「日本の出願人が中国の簡体字を使用した明細書を台湾出願に利用する際の注意事項」について

「日本の出願人が中国の簡体字を使用した明細書を台湾出願に利用する際の注意事項」について 2

昨今、特許明細書の翻訳費用を削減するために、日本から中国と台湾へ同時に出願する際に中国で予め翻訳した中国語明細書(簡体字)を台湾出願に利用するケースが増えているが、先に外国語書類として日本語明細書を提出して出願日を確保したほうが、後日、補正や訂正を行い易いことがあるので注意しなければならない。

日本の出願人がすでに日本で特許出願をしていて、その後に台湾で出願する場合には、日本で出願済みの又は補正後の日本語明細書を外国語書類として提出するのが良く、基礎となる外国語書類として中国出願で使用した中国語明細書(簡体字)をもって台湾出願するのは好ましくない。

  1. 台湾出願時に提出する際は、まず先に外国語書類として外国語明細書(英語、日本語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、中国語簡体字など11種の言語が含まれる)を提出して出願日を確保することができる。
    台湾同法の規定によれば、外国語明細書は修正することができず、また、その中国語明細書(即ち翻訳後の中国語正体字の明細書)は4カ月以内に補完(更に2ケ月の延長が可能で、補完期間は最長6ヵ月)することが認められているが、その範囲は出願時の外国語書類の範囲を超えてはならない。
  1. つまり、外国語書類として日本語明細書を提出した場合、その日本語明細書に誤りや補正がなければ、後日の審査手続き(prosecution)において、出願時の(外国語)明細書、特許請求の範囲を超えないことを前提に中国語明細書の補正又は特許査定後の訂正を行うことができ、さらに、中国語明細書に誤訳があった場合にも訂正を申請することができる。
  1. このため、日本の出願人が外国語書類として日本語明細書をもって特許出願した場合、後日、日本語明細書を基礎とした中国語明細書(正体字)に誤訳や誤りなどがあったときにも比較的容易に対応することが可能であり、それが仮に特許査定後であった場合にも原文の意味と合致するように訂正することができる。
  1. しかし、日本の出願人は稀に、台湾での出願時に、中国特許出願で利用した簡体字明細書を外国語書類として提出して出願日を確保することがある。

外国語書類として簡体字明細書を提出した台湾出願でも有効な出願日を確保し、かつ4カ月以内に台湾の正体字明細書を補完することが認められるが、審査過程において、その簡体字明細書に誤りや誤訳が発見された場合、台湾出願は出願時の外国語書類(即ち簡体字明細書)の範囲内で補正(訂正)をしなければならないため、台湾の正体字明細書の内容が日本出願人の本来の意図又は日本語明細書と一致しない事態となってしまう可能性がある。

また、よく知られているように、正統な中国語漢字である正体字が主に台湾や香港で使用されているのに対し、簡体字は中国やシンガポールで使用されている。これらは長年個々に変化しており、表現方法、特許法の法律用語、技術用語などに違いが出ている。例えば「請求項」は中国では「權項」、台湾では「請求項」、「Row」は中国では「行」、台湾では「列」、「Silicon」は大陸では「硅」、台湾では「矽」といったようにそれぞれ異なっており、このほか文法や表現にも多くの相違点が見られる。

このため、台湾で正確かつ有効な特許を取得したい場合には、外国語書類として日本語明細書を提出し、中国の簡体字明細書については、正体字明細書を作成して台湾知的財産局に提出する際の参考用として台湾代理人事務所に提供し、そして台湾代理人事務所には単に簡体字を正体字に機械的に変換するのではなく、明細書の内容に基づいて技術内容と文法を一字一句校正して提出するよう求めることが重要である。

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