。改正後は、知的財産局が審定を下す前に分割又は減縮しなければならない。 - 登録料の二期分納制度を廃止し、登録料を二ヶ月以内に納付しなかった場合の救済方式を新設
改正前の商標法の規定では、出願人は知的財産局から登録査定書を受領した日から2ヶ月以内に登録料を全期(1~10年)又は二期(第一期1~3年、第二期4~10年)の何れかを選択して納付しなければならず、2ヶ月以内に納付しなかった場合は、出願が無効になった。新法では、登録料の分納制度が廃止され、全期の登録料を納付することにより、登録が取得でき、登録証書を受け取れる。また、故意でない場合は、登録料納付期限満了後6ヶ月以内に登録料を納付できることが新設された。 - 商標使用許諾制度の実務の変更
- 商標使用許諾申請は、新法の実施後は当該許諾が「専用使用権」であるか「通常使用権」であるか登録しなければならない。
台湾では、「単独ライセンス(Sole License)」の制度がない。このため、商標権者が被許諾者に「専用使用権」を許諾すると商用権者自身及び第三者は当該商標を使用できない。従って、商標権者が商標の使用権(例えば広告)を留保したい場合は被許諾者に「通常使用権」を許諾しなければならない。 - 旧法の規定では、商標使用許諾を登録するとき、商標使用許諾期間は商標権の存続期間内のみである。このため、商標の更新登録出願を行った場合は、使用許諾の登録を維持するために、再度登録を申請する必要があった。新商標法の実務では、商標使用許諾を登録するときに使用許諾期間が当該商標の権利期間を超える場合、当該商標の更新後に再度登録を申請しなくとも使用許諾は有効である。
- 商標使用許諾を登録するとき、使用許諾期間には開始日を必要とする。但し使用許諾終了日は要さない。
- 商標使用許諾申請は、新法の実施後は当該許諾が「専用使用権」であるか「通常使用権」であるか登録しなければならない。
- 商標争議案件に意見陳述のやり取りについての制限を新設
商標争議案件には、異議申立、無効審判、取消審判を含む。従来は、商標争議案件は双方何れもが答弁書又は意見陳述書を提出でき、且つ回数に制限がなく、双方から答弁又は意見が提出されなくなって始めて商標審査官は実質的な審査を進めることができた。新法の規定では、答弁書又は意見陳述書の提出が手続を遅滞させるおそれがある又は証拠が既に明確である場合、知的財産局は相手側に答弁又は意見陳述の通知をせずに直ちに処理することができる。 - 同一/類似の商品/役務を指定した他人の同一/類似の登録商標に対して、自己の満3年に達した商標に基づき無効審判を請求する場合は、自己の商標について3年以内の使用証拠の提出が義務づけられることを新設
この新規定によれば、無効審判請求人は、相手側の係争商標に誤認混同のおそれがあると主張する根拠となる自己商標について、当該誤認混同のおそれがある商品/役務において3年以内に使用があることを立証しなければならない。但し係争の根拠となる商標登録のあらゆる指定商品/役務それぞれについて使用を証明する必要はない。当該登録商標の使用がないことについて正当な理由がある場合は、申し述べなければならない。提出された使用証拠は、商標の真実の使用であることを証明するに足り、通常の商取引習慣に合致していなければならない。 - 他人が自ら登録商標を変え又は付記をし、自己の満3年に達した登録商標と同一/類似を構成するため、他人の商標に対して取消審判を請求した案件について、取消請求人は自己の商標について3年以内の使用証拠の提出が義務づけられることを新設。
この新規定によれば、取消請求人は、相手側の係争商標に誤認混同のおそれがあると主張する根拠となる自己商標について、当該誤認混同のおそれがある商品/役務において3年以内に使用の事実があることを立証しなければならない。提出された使用証拠は、商標の真実の使用であることを証明するに足り、通常の商取引習慣に合致していなければならない。

