公告:両岸(台湾・中国)商標協力処理の作業要点(台湾)

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台湾、中国間では、知的財産権保護協力協定が2010年6月29日に調印され、同年9月12日に発効した。協定は17の条文から成り、第7条は協力処理システムについての規定で条文は以下の通りである。

第7条 協力処理システム
双方は法を執行し協力して処理するシステムを設立し、下記の知的財産権の保護事項について、各々の規定により、適切な処理を行うことに同意する。

  1. 違法コピー、模倣への対処。特に書籍、オーディオ・ビジュアル(映像と音楽)及びソフトウェア(コンピュータプログラム)等の違法コピーをインターネットを通して提供又は提供を幇助する、権利を侵害するウェブサイト、及び市場に流通する違法コピー及び模倣品を調査、処分する。
  2. 著名(馳名)商標、地理的表示又は著名産地名称の保護。悪意に基づく冒認登録行為を共同で防止し、権利者が冒認登録された著名(馳名)商標、地理的表示又は著名産地名称の取消を請求する権利の行使を保障する。
  3. 果物及びその他農産物の虚偽の産地表示について、市場の管理・監督及び調査、処分を強化する。
  4. その他の知的財産権保護事項

上述の権益保護事項の処理時、双方は相互に必要な情報を提供し、並びに処理結果を通知することができる。

台湾の知的財産局は、第7条の協力処理システムを実施するための作業要点を2011年10月19日に公告した。
以下は公告の訳文である。なお、海峡両岸又は両岸の語は、台湾と中国を指す。

公告日:2011年10月19日

海峡両岸の知的財産権保護協力協定第7条の商標協力処理システムを実施し、且つ実施の成果を高めるため、両岸商標協力処理の作業要点を定める。

両岸商標協力処理の作業要点

目次

  1. 序文
  2. 適用対象
  3. 協力処理請求の要件
    • 請求人が既に中国の法令に基づいて救済手続を行っている場合
    • 工商総局の所管機関に係属している案件
    • 請求人が不合理及び不公平な対応を受けている場合
    • 工商総局の所管機関による、中国の法令の規定に違反する処理
    • 工商総局の所管機関による、中国の商標審査及び審理基準に違反する処理
  4. 協力処理請求の手続
    • 請求の方法
    • 請求の書類
  5. 補正通知
  6. 協力処理の通報
    • 通報方法
    • 中国側の協力処理書類受領の通知協力処理受理の日付及び関連事項の伝達
    • 協力処理結果の伝達
  7. 許可されない協力処理の通報

