台湾における特許年金と特許権回復の実務について

台湾における特許年金と特許権回復の実務について 4

台湾の改正専利法が2019年11月1日に施行され、意匠権の存続期間は出願日から起算して12年であったものが15年に延長された。また、年金減免資格に関する「中小企業認定基準」も2020年6月24日に改正並びに施行された。これにより「中小企業認定基準」を満たす中小企業(外国人にも適用)は第1~6年の特許年金の減免を受けることができる。台湾における現在の特許年金及び特許権回復の実務について以下に簡単に説明する。

  1. 特許年金納付に関する一般事項
  1. 台湾における特許年金は、発明、実用新案及び意匠の3つに類別される。特許権の存続期間は出願日から起算して発明が20年、実用新案が10年、意匠が15年である。
  2. 台湾において、第1年の特許年金は特許査定書の送達後3ヶ月以内に証書費とともに納付しなければならず、納付後に知的財産局より特許公告がなされ、証書が発行される。故意でなくその3ヵ月の期間内に納付しなかった場合、納付期間満了後6ヶ月以内に証書費及び第1年目年金の倍額を納付して特許証書の発行を求めることができる。

注意事項

  • 独立して証書が発行される関連意匠特許権は、個別に年金を納付しなければならず、その期限は本意匠の権利の期限と同じで、つまり同時に期間満了となる。
  • 特実併願制度を利用して発明と実用新案を同時に出願する場合、実用新案は方式審査であるので、一般的には先に登録査定並びに証書が発行されるが、実用新案の年金を納付して、発明特許出願が特許公告されるまでその実用新案権の有効性を維持しなければならず、そして実用新案権は発明特許の公告日に消滅する。
  1. 2年目以降の特許年金は公告日から起算し、毎年の納付期間満了前に納付しなければならない。
    納付期間内に納付しなかった場合、期間満了後6ヶ月の猶予期間内に追納することができる。
    ただし、追納により年金を納付する場合、本来の年金額以外に、超過期間一ヶ月ごとに20%の罰金が科せられ、この罰金の最高額は規定された年金の倍額になる。月ごとの罰金の加算率は下表の通りである。
超過期間1ヶ月以内2ヶ月以内3ヶ月以内4ヶ月以内5~6ヶ月以内
罰金20%40%60%80%100%
  1. 特許年金の減免
    特許権者が自然人、学校、中小企業である場合、特許年金の減免を受けることができる。
    ただし、年金の減免は、第1年~第3年は毎年NT$800、第4年~第6年は毎年NT$1,200の減免に限られる。
    現行の実務によると、特許権者が自然人又は学校である場合、知的財産局は通常、減免基準に則して年金を減免する。
    特許権者が中小企業である場合、書面により年金の減免を申請する必要がある。
    中小企業は次の「台湾中小企業認定基準」(2020年6月24日改正)を満たさなければならない:
    1. A会社が法に基づき登記されており、払込資本額(paid-in capital)がNT$1億以下(約USD3,300,000)、又は
    2. B経常的に雇用する社員が200人未満

実務上、外国の中小企業が前記条件を満たす場合も年金の減免を申請することができるが、台湾代理人に資本額又は経常的な雇用者数を書面で伝えなければならない。そして、知的財産局は必要に応じて、証明書類を提出するよう命じることもできる。

注意事項

  • 特許権を2人以上で共有するときは、すべての特許権者が減免資格を満たさなければならない。
  • 減免資格を満たす特許権について納付期間を超過して罰金が科された場合、減免後の特許年金額に応じた月ごとの罰金が年金額に加算される。
  1. 特許年金は複数年分を一括して納付することができ、年金額の調整があった場合にもその差額を納付する必要がない。
  2. 特許年金の納付後は、その特許が特許保護期間に入ってない年度分に限り、払い戻しを申請することができる(保護期間に入った年度分は払い戻しすることができない)。特許年金に過納や誤納があった場合、納付時の領収書正本を揃えて還付を申請することができる。
  3. 特許年金は、特許権者だけでなく、何者でも納付することができ、納付時には委任状も必要ない。
  4. 特許年金の減免申請については、その特許の本来の代理人でない場合、特別委任状を提出しなければならない。
  1. 特許権回復の実務
  1. 前述したように、特許年金を納付期間満了前に納付しなかった場合、或いは猶予期間満了前に年金及び罰金を納付しなかった場合、該特許は本来の納付期間満了の翌日に消滅する。
    ただし、台湾専利法第70条第2項には「特許権者が故意でなく、第94条第1項で定めた期限までに追納しなかった場合、期間満了後一年以内に特許権の回復を申請することができ、三倍額の特許年金を納付した後、特許主務官庁はこれを公告する」と規定されている。
  2. 例えば、第7年の特許年金の有効期間において、翌年(第8年)の年金を本来の納付期限2019年6月30日前に納付しなかった場合、2019年7月1日から2019年12月31日までの期間(6ヶ月の猶予期間)に、本来の年金額に加えて超過期間に応じた罰金を同時に納付すれば、該特許権はなおも有効である。しかし、特許年金を2019年12月31日前に追納しなかった場合、その特許権は2019年7月1日に消滅したことになる。
  3. 前記2.のケースにおいて、特許権者が第8年の年金を猶予期間内に納付せずにその特許権が2019年7月1日に消滅した場合でも、特許権者が前記専利法第70条第2項の規定に基づいて、猶予期間満了(2019年12月31日)から1年以内(即ち2020年1月1日から2020年12月31日)に特許権の回復を申請し、本来の年金額(NT$8,000)に加えて倍額の特許年金(罰金)(即ち合計NT$8,000×3=NT$24,000)を納付すれば、この特許権を回復することができる。
    特許権者が減免資格を満たすときは、減免後の金額で罰金を納付する。
  4. 実務上、特許権者が特許権の回復を申請する場合、年金の未納が故意でなかったことを申請書で表明するだけでよく、別途に証明書類を提出する必要はない。ただし、特許権の回復の申請は特許権者が行わなくてはならず、知的財産局に本来登記されている代理人でない者が特許権回復の申請を行う場合、特許権者がその申請手続きを委任する特別委任状をもつ代理人が申請する必要がある。
    特許権者が台湾の会社であるとき、委任状に押印する社章は、特許出願時のものと同じでなければならない。
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