台湾商標の使用許諾制度及び実務

台湾商標の使用許諾制度及び実務 1
  1. 台湾はWTO(World Trade Organization)の加盟国であるため、TRIP’s協定を遵守する義務がありますが、国際連合の加盟国ではないため、WIPO(World Intellectual Property Organization)にも加盟しておらず、WIPOが定める国際規範を必ずしも遵守する必要はない。しかし、台湾の経済発展を促進し、そして知的財産権の国際協調体制を構築するため、台湾知的財産局(TIPO)は2012年7月1日施行の商標法に、商標使用許諾制度としてWIPOの「商標使用許諾に関する共同備忘録」(Joint Recommendation Concerning Trademark Licenses)の一部概念を取り入れた。
  1. WIPOの規定による商標使用許諾は以下に類別される
    1. 専用使用許諾(専属授権:Exclusive License):被許諾者に商標の使用許諾を与えた後に、商標権者及び第三者による該登録商標の使用を排除するものをいう。つまり、商標権者は許諾期間内において該商標を使用することができず、他の者に該商標の使用を許諾することもできない。
    2. 通常使用許諾(非専属授権:Non-exclusive License):複数の者に商標の使用許諾を与えることができ、さらに商標権者は該商標を継続して使用することができ、かつ他の者に使用許諾を与えることができるものをいう。
    3. 独占的通常使用許諾(独家授権:Sole License):商標権者は一人の被許諾者にしか商標の使用許諾を与えることができないが、商標権者自身による該登録商標の使用は排除されないものをいう。
  1. 台湾は、前記WIPOの商標使用許諾に関する規範をそのまま取り入れたわけではなく、(1)専用使用許諾、(2)通常使用許諾の2種類のみ取り入れた。なお、台湾知的財産局(TIPO)の解釈によれば、(3)の独占的通常使用許諾は(2)通常使用許諾の一種であり、通常使用許諾として登録しなければならない。
    しかし、TIPOは商標関連業界からの強い要望のもと、独占的通常使用許諾の登録申請時、申請書に「独占的通常使用許諾」の項目はないが、「通常使用許諾」を選択した後に「独占的通常使用許諾」と書き加えることで、「独占的通常使用許諾」の登録となるように実務を緩和した。
  1. 商標使用許諾の登録の必要性
    商標使用許諾の登録は、第三者自身が該商標を使用する場合に限り必要となる。
    他人の商品の転売、代理販売、或いは受託製造では、使用許諾の登録手続きは必要ない。
  1. 商標使用許諾の登録の効力
    商標使用許諾の登録は対抗要件である(商標法第39条第2項:前項の使用許諾は、商標主務官庁に登録していない場合、第三者に対抗することができない)。つまり許諾契約は合意に至った時点で発効する。使用許諾の登録後に第三者に対抗する効力が生じるとは、権利の連続移転,移転と使用許諾,使用許諾と質権設定,移転と質権設定などの異なる法律行為と権利変動についての対抗問題において、取引行為をする第三者を保護するもので、侵害行為をする者を保護するものではない。さらに、実務上、該商標に不使用取消審判を請求する場合、請求人は該商標の使用許諾登録がされていないことを理由に、被許諾者の使用は合法的な使用ではなく該商標の使用にあたらないと主張することはできないと認められる。
    商標法第39条第3項における登録の効力について、該商標が使用許諾登録されている場合、商標権者が該商標権を第三者に移転しても、被許諾者は、許諾を受けた使用権はその契約有効期間においてなおも有効であると主張することができるため、第三者は、商標権の移転をもってその使用許諾は無効であると主張することができない。
  1. 専用使用許諾の被許諾者は、許諾範囲内において登録商標の専用使用権及び排他権を行使することができる。つまり、登録された専用使用許諾の被許諾者は、自分の名義で民事及び刑事の権利救済を行うことができ、商標権者の同意を得る必要がない。ただし、その専用使用許諾が未登録である場合や、登録又は未登録の通常使用許諾の被許諾者にこの権利はない。
  1. 証明標章、団体標章又は団体商標は、その公益性を維持するために、原則として他の者に使用許諾することはできない。ただし、消費者の利益を損なう虞がなく、かつ公正な競争を阻害する虞もない場合において、TIPOの認可を得たときはこの限りではない。
  1. 商標の再使用許諾(Sub-License)
    専用使用許諾の被許諾者は、許諾範囲内において他の者に再使用許諾することができる。ただし、契約に別段の定めがある場合にはそれに従う。
    通常使用許諾の被許諾者は、商標権者又は専用使用許諾の被許諾者の同意を得なければ、他の者に再使用許諾することができない。
  1. 商標使用許諾登録の実務
    商標使用許諾登録は、(1)商標権者又は(2)被許諾者が単独で申請することができる。
    1. 商標権者側が商標使用許諾登録を申請する場合、原則として、(TIPOが求めた場合を除き)商標権者と被許諾者との許諾契約書の写しを提出する必要がないため、手続きが簡便である。
    2. 被許諾者側が商標使用許諾登録を申請する場合、その許諾事実を立証するため、商標権者と被許諾者との許諾契約書の写しを提出する必要がある。
    3. 使用許諾申請書に記入する事項
  • A.商標権者の名称(中、英語)、代表者(中、英語)、住所(中、英語)
  • B.被許諾者の名称(中、英語)、代表者(中、英語)、住所(中、英語)(台湾企業である場合には統一番号、電話、email)
  • C.商標の名称/登録番号
  • D.許諾期間:_年_月_日(発効日)から_年_月_日(終了日)まで注:\
    • a.許諾期間は遡及が認められ、許諾登録申請日以後の期間に制限されない
    • b.許諾期間は「発効日」がなければならない
    • c.許諾期間に「終了日」がない場合その許諾は無期限と見なされ、商標が更新された後も継続して有効で、使用許諾の延長手続きを改めてする必要はない。
  • E.使用許諾の性質:□専用使用許諾 □通常使用許諾(いずれかを選択)
  • F.使用許諾の区域:□台湾(中華民国全土) □その他(地区を記入)
  • G.使用許諾する商品/役務:□全ての商品/役務 □一部の商品/役務(商品名を記入)
  • H.委任状(商標権者が単独で申請する場合、商標権者の委任状一部)(被許諾者が単独で申請する場合、被許諾者の委任状一部)

    注:商標権者又は被許諾者が単独で申請する場合において、他方が外国人であるときは、使用許可登録書を送付できるように、外国人側は代理人を委任し、申請書にこれを記入しなければならない。
  1. 使用許諾取り消し時の注意事項
    許諾期間満了前に許諾登録を取り消すには、双方が許諾の終了に合意する必要がある。例えば、被許諾者が契約に違反した場合(使用料納付義務の不履行など)、商標権者が被許諾者に対し解約又は契約の終了を通知し、被許諾者において異議がない、或いは訴訟により許諾関係が存在しないことを証明しなければ取り消すことができない。このため、使用許諾契約に、商標権者は任意で許諾関係を終了できる約定を追加しておけば、将来、使用許諾登録の取り消し手続きをする際に相手側の同意を得る必要がないので得策である。
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