善意の先使用は権利侵害の抗弁事由の一つであると
商標法で明確に規定されている(台湾)

善意の先使用は権利侵害の抗弁事由の一つであると<br>商標法で明確に規定されている(台湾) 4

台湾商標法第36条第1項は「以下に列記する事実があるとき、他人の商標権の効力に拘束されない。」との規定で、第3号では「他人の商標の登録出願日前に善意で同一又は類似の商標を同一又は類似の商品若しくは役務に使用している場合。但し、原使用商品若しくは役務に限られ、また、商標権者は、適当な区別の標示を付加するよう要求することができる。」と規定されている。

善意の先使用は権利侵害を訴えられた際に抗弁の事由となることについての説明が、知的財産局ウェブサイトの2017年10月5日付電子報に掲載された。以下は当該記事の和訳である。

電子報掲載日:2018年4月5日

我が国の商標法は登録による保護を原則としており、商標権の取得は登録を要件としている。しかしながら、商標は使用することに価値があり、例外として商標が先使用されている事実を尊重し、善意による先使用の制度を設けている。通常、商標権侵害行為が発生した場合、行為者は商標法第36条第1項第3号の善意による先使用の規定に該当する事実があるとき、権利侵害の抗弁事由としてこれを引用することができる。また商標権者は区別の標示を付加するよう要求できることで、善意による先使用の範囲が拡大されて商標権者の登録の権益に影響しないよう、衡平が図られている。

他人の商標登録出願日前に、同一又は類似の商標を同一又は類似の商品若しくは役務に善意で使用している場合、他人の商標権の効力の拘束を受けないことは商標法第36条第1項第3号に明確に規定されている。その立法の趣旨は衡平性にあり、我が国の商標法が採用している登録による保護の原則では、他人の商標登録出願日前、既に市場で継続して使用している事実がある善意の先使用者は、他人が登録して商標権を取得した後も継続して使用でき、その後も登録による商標権の効力の拘束を受けない。また、商標権者が商標権の侵害を主張したとき、商標の使用者は当該条号に規定される善意の先使用の情況に該当する場合は抗弁ができ、商標権侵害行為

の法定免責事由になる。それとは別に、当該号の但し書きでは、商標の使用は原使用商品若しくは役務に限られ、また、商標権者は善意の先使用者に、適当な区別の標示を付加するよう要求できると明確に規定している。

善意の先使用者が従来、新聞の平面媒体だけを使用して広告していた場合、電子メディア又はテレビ広告等の範囲にまで拡大して使用できるか否かは、商標の使用の範囲をみて決定しなければならない。実際使用の商標及び商品/役務が何れも善意の原使用商標及び商品/役務の範囲であれば、電子メディア又はテレビ広告における商標の使用は善意の先使用主張の規定を引用できる。

善意の先使用商標を会社英語名称の特徴的な命名部分及びドメインネームに用いて、善意の先使用行為を主張できるか否かの問題について、会社名称は一般的な使用形態及び社会通念では、通常事業主体の表示であり、商品の製造業者或いは役務の提供者を表示するものである。ドメインネームの役割は、インターネット上で使用されている類似のネーム、アドレスの識別符合で、インターネット使用者を特定のサイトに導き、当該サイト所有者が提供する内容の情報を知らせることである。商標は、商品又は役務に表示される顕著な部分で、商品又は役務の出所を識別する標識となるものである。消費者にとって、三者の識別機能及び目的は同じではない。また、善意の先使用の規定は消極的な免責の抗弁事由に過ぎず、積極的に権利を主張できるものではない。更にその使用は元々商標が使用されている原商品又は役務に限られ、情況又は形態を任意に拡張して使用することはできない。他人が商標を登録した後に、商標を会社名称及びドメインネームに使用する問題は、行政上の審査の観点から、善意の先使用の規定適用を主張することはできない。

その他の業者が善意の先使用者から先使用商標商品を購入し、対外的に販売する及び当該商標を使用して広告する行為に関し、前述した情況は善意の先使用者が当該商標商品を初めて市場に投入してその他の業者に販売することであり、その他の業者がその次に市場へ投入して販売、使用する行為の場合、その他の業者の販売又は広告に使用される商標商品が、他人の商標権を侵害するおそれがなければ、商標法第36条第2項の規範の趣旨に基づき不法ではない。しかし善意の先使用は登録主義を緩和する例外規定であり、過度に善意の先使用を拡大して抗弁し、登録による保護を原則とする商標法の基盤を破壊するようなことにならないよう、当然厳格に解釈しなければならない。実際の個別の案件中に善意の先使用規定の解釈が適用されるか否か、又は行為者の抗弁が成立するか否かは、司法機関の権限・責任の範囲であり、司法官庁が使用者の主観的意志及び消費者の客観的認知等の関連証拠を参酌して職権に基づき判断する必要がある。

商標法第32条第2項:
登録商標を付した商品が、商標権者又はその同意を得た者によって国内外の市場で取引され若しくは流通した場合、商標権者は、当該商品について商標権を主張することができない。但し、商品が市場に流通した後に商品の変質、毀損を生じることを防止する、又はその他の正当な理由があるときは、この限りでない。

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善意の先使用は権利侵害の抗弁事由の一つであると 商標法で明確に規定されている(台湾)