添付: 両岸商標協力処理作業フローチャート

  1. 序文
    台湾の製造業者の商標権益及び著名産地の名称を保障し、中国における商標、企業名称、商号名称の悪意に基づく冒認登録若しくは登記、又は権利侵害となる模倣等の不正競争行為を防止するため、2010年6月29日に台湾、中国間で海峡両岸知的財産権保護協力協定が調印され、同年9月12日に発効した。同協定の第7条には商標の協力処理システムについて明確に規定しており、両国の商標主管官庁の交流プラットフォームを設立して、協議方式で両国の商標保護に関する問題の有効な解決を期す。経済部知的財産局(以下、「知的財産局」という)は、海峡両岸知的財産権保護協力協定を確実に実施し、実施の成果を高めるため、本要点を定める。
    商標権の保護は属地性を有しており、保護を与えるべき商標か否か、特にその商標の識別性、公序良俗違反、又は著名商標等の認定は、客観的、具体的な事項、証拠を考慮するほか、当該地の法律、風俗、習慣、文化及び消費者の認知等の要素も加えて判断しなければならない。従って、両岸商標協力処理システムの運用は、平等互恵及び相互尊重の原則に基づき、相手側の商標法令又は審査基準の規定に基づいて出された判断結果に干渉すべきではない。協力処理の結果が請求人に不利な場合は、相手側の制度に基づき救済を求めなければならない。
  1. 適用対象
    海峡両岸知的財産権保護協力協定の取り決めは、両国民の権益を保障することを目的としている。従って、本要点の適用対象となるのは台湾の政府機関、法人、団体、個人及び中国の台湾資本企業である。台湾資本の企業とは、台湾の法人、団体又は個人が中国で投資する又は再投資して経営する農工商等の事業を指す。但し、本要点を適用するか否かは、海峡両岸知的財産権保護協力協定調印の精神に基づいて事案内容を審査、酌量し、認定しなければならない。
  1. 協力処理請求の要件
    中国において、台湾の製造業者が、その商標、企業名称、商号名称の悪意による冒認登録、又は模倣による権利侵害等に遭っている、台湾の商標の所有者が中国の法令の規定に基づく登録出願又は商標権の維持、保護の過程において不合理又は不公平な対応を受けている、又は中国側の処理に中国の法令又は商標審査及び審理基準等に違反する状況があり、且つ、中国の国家工商行政管理総局(以下、「工商総局」という)が所管する国家工商行政管理総局商標局(以下、「商標局」という)、国家工商行政管理総局商標評審委員会(以下、「商評委」という)、及び県・市工商局に案件が係属している場合に知的財産局に協力処理を請求することができる。知的財産局はチェックした後、工商総局への通報に協力する。請求人個人の故意又は過失により不利益な裁定を受けた場合、例えば、不注意により商標権者の名称変更手続を行わなかったため、請求人自身の登録商標が引用されて商標登録出願が拒絶された場合は、協力処理には当てはまらない事項であり、知的財産局に協力処理を請求すれば直ちに協力処理が進められるわけではない。商標協力処理案件となる要件は以下の通り:
    1. 請求人が既に中国の法令に基づく救済手続を行っている場合
      協力処理システムの運用は、両国行政機関の間で連携する協力処理に限定される。従って、請求人は先ず、中国の法令の規定に基づく救済手続を行って権益を主張する必要があり、その後に協力処理を請求できる。例えば、商標が中国で冒認登録された請求人は、商標局又は商評委に当該登録商標の取消を請求しなければならず、その後に協力処理を請求できる。
    2. 工商総局の所管機関に係属している案件
      • 商標協力処理システムの中国側の対応機関は工商総局で、協力処理案件の種類及び係属している機関が、工商総局が所管する商標局、商評委及び県・市の工商局の職務範囲内にあるものが協力処理を行うことができる。例えば、請求人は中国の法令の規定に基づく救済手続を行って権益を主張しているが、既に案件の審理が終了している、又は既に裁判所に上訴している等の状況にあるものは、協力処理を得られる案件に属さない。適用を受けられる案件の種類は下記の通り分類される:
        1. 登録出願案件及び拒絶覆審案件
          登録出願案件とは、中国の商標法令の規定に基づき商標局に提出された商標登録出願の案件を指し、商品又は役務商標の登録出願、商標国際登録出願、証明商標登録出願、団体商標登録出願等を含む。拒絶覆審案件とは、上記登録出願に対する商標局の拒絶決定に不服のため、商標法第32条の規定に基づき、商評委に覆審を請求した案件を指す。
        2. 異議案件及び異議覆審案件
