テクノロジーの進歩と商業の発展に伴い、商品のデザインやブランドがますます重視されるようになりましたが、台湾ではデザインと商標の知的財産権をそれぞれ専利法と商標法により保護しています。原則として、デザインや商標は主務官庁に出願をし、登録査定とならなければ独占権の保護を受けることができません。台湾の現行専利法と商標法の関連規定はすでにその殆どが国際的趨勢に沿ったものとなっていますが、台湾では発明、実用新案及びデザインをまとめて専利法という規範で定めており、この点において、商標にならってデザインを単独で立法化し保護を図っている日本、韓国およびドイツとは異なります。また、台湾のデザインおよび商標の出願は知的財産局で受理されるのに対し、中国では、同様に専利法に発明、実用新案およびデザイン特許が含まれ、中国国家知的財産局によって出願が受理されるものの、商標については中国工商部門商標局に出願しなければなりません。
物品や商品が、デザインと商標のどちらのカテゴリで保護されるのかを明瞭にするため、台湾の現行専利法および商標法に基づきデザイン特許と商標の違いを下表にて説明しますので、必要となる権利保護の形態に応じてデザイン特許と商標登録のどちらを出願するかを検討することができます。
| デザイン特許 | 商標 | |
|---|---|---|
| 保護の対象 | 物品の全て又は一部の形状、模様、色彩又はこれらの結合であって、視覚に訴える創作。 | 識別性を有する標識であって、文字、図形、記号など、或いはその結合。 |
| 保護の要件 | 産業上の利用性(製造又は使用が可能である)、新規性、創作性。デザインは物品に施されるものであるので、ある種の機能性を有し、かつ美感や装飾性の視覚効果を強調するものである必要がある。 | 識別性:独創性、恣意性或いは暗示性により商標の登録可否を判定し、説明性、通用性或いは機能性である場合には要件を満たさない。 |
| 保護の種類 | 全体デザイン、部分デザイン、画像デザイン(アイコンIcons、グラフィカルユーザインターフェイスGUI)、組物デザイン | 商標(正商標)、団体商標、証明標章、団体標章 |
| 出願方式 | 原則として、一デザイン一出願でなければならない。ただし、同じカテゴリに含まれる2以上の物品であり、習慣上セットで販売または使用されるものについては、組物デザインとして出願することができる。 | 一出願多区分であってよく、一つの出願で複数の区分の商品および/または役務を指定することができる。 |
| 優先権の主張 | WTO加盟国(或いは台湾と相互に優先権を承認している国家)は、最初に出願された外国基礎出願から6カ月以内に台湾で優先権を主張することができる。一出願につき、一つの優先権しか主張することはできず、複数の優先権を主張することはできない。 | デザイン特許と同様に、6ヶ月以内に優先権を主張することができる。ただし、多区分を指定する一出願において、複数の優先権を主張する場合、各区分の商品/役務の名称の前に優先日及び国名を明記する必要があり、同一の区分について2以上の優先権を主張する場合には、各優先日で指定する商品/役務名称を分けて記載する必要がある。 |
| 国際分類 | 国際意匠分類(Locarno Classification, LOC)。デザイン特許出願後、知的財産局により分類、審査が進められる。 | ニース国際分類(The Nice Classification, NLC)。出願人が出願時に商品/役務の名称及び区分を指定し、知的財産局により審査が進められる。 |
| 必要な書類 | 願書、明細書および図面、政府手数料 | 願書、商標図案、政府手数料 |
| 審査方式 | 書類が全て提出されると、自動的に実体審査が開始される。 | 書類が全て提出されると、自動的に実体審査が開始される。 |
| 審査期間 | 約8~12ヶ月 | 約6~10ヶ月 |
| 公告及び証書交付 | 登録査定書の送達から3ヶ月以内に証書費及び第1年度年金を納付し、納付後に公告並びに証書が交付される。 | 登録査定書の送達から2ヶ月以内に登録料を納付し、納付後に公告並びに証書が交付される。 |
| 異議/ 無効審判/取消し | 公告の日から無効審判を請求することができる。異議制度はない。 | 異議:登録公告の日から3ヶ月以内に申立てることができる。 無効審判:登録公告の日から5年以内に申立てることができる。 取消し:継続して3年間未使用であった場合に取消すことができる。 |
| 保護期間 | 12年(出願日から起算するが、権利は公告日から生じる)。満了後も延長することはできない。 | 10年(登録公告日から起算)。満了前に更新登録を申請して延長することができる。 |
| 権利の維持 | 2年目以降の年金は、毎年期限前に納付しなければならない。 | 10年の期間満了前6ヶ月内に、毎回10年間の期間延長を申請することができる。 |
| 侵害責任 | 民事責任 | 民事および刑事責任 |
| その他 | 同一の出願人に類似するデザインがある場合、関連デザインを出願することができる。その権利は単独で主張をすることができ、証書費や年金を納付する必要がある。本デザインの権利が取消しや消滅しても、関連デザインの権利は存続するが、保護の期限は本デザインの権利期間を超えることができない。また、本デザインの出願またはデザイン特許権を譲渡する場合、関連デザインの出願やデザイン特許権についても譲渡手続きしなければならない。 | 登録可能な非伝統的商標として、音、立体、色彩、動態、ホログラムまたは匂いなどがある。 |
上表のとおり、デザイン特許は毎年年金を納付しなければならず、その権利存続期間は最長で12年であるのに対し、商標の専用期間は10年ごとに延長することが可能で、しかも延長できる回数に制限はありません。侵害が発生した場合、デザイン特許では被害者自身が民事救済手続きにより賠償を請求することしかできませんが、商標権の侵害では刑事責任があるために国家の公権力に委ねて侵害を排除することもできます。例えば、税関が商標権侵害疑義物品の輸出入を発見した場合には水際措置をとることになります。したがって、全体として、商標はより強力に保護されますが、商標とデザイン特許では保護する対象が異なるため、そのデザインに
よって、デザイン特許の保護しか受けることができない場合もあれば、デザイン特許と商標による保護を同時に受けることができる場合もあります。コカコーラの瓶を例に挙げると、デザイン特許による保護期間としては10年余りですが、そのデザインが、消費者においてその商品を認識し、かつ他の商品と区別するに十分な顕著性を有していれば、商標としての登録も可能で、その場合、更新登録すれば保護期間は無制限となり、より強い保護を受けることができます。


