- 台湾商標法第63条の規定
商標登録後に下記いずれかの事項が認められた場合、商標主務官庁はその職権または請求に基づいて該登録を取り消さなければならない。- 自ら商標を変更または付記を加えたため、同一または類似する商品または役務に使用する他人の登録商標と同一または類似を構成するに至り、関連消費者に誤認を生じさせるおそれがあるとき。
- 正当な事由がなく使用をせずに又は使用を引続き停止して満3年を経過したとき。ただし、被許諾者が使用をしているときは、この限りでない。
- 第43条の規定により適切な区別の標示を付加しなかったとき。ただし、商標主務官庁の処分前にすでに区別の標示を付加し、かつ誤認混同を生じるおそれがないときは、この限りでない。
- 商標がすでにその指定商品または役務の慣用標章、名称または形状となっているとき。
- 実際使用時において商標にその商品または役務の性質、品質または産地について公衆に誤認混同を生じさせるおそれがあるとき。
- 台湾商標法によると、商標登録出願に、該商標自体の問題による登録拒絶または登録取消の事由がある場合、前者は商標登録公告日から三ヶ月以内に商標異議を申し立てることができ、後者の場合、原則的に登録日から五年以内に商標無効審判を請求できる。異議申立てまたは無効審判が成立した場合、該商標は取り消され、該商標は最初から効力を生じない。
商標が登録査定された後、商標権者の該商標の使用の有無から派生する取消の問題は、不使用取消に属する。不使用取消の効力は該商標が取消される日に有効となり、商標はその効力を失う。
以下、台湾の不使用取消の実務について紹介する。
- 台湾の商標実務において、一般的に不使用取消審判を請求するケースとして、海外商標権者が、自分の商標が先に登録または模倣されて、異議申立てや無効審判では勝てない場合、或いは国内外の商標登録出願人が、登録しようとする商標が先行登録商標により阻まれ、先行登録した商標権者に商標の譲渡、または商標併存同意書の締結を求めることを検討する際、先行登録した商標権者が、該商標を三年連続で使用していない場合、不使用取消審判を請求した方がより容易で低コストである。
このため、前記五種類の取消理由で最も使われている項目は「三年内での未使用」である。以下、は未使用による不使用取消の請求について説明する。
- 不使用取消案審判において、商標が使用されているか否かについて、挙証責任は商標権者にあるが、不使用取消審判の請求人が不使用取消審判を請求する際は、主観的な憶測または根拠のない主張ではなく、具体的な証拠または具体的な理由が必要で、また、商標権者に未使用という消極的事実があるという主張について解釈、説明して、審査官にある程度の心証を与え、恐らくそうであると説得する必要がある。
もし、不使用取消審判の請求人が主観的な憶測または根拠のない主張のみで、係争商標は未使用と主張し、または提出した理由と証拠が、当該係争商標は合理的に使用されていないと、審査官に合理的に疑いをもたせることができない場合、具体的な証拠がない、または主張する理由が成立しないことになり、不使用取消審判の請求は棄却される。
例えば不使用取消審判の請求人が該商標は未使用であると主張しても、証拠で該商標商品が使用、販売されていることが示されたり、同業者が係争商標の使用を知らないというマーケット調査だけであったり、或いは、調査員を派遣して実地調査を行ったが、商標権者の商標の使用を発見しなかったことだけ主張し、関連証拠などを提出していない場合は、いずれも棄却される可能性がある。
- 不使用取消審判において、TIPOは、商標権者の住所/営業住所への訪問(実地)調査、マーケット調査、同業訪問の正確な時間と過程を詳しく説明し、関連証拠を添付しなければならないと認定している。
- 商標権者の会社が既に解散、抹消、廃止されたと掲載されてから三年経過した場合、不使用取消の請求人は経済部商業司の関連調査資料とその他の証拠 (TIPOの実務上、商標権者に他の関係企業があるか否か、該商標を使用している可能性の確認、及び簡易版のインターネット/マーケット調査の資料を添付することを推奨) を添付しなればならない。
- 一般的に、不使用取消審判の手続きを請求すると決める前に、請求人は台湾の興信所に次の調査を委託することが望ましい:
- 訪問調査
調査員は商標権者が登録した住所/営業住所を訪問して、商標権者が該係争商標を使用しているか否かを適宜調査し、使用している場合、使用証拠を取得して調査を中止する。調査員が、使用の有無を確認できない、または該係争商標を使用していないと確認した場合、下記マーケット調査を行う。 - マーケット調査
調査員は通常、台北、台中、高雄(北部、中部、南部)でそれぞれ二十件の同業者または商店を選択して、係争商標の商品を販売しているか否かを確認する。
- 訪問調査
- 一般的に、一部特殊な商品は販売経路/ルートが異なるため、調査員の報告では十分な確証が得られず、また、商標権者がその商標を維持するため、不使用取消審判が請求された後に、使用している証拠を何かの方法により提出する場合もある。
- 不使用取消審判の請求をする場合、下記書類を提出しなければならない:
- 不使用取消審判請求書(指定商品/役務の全体、またはだけに対して不使用取消審判を提出可能)
- 政府手数料(一類ごとの不使用取消請求の政府手数料はNT$7,000)
- 訪問調査報告
- マーケット調査報告
- 審査の流れ
- 不使用取消審判の請求を提出した後、商標権者/被請求人が台湾国民の場合、TIPOは一ヶ月以内に使用証拠を提出するよう通知し、外国人の場合は二ヶ月となる。また、商標権者が答弁の延期を申請した場合、TIPOは原則的に、台湾国民の場合、一ヶ月、外国人の場合は二ヶ月の延長を認め、再延期を提出しても原則的には受理されない。
- TIPOは、商標権者が答弁を提出した場合、それを不使用取消審判の請求人に送付し、一ヶ月の期間内に陳述意見を補完するよう通知する(不使用取消の請求人が台湾国民または外国人であるかを問わない)。
商標権者が答弁を提出しなかった場合、TIPOは該登録を直に取り消す処分を下すことができる。 - 実務上、TIPOは答弁のために不使用取消審判の請求人の陳述意見を商標権者に送付し、陳述意見に対する答弁書をさらに不使用取消審判の請求人に送付する。この相互答弁、意見陳述の流れは通常二回程度行われる。
ただし審査官が、証拠はすでに明確であり、または提出された答弁や陳述意見ともに論述の繰り返しであると認定した場合、手続きが停滞しないよう相互答弁、意見陳述を止めることができる。この場合、審査官は実質審理に入ることができる。
- 審理の一時停止
- 双方とも協議の必要があると認定める場合は審理の一時停止を請求でき、原則的に一時停止期間は三ヶ月で、再延期が可能である。
- 審理の一時停止では一般的に、双方が交渉して同意書を締結する、商品/役務を縮減する、各自使用範囲と使用方式を規定する、及び商標の譲渡またはグローバルな取り決めをするなどの場合がある。
- 一般的な不使用取消審判の審理期間は約半年から一年程度となっている。
2019年の台湾の不使用取消審判の統計
| 不使用取消審判成立 | 一部成立 | 不成立 | その他 |
|---|---|---|---|
| 371(62%) | 32(6%) | 89(15%) | 103(17%) |

