デジタルテクノロジーの発展とイノベーションに伴い画像設計の重要性が増しており、知的財産局は産業界のニーズに応えるべく、意匠の画像設計及びその他の部分に関する実体審査基準の改正を検討する公聴会を開いた。改正後の意匠実体審査基準はすでに公告され、2020年11月1日より施行された。その要点を以下にまとめる。
画像設計を応用する物品の定義の改正
意匠とは、視覚効果を有する物品の形状、模様、色彩若しくはその結合からなる外観の創作を保護するものである。物品に応用されるアイコン(Computer Generated Icons,略称Icons)及びグラフィカルユーザーインターフェイス(Graphical User Interface,略称GUI)は、コンピュータプログラム製品を介して生成される仮想図形であるが、表現される形状、模様、色彩若しくはその結合は視覚効果を有する外観の創作にあたり、しかもこのコンピュータプログラム製品は、広義に解釈すれば産業上利用可能な物品であるので、意匠により保護可能な対象に合致する。これをより明確に言うと、コンピュータプログラム製品を利用して生成される視覚的外観をもつ画像設計は、意匠により保護することができる。コンピュータプログラム製品とは、コンピュータ読み取り可能なプログラム又は、ソフトウェアを搭載した、外形にとらわれない物品を指し、画像設計は各種電子装置のディスプレイ又は、プロジェクタによって二次元、三次元の仮想図形を表示又は、投影することができる。
専利法第121条第2項の規定によると、物品に応用するアイコン及びGUIについては意匠出願することができる。改正前の審査基準では、画像設計を出願する際は当該画像又は、図形が付随する又は応用される、実体のある物品を明記する必要があったが、今回の審査基準の改正により、画像設計を定義する物品は「コンピュータプログラム製品」等の実体形状をもたないソフトウェアやアプリケーションでもよいように緩和された。このため、画像設計の記載方式は、「携帯電話の画像」といったように応用する物品を直に指定してもよいし、「コンピュータプログラム製品の操作メニュー」といったようにコンピュータプログラム製品に応用することを記載してもよい。
ここで注意すべきなのは、画像設計は、図形そのものを単独で出願することができず、当該図形をコンピュータプログラム製品に応用するのか又は、その他の物品に応用するのかを明記しない場合には、意匠の定義に合致しない。なお、画像設計を応用する物品は実体形状をもたないコンピュータプログラム製品であってよいことから、画像設計における意匠権を主張しない部分に関して、破線でディスプレイやスクリーン等の機器を描く必要はない。
明細書及び図面の開示要件の緩和
意匠出願では、斜視図(意匠が立体である場合)、六図面(正面図、背面図、左側面図、右側面図、上面図及び底面図)、平面図、ユニット図、補足図であってよい図面と、明細書とを揃える必要がある。意匠の図面は全ての内容を十分に開示するものでなければならず、図面に開示されていない内容は原則として意匠権を主張しない部分と見なされる。図面を省略する理由が、消費者が購入時或いは使用時に注意を払わない場合であっても、または出願人が意匠の特徴を有しないと認める場合であっても、意匠権を主張しない部分についてはこれを明細書の説明に記載する必要はない。同一、対称又はその他の理由で省略する各図面について、これが意匠権を主張しない部分でないときは、それを明細書に明記しなければならない。図面に含まれる各図が、意匠出願する内容を十分に表すことができない場合、又は主張する範囲を明確に定義することができない場合、知的財産局は実施可能要件を満たさないと判断する。
建築物及び内装設計が意匠特許の保護対象として明文化された
意匠は物品に応用する外観の創作であり、今回の審査基準の改正では、意匠の対象として建築物、梁又は内装などの不動産設計も含まれることが明文化された。実際には、2013年の法改正で意匠の中国語名称「新式様」を「設計」とした際に、かつての意匠審査基準の不動産設計に関する制限はすでに削除されていたが、不動産設計を意匠として出願できるのかどうか分からないとの声があったため、知的財産局は今回の改正で、建築物、梁又は内装などの設計も意匠対象になることを審査基準に明記した。
意匠の分割出願に関する規定の緩和
改正前の審査基準では、1つの物品に応用される1つの外観しか開示されていない場合、「意匠権を主張しない部分」が開示する内容について分割出願することができないと規定されていた。この度の審査基準の改正では、この分割制限の要件を削除し、意匠出願の内容に実質的に2つ以上の意匠が開示されている場合、もとの出願で開示された範囲を超えないことを前提に分割出願することができるようになった。つまり、意匠の分割出願は補正又は出願変更と同様に、もとの出願の出願時の明細書又は図面に開示されている範囲を超えることができない。注意すべき点として、出願人は、初審又は再審査の期間に分割出願することができるが、初審又は再審査で登録査定となった後は分割出願することができない。


