特許法における「一事不再理原則」の適用(台湾)

特許法における「一事不再理原則」の適用(台湾) 1

台湾、知的財産局ウェブサイトの2015年2月5日付電子報に、特許無効審判における「一事不再理原則」の適用に関する知的財産裁判所判決の要旨が掲載された。以下は、その訳文である。

電子報掲載日:2015年2月5日

原告:特許権者
被告:知的財産局
参加人:無効審判請求人

主文:原告の訴えを棄却する。

原告は、2008年4月30日に被告に特許を出願した(請求項全6項)。被告は審査し、特許を付与した。その後、参加人は当該特許は特許査定時の特許法第22条第4項及び第23条の規定に違反しているとして、無効審判を提起した。被告は審理の結果、係争特許は前記特許法第22条第4項の規定に違反していることを認め、「無効審判は成立し、請求項第1項から第6項を取り消す」との処分を行った。原告は不服として訴願を提起したが、経済部が棄却を決定したため、知的財産裁判所に本件の行政訴訟を提起した。

原告は以下の通り主張した。無効審判で引用された証拠2及び証拠3の実質的な技術手段は、被告が係争特許の審査の過程で引用した引例1及び引例2の実質的な技術手段と完全に同一で、既に明確に説明されている。……… 被告の最初の担当審査官は引例1及び引例2の実質的な技術手段は係争特許の全体的な技術の特徴を教示できないことを確認した。………逆に、同一の事実及び同一の証拠であるという情況下で、無効審判の審決では全く異なり、且つ相互に矛盾する審査見解が示されている。………..被告に特許審査における客観性、公正性、適法性及び安定性を失わさせている。

以上の問題について、知的財産裁判所は下記の通り指摘する:

原告は、一事不再理の原則によれば、行政機関が公権力の優勢性を濫用し、人が法に基づき取得した権利をみだりに剥奪することがないように、行政機関は自由心証により同一の事実で相反する認定をすることはできないと主張した。しかし、一事不再理の原則は、係争特許が特許査定された当時の特許法第67条第4項で「無効審判が審理され成立しなかったとき、何人も同一事実及び同一証拠によって再び無効審判を提起することはできない。」と明確に規定している。その目的は、他人が繰り返し無効審判制度を利用して特許権の行使を妨害することを防ぐことにある。いわゆる、同一事実とは証明予定事実(例:係争特許には新規性又は進歩性がない)が同じであり、同一証拠とは添付されている証拠の内容が実質的に同一であることを指す。もし証拠が異なれば、証明予定事実が同じであっても一事不再理は適用されない。本件は無効審判案件であるが、再度無効審判が提起された事実はなく、「無効審判が審理され不成立」となり、「同一事実及び同一証拠で再度無効審判が提起された」情況にはない。当然、前述の一事不再理原則は適用されない。更に、被告が無効審判を成立させた証拠の主たるものは、証拠2及び証拠3の組み合わせを理由とするものである。しかしながら、証拠2は被告が審査段階で引用した参考文献の引例1の先行技術とは同じではなく、一事不再理の情況にはない。従って、原告のこの部分の主張は明らかに採用できない。

判決文全文:知的財産法院103年度行専訴字第20号行政判決

特許法における「一事不再理原則」の適用(台湾) 2
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