ソフトウェア技術の進歩と市場経済の活性化に伴い、フィンテック(financial technology)関連産業では特許出願とそのポートフォリオを重視するようになってきている。現在の金融業務はすでに従来の貸借、証券/先物取引、保険にとどまらず、新技術を利用したクラウドシステムやIoTなどの電子商取引のモバイルプラットフォームにまで拡大し、最近では主に仮想通貨に応用されるブロックチェーンをどのように特許権で保護するのかが関心を集めている。現在のフィンテック関連特許は決済用アプリケーションがその約7割を占め、出願数は年々増加している。そして、その出願人は主にインターネット関連メーカー、電子テクノロジー関連会社であるが、近年では金融機構からの出願数も増加傾向にある。
国際特許分類(IPC)によれば、フィンテックは決済スキーム、商取引、金融/保険の3つの分野に大別される。知的財産局の統計では、台湾ではこれまでフィンテック関連特許の分布は商取引が65%、決済スキームが20%、金融/保険が15%を占めていたが、国際的趨勢並びに政府がフィンテックの発展を後押していることもあり、近年台湾では決済スキーム及び金融/保険分野の特許出願の割合が増加傾向にある。とりわけ2016年には金融/保険関連特許の出願件数が3倍に急増しており(下表参照)、フィンテック関連特許の分布を見ると、数年前と比較して、商取引が全体の50%に減少したのに対し、決済スキーム及び金融/保険はそれぞれ23%、27%に増加している。また、2017年には金融/保険関連特許の出願件数が商取引、決済スキームの出願件数を超え、金融/保険関連特許の総出願件数は、これまでの件数を大幅に更新した。近年の台湾におけるフィンテック関連特許の統計資料を下表に示す。
2012から2017年までの台湾におけるフィンテック関連特許の出願件数
| 類別 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 商取引 | 418 | 416 | 416 | 402 | 380 | 440 |
| 決済スキーム | 118 | 106 | 149 | 140 | 177 | 318 |
| 金融/保険 | 68 | 55 | 62 | 68 | 200 | 456 |
| 情報源:知的財産局 | ||||||
2012/1/1から2017/4/30までの台湾におけるフィンテック関連特許の出願
件数上位15社とその出願件数
| No. | 出願人 | 発明 | 実用新案 |
|---|---|---|---|
| 1 | アリババ・グループ・サービス・リミテッド | 136 | 0 |
| 2 | 楽天株式会社 | 103 | 0 |
| 3 | 中華電信股份有限公司 | 64 | 6 |
| 4 | 南台科技大学 | 40 | 9 |
| 5 | 騰訊科技(深圳)有限公司 | 41 | 9 |
| 6 | 統一超商股份有限公司 | 16 | 23 |
| 7 | INTEL CORPORATION | 34 | 0 |
| 8 | 三竹資訊股份有限公司 | 32 | 0 |
| 9 | 中国銀聯股份有限公司 | 26 | 3 |
| 10 | APPLE INC. | 27 | 0 |
| 11 | 国泰人寿保険股份有限公司 | 9 | 18 |
| 12 | 第一商業銀行股份有限公司 | 9 | 17 |
| 13 | Microsoft Technology Licensing | 23 | 0 |
| 14 | 台湾行動支付股份有限公司 | 15 | 7 |
| 15 | YAHOO! INC. | 22 | 0 |
| 情報源:知的財産局 | |||
2012/1/1から2017/4/30までの台湾におけるフィンテック関連特許の出願の種類、出願人及び出願件数
| 類別 | 発明 | 実用新案 | ||
|---|---|---|---|---|
| 台湾籍出願人 | 外国籍出願人 | 台湾籍出願人 | 外国籍出願人 | |
| 商取引 | 957 | 496 | 409 | 7 |
| 決済スキーム | 297 | 225 | 182 | 7 |
| 金融/保険 | 269 | 36 | 164 | 0 |
| 情報源:知的財産局 | ||||
知的財産局の2017年の統計によると、台湾のフィンテック関連特許の出願件数上位15社は、アリババ・グループ・サービス・リミテッド(発明84件,第1位)、兆豊国際商業銀行股份有限公司(発明22件/実用新案35件,第2位)、財金資訊股份有限公司(発明23件/実用新案17件,第3位)、そして中信銀(発明11件/実用新案29件)、彰銀(発明4件/実用新案21件)、土銀(発明1件/実用新案24件)、台銀(発明10件/実用新案12件)、華南(発明4件/実用新案16件)、合作金庫(発明4件/実用新案12件)、台企銀(発明7件/実用新案7件)、遠東(発明4件/実用新案10件)の銀行8社と、銀行以外の国泰人寿(発明9件/実用新案22件)、台湾行動支付(発明11件/実用新案12件)、南山人寿(発明1件/実用新案16件)、中国銀聯(発明15件)の4社である。
上表によると、金融/保険関連特許の出願件数は台湾籍出願人が外国籍出願人を上回っており、外国籍出願人が台湾で出願するフィンテック関連技術は主に商取引と決済スキームの発明特許となっている。全体的に見て、台湾籍出願人は、フィンテック関連技術について実用新案の出願件数がやや多くなる傾向にあり、一創作二出願であるケースが発明特許出願の約70%を占める。また、出願人は発明と実用新案を同時に出願し、発明特許の実体審査前又は特許査定前に実用新案による保護を先に受けることができるが、実用新案は方式審査のみであるので発明特許に比べて保護が脆弱であるため、出願人は技術レベルの高いフィンテック関連発明を開発して企業競争力を高めることが重要である。また出願人は、フィンテック関連特許出願時に、請求対象が不明確で不適格とならないように明細書に技術特徴を十分に開示する必要があることに注意すべきである。例えば、コンピュータソフトウェアはハードウェアとあわせて出願する必要があり、単にコンピュータを簡単に利用した技術の単純な変更や寄せ集め又は従来技術の追加や置換では全体としての技術的効果に欠ける。台湾専利法の規定によると、発明は、当業者が容易に完成できるものではなく、自然法則を利用した新しい技術であって、予期し得ない効果を達成できるのもでなければならず、かつ反復実施性を備える場合にのみ特許査定することができる。
