台湾、知的財産局ウェブサイトの2015年2月5日付電子報に、商標の先使用に基づき請求された無効審判の知的財産裁判所判決の要旨が掲載された。以下は、その訳文である。
電子報掲載日:2015年2月5日
原告:商標登録権者
被告:知的財産局
参加人:無効審判請求人
主文:原告の訴えを棄却する。

原告の嘉南科技股份有限公司は、第7類の「アセチレン切断器、ガス溶断器、酸素溶接器、電気溶接機、…..」商品を指定して「嘉南科技股份有限公司標章」商標を登録出願し、登録第1334761号商標として登録を付与された(以下、係争商標という)。その後、参加人の小池酸素工業株式会社(日本)が当該登録商標は登録時の商標法第23条第1項第14号の規定が適用されるとして、無効審判を請求した。被告は審理の結果、係争商標の登録を取消処分とした。原告は不服として、訴願、行政訴訟を提起した。
係争商標の登録時の商標法第23条第1項第14号及び現行商標法第30条第1項第12号の規定の趣旨は、他人が創作して使用している商標を剽窃して冒認登録することを防止して不正競争行為を防ぎ、商標の先使用者が他人にその商標を冒認登録された時に権利を救済する機会を与えることである(最高行政法院99年度判字第938号、第1012号判決を参照のこと)。我が国の現行商標法は登録主義を採用しており、使用主義ではない。従って、先使用の未登録商標は原則的に保護されない。しかしながら、商標の存在意義及びその価値は商標の使用にあり、過度に硬直化して起こる弊害を避けるため、商標法では例外として、一部に使用主義の精神を取り入れ、未登録ではあるが、国内外で先使用されている商標に対しても事情を斟酌し、保護を与えている。
係争商標と無効審判の引用商標を見ると、本来の菱形がカーブした線で3等分され、それが組み合わされ一つの菱形図形を再構成している。両商標の全体的な外観及び意匠の構成は、出所を同じくするかの如く極めて類似程度が高く、殆ど同一である。係争商標の指定商品と無効審判の引用商標を使用する切断機、切断器等とを比較すると、何れも溶接、切断等の工具であり、両者の効果、材質、製造者は何れも同一か関連性があって、両者が使用する商品は同一又は高度に類似する。いわゆる「先使用の商標」とは、中華民国内で先使用されている商標に限られるものではなく、国外で先使用されている商標も含まれる。参加人が無効審判の段階で提出した使用証拠を調べたところ、係争商標が出願された2007年12月31日以前に、参加人は既に日本、台湾で無効審判の引用商標を切断機、切断器等の商品に先使用していた事実を証明できると認定できる。上述の情況を総合して審査、考量し、原告は参加人の販売代理店である弘鈺公司から商品を購入した業務上の取引関係があり、且つ参加人との間には同業者の競合関係があって、無効審判の引用商標の存在を知っており、模倣を意図して不正競争の方式で係争商標の登録を冒認出願したと認められる。明らかに、登録時の商標法第23条第1項第14号及び現行商標法第30条第1項第12号の規定に違反しており、登録できない事由がある。
原告の主張は、係争商標を取得して既に3年以上経過しているが、参加人は引用商標を我が国で登録出願していない。むしろ、本件の取消訴訟によって、原告が辛苦の末に打ち立てたブランドの基礎を取り上げようとしており、参加人に原告より大きな保護を与えるべきではない。等々である。しかしながら、係争商標の登録時の商標法第23条第1項第14号(即ち、現行商標法第30条第1項第12号)の立法目的は、先使用されている商標が他人に冒認登録されるのを防いで保護することにある。他人が先使用する商標が我が国で登録されていないが、既に先使用されて当該商標が商標の識別性及び営業上の信用を築いており、他人が契約、地縁、業務上の取引又はその他の関係により当該商標の存在を知って、模倣を意図して冒認登録した場合は、信義誠実の原則に反する。たとえ、冒認登録した商標が使用によって営業上の信用を確立しているとしても、消費者の混同及び不正競争を防ぐため、当該冒認登録商標を保護する必要はなく、これによって公正な取引秩序を維持することができ、商標法の立法目的に合致する。原告が主張する参加人に原告より大きな保護を与えるべきではない等々は、前述の条文の目的に反しており、更に原告が言及した商標法第60条但書にある「登録できない事由がもはや存在しないとき」の規定にも合致せず、原告に有利な認定は困難である。
判決文全文:知的財産法院103年度行商訴字第57号行政判決


