I. 税関における執行手続
- 税関による通知
税関は、登録商標を侵害する疑いのある貨物を発見した場合、当該商標権者に対しその旨を通知する。 - 商標権者による一次判断(1営業日以内)
商標権者は、上記通知を受領した日から1営業日以内に、当該貨物が商標権侵害に該当するか否かについて税関に回答しなければならない。 - 侵害判定報告書の提出(3営業日以内)
商標権者は、3営業日以内に正式な侵害判定報告書を提出しなければならない。当該期間は、申請によりさらに3営業日延長することができる。 - 輸出入業者に対する非侵害証明の提出要求
税関は、上記通知と同時に、輸入業者又は輸出業者に対し、非侵害であることを裏付ける証拠の提出を求める。商標権者が既に侵害の疎明資料(例:鑑定報告書)を提出している場合には、以下のとおり取り扱われる。- (1)輸出入業者が期限内に非侵害の証拠を提出しない場合
- 税関は当該貨物を差し止める(押収)
- 税関は当該案件を検察当局へ送致し、刑事手続に付する
- (2) 輸出入業者が期限内に非侵害の証拠を提出した場合
- 商標権者は、以下の手続を継続することができる
- (1)輸出入業者が期限内に非侵害の証拠を提出しない場合
- 担保提供および差止申請(3営業日以内)
税関は、商標権者に対し、3営業日以内に担保を提供した上で貨物差止を申請するよう通知する。 - 担保提供の有無による取扱い
- (1) 担保を提供した上で貨物差止を申請しない場合
- 税関は当該貨物を放行する
- (2) 担保を提供した上で貨物差止を申請した場合
- 商標権者は、以下の手続を進めるものとする
- (1) 担保を提供した上で貨物差止を申請しない場合
- 民事訴訟の提起(12日以内)
商標権者は、所定期間(12日)以内に、知的財産及び商業法院に対し民事訴訟を提起し、その旨を税関に通知する。
請求可能な救済手段には、以下が含まれる:
- 侵害物品の継続的差止
- 侵害物品の廃棄
- 侵害行為の差止め(排除)
- 損害賠償
II. 実務上の留意点および提言
- 税関への商標登録(保護申請)
商標権者は、税関に対して商標の登録(保護申請)を行うことが推奨される。これにより、税関は当該登録商標について、輸出入時の侵害の有無を重点的に監視することが可能となる。 - 刑事手続の併用
民事訴訟に加え、商標権者は検察当局に対し刑事告発又は告訴を行うことができる。商標権侵害は公訴対象犯罪であり、刑事手続を開始することにより、検察官による捜索・差押えが可能となり、侵害者に対する圧力を高め、和解交渉を促進する効果が期待される。 - 民事訴訟における損害認定
輸入業者が未だ商品を販売しておらず、当該商品が台湾市場に流通していない場合、実務上、商標権者に実質的損害が認められないと判断されることが多い。そのため、このような状況における損害賠償請求の認容可能性は比較的低い。

