台湾専利・商標審査制度及び救済制度改正の動向

台湾専利・商標審査制度及び救済制度改正の動向 4

台湾知的財産局は、今年一月に専利法と商標法の一部条文改正草案弁理について公聴会を開き、台湾専利・商標案件の審査及び救済制度に大幅な変革があることを予告した。アメリカPTAB/TTAB、日本審判部及び韓国IPTABの方式を参考にして、複審及び争議の審議手続きを導入するとともに、救済手続きを簡略化して現行の専利・商標案件の訴願制度を廃止し、現在の行政救済手続きを民事救済手続きに改める。

台湾知的財産局内部に、複審審議会及び争議審議会を含む審議専門組織を創設し、専利・商標の複審案件、争議案件及びそれらの再審手続きを取り扱う。原則として、複審案件は主に、書面での審議、争議案件は主に口頭での審議とし、現時点では審議官3人又は5人の合議体で共同審議することが予定されている。審議会は独立した組織で、1人の審査官が審査を行い科長,組長の承認を経て進められる現行の審査制度とは異なり合議制度を採用する。複審案件の出願人又は争議案件の当事者は、知的財産局審議会の決議に不服であるとき、法規の誤適用など少数のケースで再審手続きを請求する場合を除き、一般的には知的財産及び商業裁判所に訴訟を提起すべきである。

専利審査制度

現行の規定法改正の動向説明
再審査再審査制度を廃止し、複審審議制度に改める。発明特許出願が拒絶査定(初審拒絶)された場合、出願人は二ヵ月以内に複審を請求することができる。複審案件は元の審査官が前置審査をし、理由があると認められる場合、原処分を取り消す又は直に特許査定とし、理由がないと認められる場合、審議会により審議手続きが進められる。
現行法にはなく、法改正により新設複審及び争議審議制度を創設する。発明特許出願への拒絶査定又はその他の処分に不服である場合、複審を請求することができる。争議審議とは例えば無効審判の審理を指す。原則として、複審案件は主に書面での審議とし、争議案件は主に口頭での審議とする。無効審判は口頭により審議手続きを行い、必要に応じて予備手続きを行う。審議手続きでは当事者と協議して審議計画を立て、双方が十分かつ効果的に攻防を行えるようにする。

商標審査制度

現行の規定法改正の動向説明
異議申立て異議申立て制度を廃止し、商標登録が絶対的不登録事由に違反する場合には何人でも無効審判を請求できるように緩和する(これまでの異議申立て手続きに相当する)。異議申立てと無効審判で商標権を取り消すべきと主張する事由は概ね同じであるが、申立て時期が異なる。異議が商標登録査定後三ヵ月の公告期間に申し立てるものであるのに対し、無効審判は商標登録査定の公告期間満了後の登録証を取得した商標権専用期間に請求する。
現行法にはなく、法改正により新設複審及び争議審議制度を創設する。商標登録出願への拒絶査定又はその他の処分に不服である場合、二ケ月内に複審を請求することができる。争議審議とは例えば無効審判や取消し審判の審理を指す。原則として、複審案件は主に書面での審議とし、争議案件は主に口頭での審議とする。

専利・商標救済制度の共通スキーム

現行の規定法改正の動向説明
訴願(知的財産局の査定や処分に不服である場合に訴願を提起する)訴願手続きを廃止する。知的財産局の審議決定に不服である場合、訴願を経ずに直に訴訟を提起する。
行政訴訟(訴願決定に不服である場合に行政訴訟を提起する)複審訴訟又は争議訴訟は、審議決定に不服である場合、二ケ月内に提起することができる。その審理は民事訴訟手続きに沿って行われ、二審制となる。現行制度では、往々にして知的財産局が被告となる。
改正後の複審訴訟では知的財産局が被告となり、争議訴訟では当事者双方(原告/被告)の対審となる。

現在、専利・商標の訴訟案件は知的財産裁判所で審理されている。先般、司法院は知的財産裁判所組織法を知的財産及び商業裁判所組織法にすでに改正し(「商業事件審理法」と併せて改正)、知的財産及び商業裁判所(「商業裁判所」と称す)下に知的財産法廷及び商業法廷を設置し、裁判結果に不服である場合、最高裁判所に上訴又は抗告することができる。

知的財産及び商業裁判所組織法は2019年12月17日に立法院三読を通過し、2020年1月15日に総統府より公布され、二年以内に司法院で施行される見通しである。また、台湾専利・商標法の改正及び関連法規の改正までには1、2年程度要すると思われる。

台湾専利・商標審査制度及び救済制度改正の動向 5
台湾専利・商標審査制度及び救済制度改正の動向