          異議案件とは、中国商標法第30条の規定に基づき、商標局に提出された異議申立案件を指す。異議覆審案件とは、商標局の異議決定に不服のため、商標法第33条の規定に基づき、商評委に覆審を請求した案件を指す。
        3. 取消案件及び取消覆審案件
          取消案件とは、中国商標法第41条第1項及び第44条の規定に基づく、商標局の職権による又は請求による取消案件を指す。取消覆審案件とは、商標局の取消案件に対する決定に不服のため、商標法第19条の規定に基づき、商評委に覆審を請求した案件を指す。
        4. 争議案件
          争議案件とは、中国商標法第41条の規定に基づき、既に登録された商標について、商評委に争議の裁定を求めた案件を指す。
        5. 権益保護の管理及び不正競争行為の違反の管理案件
          権益保護の管理及び不正競争行為の違反の管理案件とは、商標の模倣による権利侵害に関わる案件、台湾産の農産品又は商品の虚偽表示の案件、商標又は著名産地名称の標識を不法に印刷する又は販売する権利侵害案件、同一又は類似の業種において、他人の著名商標を企業名称又は商号名称として登記し、強調使用する商標権侵害の案件、及びその他、著名商標の名声に便乗する又は名声を減損する不正競争行為の案件等で、中国の関連法令に基づき、行政による調査、処分を行える案件を指す。
        6. その他の案件又は行政再議案件
          その他の案件とは、工商総局の職務範囲にあるもので、前述の第1項から第5項以外の案件を指す。例えば、変更、更新、移転登録の申請、商標使用許諾契約の登録申請、及びその他の商標登録関連事項である。行政再議案件は、中国行政再議法令の規定に基づいて、関連する商標の登録又は保護を請求することができるものを広く指す。
    3. 請求人が不合理及び不公平な対応を受けている場合
      不合理及び不公平な対応を受けている状況とは、特に手続事項の処理が公正正義の原則に違反しているものを指す。例えば、登録出願が他人に冒認登録された商標よって拒絶されたため、拒絶覆審を提出し、同時に冒認登録の引用商標に対しても争議を提起し、当該争議案件の審理結果が拒絶覆審案件の救済結果に影響するため、行政手続の無駄を考慮して、請求人が拒絶覆審案件の審理を延期して争議案件を優先する早期審理又は2件の案件を併合審理することを請求したが却下された場合は、不合理な対応を受けた状況に属する。但し、同一又は類似の先登録商標により出願が拒絶され、争議案件において冒認登録である事実を請求人が挙証できない、又は根拠として引用した規定が、その違法事由を充分に挙証できない場合は、不合理な対応の状況とは認め難い。
    4. 工商総局が所管する機関による、中国の法令の規定に違反する処理
      中国の法令の規定に違反するとは、特に工商総局が所管する機関が中国の法令の規定に基づかない、又は違反する裁定若しくは決定を下した状況を指す。例えば、中国商標法第28条「登録を出願した商標がこの法律の関連の規定に適合しないとき、又は他人の同一商品又は類似商品について既に登録され、又は初審で公告決定が行われた商標と同一又は類似であるときは、商標局が出願を拒絶し、公告しない。」との規定の適用は「既に登録され、又は初審で公告決定が行われた商標」と同一又は類似であることが前提であり、初審の審査結果が出ていない先行商標はその中に含まれない。商標局が初審の審査結果が出ていない商標を引用して拒絶した場合、当該決定は明らかに法令の規定に違反している。
      更に、例えば、工商総局令第28号 ― 工商行政管理機関行政処罰手続き規定 ― の第17条の規定に基づいて、工商行政管理機関は、訴え、上訴、通報、その他機関からの移送、上級機関から引き継いだ資料を受け取った日から7就業日以内に精査し、立件するか否か決定しなければならないが、特別な事情があるときは、15就業日以内に立件するか否か決定するよう延長できる。商標権侵害が通報された行政調査、処分の案件について、受理機関が20就業日を過ぎても立件するか否か決定しない場合は、法令の規定に違反している状況にある。
    5. 工商総局が所管する機関による、中国商標審査及び審理基準に違反する処理
      工商総局が承認する商標審査及び審理基準は、商標局及び商評委の全審査員が商標審査及び商標審理案件において共通して遵守する規範を提供するものである。従って、商標局又は商評委が商標の識別性、馳名[著名]商標又は類似商品等の関連事項の認定において、当該審査又は審理基準の判断原則に反し、請求人が不利な決定を受けた場合は、当然、協力処理を請求できる。但し、請求人個人の故意又は過失により不利益な決定を受けた場合、例えば、不注意により商標権者の名称変更手続を行わなかったため、請求人自身の登録商標が引用されて商標登録出願が拒絶され場合は、協力処理事項にはならない。
