2020年台湾営業秘密法の改正の概要について

2020年台湾営業秘密法の改正の概要について 3

台湾の営業秘密法は1996年1月に公布・施行され、次いで2013年に営業秘密の侵害に対して刑事責任が加えられた後、2019年12月31日に立法院にて本法の改正案が可決され、2020年1月15日に総統より公布された。改正営業秘密法には、取調べ中の営業秘密の保護を強化する「取調べ秘密保持命令」制度 が導入され、取調べ秘密保持命令に違反した者は刑事責任を負うことになる。このほか、今回の改正案では外国人の営業秘密の保護も強化されており、未認可の外国法人も告訴、自訴又は民事訴訟の提起及び互恵原則を主張することができる。

営業秘密法はその性質に応じて商業秘密と技術秘密に大別され、営業秘密法の規定によると、本法で保護する営業秘密とは、方法、技術、製造工程、配合、プログラム、設計又はその他生産、販売若しくは経営に用いることができる情報であって、秘密性、経済性があり、合理的な保護措置が取られているものを指す。秘密性とは「その類の情報に通常関わる者が知るものでない」を指し、刊行物やインターネットなどですでに公開された情報、或いはすでに業界で知られているものは秘密性を有しない。経済性とは「その秘密性により実際に又は潜在的に経済価値を有するもの」を指す。性質が異なる営業秘密にはそれぞれ別々の評価方法があるべきだが、本法には潜在的な経済価値が含まれるので、経済性の有無の認定には比較的緩和された基準を採用すべきである。「合理的な保護措置」については、「水も漏らさぬ」保護レベルが求められるわけではないが、少なくとも、情報を取り扱う者がその情報は営業秘密であることを知っており、かつ他人が正当な方法では容易に入手できない程度であるべきである。営業秘密法は前回の改正で刑事責任が加えられたが、被害企業が営業秘密を、他人に窃取されたことを証明しようとすると、その取調べ過程において社内の営業秘密に関わる   
多くの証拠を提出しなければならなくなり、その際の二次漏洩によって競合他社に営業秘密が渡り、却ってより大きな漏洩リスクにさらされるのを危惧し、告訴を躊躇することもある。

 今回、「取調べ秘密保持命令」制度を導入した目的は、このような二次漏洩の問題を改善するとともに、営業秘密侵害事件に関する取調べに寄与するように、企業からの積極的な証拠の提出を奨励し、不法な窃取行為を即時に対応することで、「迅速な取調べと迅速な終結」の目標を達成して、台湾の営業秘密保護環境をより万全なものとすることにある。
「取調べ秘密保持命令」制度に関する修正要点は以下のとおり:

  1. 検察官が取調べに必要と認めた場合、職権により、取調べの内容に触れる関係者等に取調べ秘密保持命令を出すことができる。
  2. 取調べ秘密保持命令を受けた者は、取調べの内容を取調べ手続き以外の目的で使用してはならない、或いは、取調べ秘密保持命令を受けていない者に開示してはならない。
  3. 取調べ秘密保持命令は、書面又は口頭で行い、かつ営業秘密の所有者に意見を陳述する機会を与えなければならない。
  4. 取調べ秘密保持命令を取り消す又は、変更できる手続き、及び裁判所は知的財産局案件審理法の秘密保命令に基づくことを規定した。
  5. 取調べ秘密保持命令に違反した者には、3年以下の有期懲役、拘留を科し、併せてNT$100万以下の罰金を科す。
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2020年台湾営業秘密法の改正の概要について