  2. 協力処理請求の手続
    本要点が適用される案件は、何れも中国において発生した事案で、且つ、両岸協力協定の枠組みにおける特別の手続であるため、協力処理案件の性質は緊急性がある又は企業が中国に投資を計画しているもので、商標代理人が知悉している又は通常処理している事務ではないことが多い。協力処理システムの効果を発揮するため、商標所有者自身が協力処理の請求を提出し、同時に知的財産局が協力処理を通報するか否かの審査、考量に役立つよう、充分な資料を提供するのが適切である。本人を代理して本局に協力処理を請求する場合は、代理委任状及び本人との連絡方法と電話番号を提出しなければならない。財団法人海峡交流基金会から転送して請求する場合、及び中国の台湾資本企業も同様である。
    1. 請求の方法
      協力処理の請求は、書面又は電子メールで行うことができる。書面で請求する場合は、工商総局への通報に便利なように、請求書類及び関連証拠資料の電子ファイルを併せて提出しなければならない。
    2. 請求の書類
      協力処理の請求時には、理由及び関連証拠を提出しなければならない。協力処理を請求する事項、案件の事実、及び不合理、不公平な対応を受けたことの説明、又は中国の法令若しくは審査及び審理基準適用の原則に違反している理由と具体的な事項、証拠は明確に述べなければならず、案件の申請書、裁定(又は決定)書、中国商標局ウェブサイトの商標情報等の関連事項、証拠を添付し、書面で知的財産局に送付する、又は電子メールで知的財産局が指定するメールボックスに送信しなければならない。電子メールで送信する場合は、送信後に電話で送達されているか確認されたい。
  3. 補正通知
    知的財産局は、協力処理請求文書の受領後、文書が不足している、協力処理請求要件に当てはまらない、理由の記載が明確でないものについては、補正又は明確に説明するよう電話で通知する。必要がある場合は、事案内容を理解するため、請求人に知的財産局に説明するよう通知することができる。
  4. 協力処理の通報
    協力処理を請求する案件は、知的財産局が関連事項、証拠を審査、評価する。不合理な対応を受けている又は中国の法令、商標審査及び審理基準に違反していることが確実な場合は、協力処理システムの運用を開始し、中国工商総局に処理を通報する。
    1. 通報方法
      知的財産局は、協力処理事項の通報を重要事項、証拠とともに電子メールで工商総局の窓口に送信する。必要がある場合は、別に電話で説明し、情報を伝達する。
    2. 中国側の協力処理書類受領の通知
      工商総局は協力処理通報の受取後、2就業日以内に電子メール、電話又はその他の実施可能な方法で、協力処理書類の受領を通知する。
    3. 協力処理受理の日付及び関連事項の伝達
      工商総局から協力処理受理の通知受領後、知的財産局は電子メール又は電話で、協力処理受理の日付及び関連事項を請求人に伝達する。
    4. 協力処理の結果の伝達
      工商総局から通報された協力処理の結果は、知的財産局が電子メール又は電話で、裁定又は決定の結果及びその理由を請求人に伝達する。
  5. 許可されない協力処理の通報
    商標所有者が他人に協力請求の代行、及び関連事務の連絡を委任したが、代理委任状がない、協力事項が不明確又は事案に関連する事項、証拠が補正されておらず判断する方法がない、協力処理システムの範囲を超えている、不合理、不公平な対応、又は中国の法令若しくは商標審査及び審理基準の適用原則に違反する審査の状況にあるか否かの認定に資する関連事実がない等の状況にある場合は受理を認めない。
    協力処理の通報を認めない案件は、知的財産局が書面、電子メール又は電話で協力処理の通報を認めない理由を通知する。知的財産局が法律を教示する協力が必要であると認めた場合は、中国の関連法令又は審査及び審理基準等に基づき、請求人がその商標権益を守ることにおいて有利な情報を提供する。例えば、引用するのにより適切な法律条文、又は事例があるか否か、どのような証拠を提出するかを参考として教示する。
    知的財産局が行う協力処理を認めないとの通知は、単に事実を述べるだけの観念の通知であり、行政処分ではない。請求人は不服である場合、行政救済を提起することはできない。